数学と諸科学,そして新しい産業へ 数理視覚科学

数理視覚科学と科学技術、産業数学、産業数理科学、創成型産業数理科学、芸術、新産業の創成。

東京大学大学院教授 新井仁之


数理視覚科学と新しい創成型産業数学

 20世紀に発展した数理科学や応用数学は、たとえば物理現象、化学現象、社会現象、生物現象など、人にとっては外的な現象に関するものがほとんどでした。しかし、近年の数学と脳科学の目覚ましい進展は、知覚や認識など人の内的な現象に切り込む全く新しい数理科学を可能にしつつあります。数理視覚科学は、知覚の中でも最も重要な人の視知覚に切り込むための、新しい科学分野です。従来型のものとは違う数学の応用の新しい姿の一つでもあります。
 また、数理視覚科学は、人の感覚・知覚・認識をターゲットにする新しいタイプの産業の開発の基礎ともなります。たとえば筆者のネーミングですが、感覚産業などもそれに含まれます。従来の産業数学は、既存の産業をアシストするものであったのに対して、数理視覚科学は、数学のみならず関連諸科学も巻き込んで新しい産業を産むことを目指すという意味では、産業数学というよりも、新しく造語をするならば、「産業数理科学」、「創成型産業数理科学」と言えるでしょう。 

 数理視覚科学は,筆者によって立ち上げられた学術分野です。視覚、視知覚、錯覚、認識に関する研究を,21世紀に発展しつつある最新の先端的数学理論を駆使し,必要に応じて新しい数学も創り、

視覚科学,脳科学,知覚心理学,医学,画像処理,コンピュータ・ビジョン,アート

などとの協働により行います.
 
 たとえば,数理視覚科学によって世界で初めて

幾何的錯視の錯視量の自由な制御 (新井・新井 2005).
任意の画像の浮遊錯視への変換 (新井・新井,特許取得,米国特許取得, JST)
文字列傾斜錯視の自動生成 (新井・新井,特許取得,JST)   
色に関する錯視の分析装置(新井・新井、特許取得、JST)
新しい画像処理システム(新井・新井,特許取得,JST)
媒体,画像データ関連 (新井・新井,特許取得,JST)
新しいディジタルフィルタの設計法等(新井・新井,特許取得,JST)
その他特許出願中あり
      ・・・・・


などが可能になりました.たとえば錯視についても、これまでの古いタイプの錯視研究では得られなかったある種の錯視の自動生成,色の錯視の分析装置などが数理視覚科学によって得られています。
 しかしながら、もちろん数理視覚科学にとって,錯覚の研究は単なる応用例の一つにすぎません.本研究成果のうち錯覚に関するものが分かり易く,取り上げられることが多いのですが,錯覚は知覚・認識の一現象です.数理視覚科学に対する誤解を避けるために言うと,数理視覚科学は,錯覚の研究を軸にするという狭い立場は取っておらず,もっと広い多角的な観点から人の視知覚・認識を研究し,さらにそれを発展させるものです.実際,この多角的な研究の成果として,上述のような新しい知的財産となるような諸分野に応用可能な新技術も次々と生まれています.


本研究計画のスローガン: 新しい数学と科学のイノベーションから新しい産業開発へ
本研究のキーフレーズ:内的現象の数理科学、新しい産業を生み出す創成型産業数理科学、知覚科学が生む新しいイノベーション,諸科学との協働によるコンヴァージェンス型知覚科学の確立.
本研究のキーワード:視知覚、錯覚、錯視、知覚,認識,科学、数理モデル、錯視量、錯視量の制御、錯視の創出、錯視アート、錯覚科学、産業数学、イノベーション、ヒトの内的な現象を記述する数学。


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数理視覚科学に関する報道リスト


数理視覚科学に関する新井の研究成果の報道:

日本経済新聞朝刊, 『目の錯覚 取り除け』(2009年2月16日) 

科研費NEWS (2009年第1号)、科学新聞(2009年10月9日刊) 
科研費NEWS html版. 英語版も発行されました 英語版はこちら

『論座』(朝日新聞社刊),錯覚の数式,(2006年7月号)

神奈川新聞,視覚に潜む数理を探る,
(2005年10月16日)

TV はなまるマーケット (TBS, 2011年10月12放送) で研究成果の一部紹介

新井・新井の文字列傾斜錯視自動生成アルゴリズムが、次のメディアで報道:
MSN産経ニュース47News 他 (2012年3月22),東京中日スポーツの紙面,他 (2012年3月23) (共同通信社配信),
ITmedia news (2012年3月23日),
とくダネ!(フジテレビ),ひるおび!(TBS) (2012年3月23日放送).

日本経済新聞Web刊,平行なのに傾いて見える?不思議な文字列,(2012年5月18日).

日経パソコン巻頭「クローズアップ」,「傾く文字列」の自動生成に成功 目の錯覚を数学的に解明する,(2012年5月28日号) PC Online版はこちら.

日本経済新聞朝刊で,新井の数理視覚科学の研究成果がカラー紙面ほぼ全面を使って特集されました.『ハートが鼓動する 数学で読み解く「錯視」』(2012年8月9日刊).

日本経済新聞web刊で、新井による浮遊錯視スーパーハイブリッド画像ハイブリッド画像シェブルールの山と明暗の月が紹介.『静止画なのに絵が動く 錯視アートで異次元体験』(2012年8月10日刊)

読売新聞で、新井の視知覚の数理モデルの研究成果がカラー紙面半分を使って特集されました。『錯視 高機能ゆえの「誤り」』(2012年9月16日刊)


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