研究ブログ

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高エネルギー物理学の歴史から見る「民主主義」

科研費 基盤(C)2016年度から2018年度。

第2次大戦後の日本におけるキーワードであった「民主主義」は科学界においても重要な概念であった。原子力三原則の一つに「民主的」な運営がうたわれているのもその現れである。「科学における民主主義」の歴史的総括を行い将来への指針を探るための端緒として、日本で最初に発展した(純粋) 巨大科学の研究所、高エネルギー物理学研究所の創設を巡って現れた「民主主義」に関する言説を分析した。

 

関係のある論文
  • 平田光可、高岩義信「日本の高エネルギー研究者集団の形成における科研費総合研究宮本斑の役割」科学史研究第56巻281号2017年4月号pp.17-31。

        https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhsj/56/281/56_17/_pdf/-char/ja

  • 平田光可「高エネルギー物理学研究所の誕生ー共同利用機関とは」現代思想44巻12号pp210-220 (2016年).
  • 高岩義信「『研究の民主化』とは何だったのか」日本物理学会誌 Vol. 72, No. 8,pp.588-592 (2017)  

         https://www.jstage.jst.go.jp/article/butsuri/72/8/72_588/_pdf/-char/ja

学会発表
  • 平田光司、高岩義信「原子核将来計画と高エネルギー物理学研究者集団の形成 」 科学史学会(工学院大学)2016年5月29日 
  • 高岩義信、平田光司「原子核特別委員会・研究体制小委員会の描く『民主的』な共同利用研究施設の体制 」 日本物理学会(金沢大学 角間キャンパス)2016年9月15 日
  • 平田光司、高岩義信「初期の東大原子核研究所における大学の自治と研究者の自治の間の葛藤 」日本物理学会(大阪大学  豊中キャンパス) 2017年3月17日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpsgaiyo/72.1/0/72.1_3355/_article/-char/ja
  • 高岩義信、平田光司「原子核特別委員会高エネルギー加速器準備委員会 (KKJ:1962—1964) における『原子核研究将来計画』の検討」日本物理学会(岩手大学 上田キャンパス)2017年 9 月 23 日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpsgaiyo/72.2/0/72.2_2938/_article/-char/ja                              
  • 高岩義信、平田光司「素粒子研究所(原子核研究将来計画)のための高エネル ギー加速器の機種「変更」について」日本物理学会(東京理科大学 野田キャンパス) 2018年3 月 24 日      https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpsgaiyo/73.1/0/73.1_3202/_article/-char/ja 
  • 平田光司、高岩義信「学術会議原子核研究将来計画における体制問題」科学史学会第 65 回年会(理科大学 金町キャンパス) 2018 年 5 月 27 日
  • 高岩義信、平田光司 「1965 年の「素粒子研究所」加速器機種変更をめぐる言説」日本物理学会  (同志社大学 京田辺キャンパス)2018年9月11日  
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpsgaiyo/73.2/0/73.2_2729/_article/-char/ja
     
     

     

     
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にっこり 高エネルギー加速器研究者集団と機種変更

科研費の課題で2019年より活動しています。日本における高エネルギー加速器計画の推進は、高エネルギー物理学研究者集団の形成と同時に行われました。加速器設計と研究者集団の成立をめぐる社会的なダイナミクスを解明するのが目的です。必要な性能を持ち、確実に働く先端的加速器を、「許される」予算の範囲内で設計することは、技術のみで決定できない多くの要素を含み、そこに社会的な要素が関係します。そこにはその学問が社会の中で占める位置のほかに、研究者集団の中での社会要素も関係しているはずです。

 関係のある論文

  • 平田光可、高岩義信「原子核研究将来計画における加速器の機種」『科学史研究』第62巻306号(2023年)7月号、pp.151-167。

学会発表

  • 高岩義信、平田光司「1962 年日本学術会議勧告『原子核研究将来計画』における高エネルギー加速器設計 の変遷 その諸要因とその本質についての考察」日本科学史学会(岐阜大学)2019年5月27日
  • 平田光司、高岩義信「加速器機種変更の社会学 」 日本物理学会(岐阜大学)2019年9月12日 予稿原稿=>yokou-2019-09-12pB21-8.pdf
  • 高岩義信、平田光司「高エネルギー加速器の共同利用の形態のうつりかわり ― 全国大学共同利用から国際化のながれ ―」日本物理学会(岐阜大学)2019年9月12日 予稿原稿=>yokou-2019-09-12pB21-9-v0.pdf
  • 高岩義信、平田光司「原子核研究将来計画の実現における 高エネルギー (加速器) と超高エネルギー (宇宙線)
    」日本物理学会(新型コロナウイルス感染症のため学会公演中止、論文発表) 2020年3月18日 発表論文=>HEPandUHEP3.pdf
  • 高岩義信、平田光司「将来計画をめぐる原子核特別委員会に見られるその『権威』の凋落 」日本物理学会(オンライン開催)2020年9月9日 予稿原稿=> 9pN2-05.pdf
  • 平田光司、高岩義信「1962 年の原子核研究将来計画における機種 」日本物理学会(オンライン開催)2021年3月12日 予稿原稿=> yokou-2021-春.pdf 
  • 高岩義信、平田光司「素研準備調査室の実像 ー 1960 年代「原子核研究将来計画」における原子核研究所 の役割ー」日本物理学会(オンライン開催)2021年9月20日
  • 平田光司、高岩義信「米国エネルギー省 (DOE) の歴史から見た 超電導超大型衝突型加速器 (SSC) 」日本物理学会(オンライン開催)2021年9月20日  予稿原稿=> yokou-2021-秋.pdf
  • 平田光司、高岩義信「日本における素粒子研究所高エネルギー加速器と米国超電導超大型衝突型加速器の機種変更」日本科学史学会(オンライン開催)2022年5月29日
  • Yoshinobu Takaiwa and Kohji Hirata「Institutionalization of High-Energy Physics in Japan」15th Asia Pacific Physics Conference (APPC15(オンライン開催))2022年8月24日
  • 高岩義信、平田光司「素粒子研究所計画から分離された超高エネルギー研究所の準備委員会 CKJ のその後 」日本物理学会(東京工業大学)2022年9月12日
  • 平田光司、高岩義信「日本の高エネルギー物理学形成期に見るトランスサイエンスの一側面」 科学技術社会論学会(東京工業大学) 2022年11月27日  予稿原稿=>  予稿3.pdf
  • 平田光司、高岩義信「学術会議核特委における高エネルギー集団」日本物理学会(online)  2023年3月12日
  • 高岩義信、平田光司「1970 年前後の「原子核研究将来計画」関連諸分野の動向と共同利用研究所 」日本科学史学会(早稲田大学西早稲田キャンパス)2023年5月27日
     
     
     
     
     
    図書
  • 項目執筆 日本科学史学会 (編) 科学史事典、項目「巨大実験・観測装置:高エネルギー加速器」pp.576-577 (丸善出版)2021年5月18日  
     

     
     

 

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KEK最初の10年

KEKとは高エネルギー物理学研究所のことで1971に創設された最初の大学共同利用研究所です(現在は高エネルギー加速器科学研究機構)。当時の欧米の水準からははるかに遅れてはいましたが、日本で初の高エネルギー加速器を建設し、研究者グループを育てました。その後、TRISTAN計画を経て、BファクトリーでCP対称性の破れを発見し、小林ー益川のノ−ベル賞につながります。

現在、総研大とKEKの共同研究として「KEK最初の10年」を進めています。当時のKEKに関わった様々な人のオーラルヒストリーインタビューを行い、記録をKEK史料室アーカイブズします。日本の科学史科学技術社会論にとっての貴重な共有資財産となることを目指しています。もちろん、これを用いた研究も行います。現在、総研大、KEKを中心に10名ほどのグループで活動しています。この活動に参加したい方は、私までご連絡ください。
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