研究ブログ

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右 本当に久々の更新です

 本当に久しぶりの更新になりました。新しい職場に慣れるというのにこんなに時間がかかるのは初めてです。ある意味年齢のせいかもしれませんね。

 先日、久留米で開かれた宇宙科学技術連合講演会で「宇宙資源」のオーガナイズドセッションを無事終えることが出来ました。筆頭コンビーナの寺薗さん(会津大学)の他、ご講演頂いた方、共著者に入って下さった方皆様に御礼申し上げます。
 今年は、宇宙資源のビジネス化についてそれなりに「あおり記事」のようなタイトルの記事があったのですが、私の誤解でした。意見は私達と同じ。小惑星にはそれなりのプラチナがあるけれど、地球に持ち帰ってペイさせるには輸送系コストを数万分というあり得ないオーダーでダウンさせないとダメでしょ、という御指摘でとても安心しました。
 対数年前までは、TEDの様なところでも、誰かは忘れました(記録を取っていなかったので)「小惑星一個を採掘すれば億万長者だ」などと言っているのを苦々しく聞いていましたから。

 でも、何故米国はともかくルクセンブルクまで企業誘致と投資に動くのだろうか。小惑星の貴金属か、あとは水。特に月に水が見つかれば良いという考え方らしいですが、月からどうやって「自動で」水をパッキング(ボンベにでも入れるのでしょうか)して打ち出すんでしょう? 月の重力は地球の1/6、0.17gもあります。それこそ「重力の井戸の底から打ち出す」事が必要で、輸送系のコストダウンが必要でしょう。それでも月に関しては、観光も含めていろいろな側面で輸送系のスタートアップ企業が活動しています。月の場合は将来の人類の拠点とか、それ以前に観光とかそういう目的に使えるのでまだ良いのでしょう。

 ルクセンブルクが輸送系スタートアップ企業にも融資などを行っているかどうか、確認は取れていませんがそれでも、ルクセンブルクは「宇宙資源探査」への支援、そして自分たちがハブ国家になると言っています。ただ、月で水が見つかってもそれをすぐ使う「需要」は未だ無いでしょう。
 私達のグループは遠い将来を見据えた上で、今から何が必要か検討を始めておこうというスタンスなので金融の世界のようにHere and Now(今すぐ、ここで)といわれるような超短期間での利益などは追求できないと思っています。それは宇宙資源を科学の目で考えたときに一目瞭然です。だから我々が遠い未来へ向けてその方向性を考えるというスタンスは間違っていなかったと思っています。
 月の水を宇宙に放り上げられたからと言って誰が使うのか、ある投資家が言ったように「宇宙に数百万かそれ以上の人間が住まないと利用価値は生じない」という言葉に同意します(ガンダムの世界ですね)。
 こちらのグループの宇宙法や倫理学、社会学の関係者の方々も理工学の研究者と同じく遠い将来へ向けてそのための萌芽的な検討というスタンスです。

 私はそれで良いと思います。 

 どれだけ未来のことになるか分かりませんが、私達の世代はあくまでも萌芽、種を捲いて芽が出るのはどういう側面だろうかという検討で十分かと思います。それをしっかりとやって次の世代へ引き継いでいけば、おそらくは月の水(もしあれば)や小惑星の様々な物質を例えばその場処理するというテストベッド的なミッションが将来行われるかも知れません(コスト的には全く引き合わないので政府系ミッションでしょうが)。少なくとも金融国家の投資対象にはならないでしょう。宇宙資源はそんなに簡単に利益が出るほど単純な話ではないのですから。

 そうすると金融まで巻き込んだ今の「宇宙資源開発」とは何でしょう。世界的に金利が低いため、おカネがだぶついている投資国家が「お試し」程度の感覚で手を着けてみると言うことなのかも知れません。とにかくここ2〜3年の間、米国がアステロイド法を作ったり、ルクセンブルクが宇宙資源の企業に投資するとかハブ国家になるとか宣言しているのはバブルだったのかも知れません。
 バブルなら、はじけてしまうと将来へ向けて残すべき物まで散逸する危険があります。何というか、焼いたお餅の膨らんだのがしぼむように「軟着陸」してくれれば、バブルの影響で宇宙に向けられた関心や、基礎技術の資産、我々のような研究者グループが積み上げたものが、「たらいのお湯と一緒に赤ん坊を捨ててしまう」という事にはならずに未来に継承すべき財産として残せるでしょう。
 私は、金融国家が資源採掘の権利を巡って法律を作ったり金融面で動くことにとても違和感を持って居ました。でも恐らく、そういう動きは「バブル」ということで確定だと思います。
 後はこのバブルから何とか軟着陸して、宇宙資源の研究が未だ向こう数十年程度は「萌芽」だよという感覚で居たいと思います。始まったばかりの分野をバブルで潰されたくはありませんから。

 それでは次回更新はいつになるか分かりませんが今回はこの辺で筆を置きます。

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さて、メンバーを増やさないと

 こんにちは。
 宇宙資源の方もいろいろ動き出さないといけません。

 こちらのやり方は、毎年新しい人を迎えて「定着(常連)」になってくれる方が本当に一緒にこの問題を考えてくれる仲間だということで、学会のオーガナイズドセッションをうまく利用してやる気のある人を集めるというやり方をしています。もっとも、やる気はあるのに本業が忙しくて来れない人も居るのでそういう人については事情をちゃんと考えていますが。

 来年は、前から声をかけていたK大学で同じように宇宙資源を考えているグループ、それも特に社会学や倫理学の側面から考えてくれている方を二人お迎えすることにしました。お二人をお迎えすることで、彼等の属するグループとも必要に応じて連携できることにもなりますし一挙両得というわけです。
 こちらもせっかく長期的に物を考えられるような立場になりましたので、こちらの方もそれなりのタイムスパンで考えたいなと思います。もっとも、日本でもいろいろな企業がもう「宇宙資源を早く商業化して世界に勝つ」なんて霞ヶ関あたりで吹聴しているところが色々あるそうです。
 経済活動はもともと「市場という空間」を広げることで発展してきました。そして確かに「宇宙」は新たな空間です。しかしそこには地球上のフロンティアにあったような「交易」という要素がありません。ただ行ってきて資源を取ってくるだけです(それもコストが地球上の物より下がるのはかなり先の話でしょう)。
 もっとも「誰も居ない土地にある資源」だから法的整備をきちんとしないと本当の無法地帯になってしまうわけですが。その点でも今度迎える方々は戦力になるかなと思っています。年が明けたらまずはメーリングリスト、その次はローカルでもSkypeで議論になりますかね。

 来年もする事が色々ありそうです。

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笑う しばらくぶりです…

 お久しぶりです。入社してからいろいろな経験をしているうちに更新が全然できませんでした… まあ読んでいる人はまず居ないでしょうけれど。
 入社してからは契約社員扱いでしたが、先日面接などを受けて晴れて合格しました。4月から正社員です。もっともいい歳なのであまり経たないうちに定年かしら…!! でも良いです。良い環境のところでようやく長目の時間軸を設定してものを考えられるようになります。これって研究者には大事なことですよね。
 さて、何をやらかすかなぁ。この冬休みから徐々に頭のエンジンの回転数を上げていくことにします。今まではちょっとアイドル気味だったけどいよいよ本格的にスタートです。

 研究者は頭を絞ってナンボの商売ですからね。

 日帰りか一泊くらいで旅行して日常を離れた環境に自分をおくのも良いかなと思っています。ちょっと私事ですぐには無理なんだけど、どこかでやっておきたいなあ。

 あとは宇宙の資源を考えているうちに、経済やら社会情勢やら気が付けば相当の数の本を読んでしまっていました(電子書籍で)。弱肉強食で貧富の差が広がっているのは変わらないですが、いろいろな要素が絡まって将来像が見えづらくなっているみたいです。
 何かのきっかけで社会システムの激変、何て事が起こらなければ良いのですが… 宇宙の資源開発、人類の未来、宇宙進出、それに伴う地球社会の経済、環境の変動などなど、考えることは色々ありそうです。
 もちろん会社の研究として何とか宇宙インフラを利用するというアイディアを出すことも忘れてはいません(これが本業だもんね)。
 本業のアイディアで頭を絞りつつ、思索にもふけりたいところです。これも二足のわらじなのかしら?

 それでは。
 

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ひと休み 三連休でほっと…

こんばんは

 入社以来初めての三連休です。ようやくまとまって休める、という感じです。土日だけだと気が休まるのが土曜一日(日曜はもう月曜のことを考えてそわそわしている)なので、三連休だとずっと骨休めができます。
 こういう気分になるのも、まだ職場に慣れていないからなんでしょうね…

 今日は自宅の無線LAN中継器を新調したので交換作業をしてました。おかげで家中5GHz帯でネットが見られるようになりました。こういう作業も息抜きになるのが助かります。

 さて、明日は落ち着いた休日を過ごして明後日からまた職場です。
 早く職場に慣れて新しい研究を店開きしたいところです。


 それでは

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やはり文理の枠を越えないと…

こんばんは

 新しい職場には未だ慣れません。どうもこういうことに関しては私は動きがのろいので。早く慣れたいところですが……

 で、宇宙資源の研究の話ですが、他の大学でも似たようなことを考えているようですし、我々のグループも考えていますが、宇宙資源→惑星探査→科学→理系という構図ができあがっているようにも感じます。
 我々のグループもその構図をステレオタイプにして取り込みたくはないので、宇宙法の専門家に入って頂いているわけですが。

 ただ、これも単に法理学的な側面だけではなく、もっと社会的なインパクト(かなり言い方が大ざっぱですが)、Social Concernも考慮しなければならないと思います。この方面については逆に「文系」の研究者が中心となった研究グループがありますから連絡を取り合って行ければと考えています。

 少なくとも宇宙資源探査は理系の独占物ではない研究領域だと思います。

 さて、今年の学会が動き出す前にもう少しは新しい職場に慣れないと……


 それでは

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古い文献をまた手に取る

こんばんは

 宇宙資源の本で分厚い本と言えば、NASA SP-509の"Space Resources"がかなり有名な文献ですが、90年代前半の文献のため今は絶版のようです。

 しかし、Amazonのサイトで色々漁っていたところ、これらの本(家にあるのを見ると、これは5分冊になっていて、紙の本では電話帳よりも分厚いです)が、1冊360円でKindleの電子書籍で販売されているではないですか! とにかく安い!
 確かに古い本で、状況認識についても今とはかなり違うところもあると思います。しかし90年代の宇宙資源の盛り上がりをまとめた本としては今でも重要だと思います。

 宇宙資源のグループの方々にはメールで連絡しましたが、このブログ(読んでいる人は誰もいないのだろうけれど)にも忘れないように書いておく次第です。

 やはり、本は多少古くても良いものは良いものです。

 それでは。

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新しい職場

おはようございます

 トップページに書いたとおり、鹿島建設の研究所へ入社しました。ゼネコン業界に戻るのは久しぶりです。入社からまだ3日しか経っていないのに明日月曜から3日間現場へ出張、といういきなりの現場派遣というのもゼネコン業界らしいです(少しでも早く自社の現場の状況を見て勉強してくると言うことですが)。

 この会社も多少宇宙技術と繋がりを持っているので、何とかその辺に入り込んで行ければなと思います。今年の宇宙資源の発表は高専でなく鹿島の所属でしたいですから。

 研究所はもの凄くきれいです。一人一人パーティションで区切られたスペースで集中して仕事できますし、中の設備も整っています(周囲にお昼を食べられる店が少ないというのが難点ですが)。

 さて、何とか慣れて行ければと思っています。

 先ずは簡単にご挨拶でした。

 それでは

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! パスポートの申請に行ってきました

こんばんは

 新しい職場に明日から勤務することになるので、時間が自由になるうちにパスポートの申請をしておこうと、今朝起きたときに思い立ちました。まあ、海外出張がそうそうあるとは思えませんが…

 大急ぎで手持ちの写真(マイナンバーカードを作ったときの残り)を集めて市役所に行って戸籍抄本を取り、立川のパスポートセンターへ行ってきました。
 さすがに月曜日の午前中。空いてました。
 ものの30分くらいで申請が終わったのでほっと一息です。

 受理の問題がありますが、これは日曜日も受け取れるので会社が始まってからでも何とかなるでしょう。
 マイナンバーカードで身分証明になるとは言っても、運転免許を持たない私としてはやはりパスポートが一番の身分証明書です。10年ものを申請しましたが、さてこの間に何回海外に行くことやら…

 まっ、良いか。
 マイナンバーカードとパスポートで身分証明に苦労はしなくなるんだし。

 それでは

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笑う 新しい職場に移ります

こんにちは

 1月の末にでもここの記述を変えますが、2月から新しい職場で働くことになりました。民間の研究職です。どこへ行くのか… については31日に更新するのでご興味があれば見てください。

 ちょっとここのところ在宅での仕事が多くて身体がなまっていることもあり、最初の1ヶ月くらいはキツそうな気もします。まあ、それも仕方がないと言うことで。新しい職場で新しい研究テーマを楽しんでこようと思っています。

 それでは

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出張・旅行 講演してきました

こんにちは

 先週の月曜日に京大の研究会に呼ばれて宇宙資源について講演してきました。そこで特にありがたかったコメントは、「今後宇宙資源開発の商用化が進むことによって齋藤が困っていると思っているのは(1)商用開発が爆発的に進み科学探査に制約が出てくることなのか;(2)商用開発がバブルに終わり、その反動で惑星探査という事業自体が停滞することなのか、どちらなのか」ということでした。
 私は両方とも気にしていましたし心配していましたが自分の中で充分に区別できていなかったと思います。この点がはっきりと区別して認識できるようになったことは私にとって大きいと思います。ありがたいコメントでした。

 こういう噛み合った議論ができる研究会は貴重です。
 その意味で行って良かったと思っています。
 関係各位のご配慮に感謝します。

 それでは

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