錯視日誌 - はじめに -

 
 錯視日誌では、研究、教育、アート,その他のことについて、いろいろなことを書いています。数理視覚科学の研究から生まれた学術的な新しい錯視図形や錯視アートの新作も発表しています。もともとは文字列傾斜錯視日誌という名前で、文字列傾斜錯視自動生成アルゴリズム(新井・新井、特許取得、JST)による作品の発表を中心にしていましたが、文字列傾斜錯視以外の話題が多くなってきたので、名称を「錯視日誌」に変えました。

Copyright Hitoshi Arai. 本日誌の文及びオリジナル画像の無断複製・転載を禁止します
錯視についてならば錯視の科学館へどうぞ.入り口はこちら:

http://araiweb.matrix.jp/Exhibition/illusiongallary4.html

 

錯視 日誌

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2017/06/26new

『Nautilus』で錯視・画像処理の数理の研究が紹介されました

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アメリカの『Nautilus』 で新井の浮遊錯視、錯視のコントロール、画像処理などの数学的研究が取り上げられました。記事のタイトルは
How Japanese Floating Illusions Reverse-Engineer What We See
で、記事を書かれたのは George Musser 氏です。
記事はこちら:
 http://nautil.us/blog/how-japanese-floating-illusions-reverse_engineer-what-we-see

Nautilus はアメリカで2013年に創刊された科学誌(オンラインと紙媒体)とのことです。
Nautilus誌に関する詳細はこちら:
http://nautil.us/
21:31 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/06/05

ITmedia NEWS で新連載 コンピュータで"錯視"の謎に迫る

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ITmedia NEWS で連載を始めました。
『コンピュータで "錯視" の謎に迫る』
第1回は
指でなぞるとびっくり! 驚きの“渦巻き錯視”って知ってる? 
です。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1706/05/news014.html
10:34 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/05/31

チェス盤とチェスの駒 どこが錯視?

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次の画像,じつは錯視画像です.どこが錯視でしょう?



じつは,チェス盤のマス目も駒も,輪郭線のところ以外は全部同じ輝度・色なのです.チェス盤とチェスの駒の錯視(新井仁之・新井しのぶ,2016)です.
どうしても違う輝度 / 色に見えてしまうという方は,次の動画デモをご覧ください.



ほかにこの種の錯視として墨絵効果(高島翠氏)や水彩効果(Pinna 氏他)が知られていますが,本作品は新しいタイプのエッジに起因する明暗の錯視です.詳しくは『錯視の科学館』の
エッジに起因する明暗と色の錯視と画像処理
をご覧ください.
08:11 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/05/31

数理の国の錯視研究所の錯視

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数理の国の錯視研究所(日本科学未来館)が 5月15日で終わりました.
そこで,さよなら数理の国の錯視研究所の錯視を作成してみました.1枚の画像が、見る距離で三つの異なる画像に見えるスーパーハイブリッド錯視です.デモ動画でご覧ください.



さよなら数理の国の錯視研究所のスーパーハイブリッド錯視(新井仁之,新井しのぶ,2017)


ハイブリッド画像とスーパーハイブリッド画像の違い
オリバーらは、一つの画像が遠くから見たときと近くから見たときで異なって見えるハイブリッド画像を2006年に発表しました。新井仁之・新井しのぶは、2012年に見る距離によって三つの異なる画像を作成し、スーパーハイブリッド画像と呼びました。
08:08 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/05/03

錯視にだまされるな。GW錯視クイズです。

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錯視クイズです。
中央の黄色い矢印で示した方に、ねじれた細い帯の間を進んでいくと、A、B、C のどこにたどり着くでしょう?


フレーザー錯視を使った双曲型錯視です。
答えはC
11:48 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/04/12

東京大学入学式限定販売の浮遊錯視図書カード

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東京大学が入学式限定で浮遊錯視図書カードを発売しました。数学を用いた浮遊錯視生成アルゴリズム(新井・新井)による錯視画像で、東大にゆかりのある曲面の数理模型が動いて見える錯視になっています。数学・数理科学の研究成果を使った製品です。


(写真のため錯視量が減ってます。)
裏の台紙には錯視の説明が書いてあります。

19:02 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)
2017/04/07

東京大学から浮遊錯視雑貨発売!数学で錯視は制御できる。

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以下、東京大学によるプレスリリースからの抜粋です:

数学で錯視は制御できる!
アルゴリズムを用いて「浮遊錯視」化した画像を活用し
オリジナルデザイン雑貨を開発
東京大学コミュニケーションセンターにて発売開始
図書カードは入学式(4月12日)会場での当日限定販売!(※)


国立大学法人東京大学は、大学院数理科学研究科新井仁之教授及び新井しのぶ氏が開発した浮遊錯視生成アルゴリズムを用い、本学に縁がある画像を浮遊錯視化し、それをデザインに活かしたオリジナル雑貨を「浮遊錯視シリーズ」として平成29年4月7日より発売開始いたします。シリーズ第一弾は、ハンカチやポケットチーフ、液晶クリーナー等さまざまなシーンで使える「多目的クロス」および入学式限定販売の「図書カード」の2点です。


詳細は東京大学プレスリリースをご覧ください。
http://www.u-tokyo.ac.jp/content/400061826.pdf
pp. 8-11

東京大学コミュニケーションセンター(本郷)とIMT ブティック(丸の内 KITTE 3階)で販売が開始されました。

  ⇩ 浮遊錯視雑の一つです。

浮遊錯視クロス。クロスに顔を近づけたり遠ざけたりすると、THE UNIVERSITY OF TOKYO の文字が円上を動いて見える。


23:16 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/04/04

『シュルレアリスムとその展開』でマックス・エルンストを観る

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 一昨日の日曜日に「シュルレアリスムとその展開」を観に行きました。場所は軽井沢ニューアートミュージアム、駅と軽井沢銀座の間にあるそれほど大きくはない美術館です。この展覧会ではマックス・エルンスト『百頭女』の初版フルセットの本邦初公開のほか、上原木呂、ヤン・シュヴァンクマイエルの作品が展示されています。
 正直に言うとシュルレアリスムはそれほど好きではありません。その理由は、一言で言えば,ただ脳が疲れるからです。多分視覚野だけでなくカテゴリーの連想を司る部分も酷使するからでしょう。美術の専門家の方はどうなのかわかりませんが、現実的なものの一部分を非現実的な組み合わせで接合されると、どうしてもその接合の仕方や接合部分に引き込まれて目が離せなくなり、やがて閉塞感で息苦しくなり、絵から解放されて自由になりたくなってしまいます。しかし、今回の作品群では(シュルレアリスムではよくあるようですが)絵の表題が余りに意味ありげなものだったので、絵の中に表題の意味を読み取ろうとしてしまい、絵に縛られて動きがとれない状態が続きました。結局、自分の中に生まれた絵に対する問題を解決できないまま、苦しさのあまり何とか絵の束縛力を振り切って、次の作品に逃避しました。そしてその繰り返しです。それに加えて今回の作品群は古いヨーロッパの細密画のように描かれていたため、どうしても絵を構成する線の一本一本まで見てしまい、結果、展覧会を見終わったときには、立っているのがやっとというくらいにへとへとになっていました。
 幸いこのミュージアムには確かレストランが付いていたので、そこでココアでも飲んで休もうと思いきや、ランチタイムとディナータイムの狭間で閉店していました。
 「シュルレアリスムとその展開」、とにかく脳も体も疲労困憊しました。
 どうも私にはまだシュルレアリスムの見方がよくわかっていないようです。もしかすると、知らず知らずに不合理の中に合理性を求めているから見ている自分自身が破綻するだけで、何も考えずに、もっと気楽に提示された不合理に対する不安感、いらだち、不気味さ・・・を単純に楽しむという、不合理への順応をしてしまえばよいのかもしれません。
 とはいってもシュルレアリスムの展覧会があれば、きっとまた見に行ってしまうでしょう。そして閉ざされた門を開けようとするものの、門前にいるスフインクスの謎が解けず、退散することに。
 こんな試行錯誤をしておらず、関連した美術の専門書を読んだり、講義を聴いたりして真面目に勉強すれば手っ取り早いのでしょうが(だからといってそれで理解できるとは限りません)、今はとにかく諸事忙しく、なかなかそれができないのが現状ですし、機会があればまた独力で何とかすることを試みたいと考えています。
01:03 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/03/29

円上を動いて見えるキャンベル缶

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キャンベル缶の浮遊錯視 回転版です.
中央の小さな丸印を見ながら顔を近づけたり遠ざけたりすると,キャンベル缶が円上を動いているように見えます.アンディ・ウォーホルの作品にインスパイアされて作成した錯視です.

キャンベル缶の浮遊錯視(回転版),H. Arai and S. Arai, 2017.
18:16 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/03/29

静止画なのに動いて見えるキャンベル缶 Ver. 2

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キャンベル缶が動いて見える錯視のバージョン2です.錯視量が Ver. 1 よりもかなり増えています.
画像を上下(または左右)に動かすと,缶が左右(または上下)に動いて見えます.アンディ・ウォーホルの作品にインスパイアされて作成した錯視です.

キャンベル缶の浮遊錯視
キャンベル缶の浮遊錯視 Ver. 2  (Hitoshi Arai and Shinobu Arai, 2017).
12:36 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/03/28

動いて見えるキャンベル缶

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キャンベル缶が動いて見える錯視を作りました.アンディ・ウォーホルの作品にインスパイアされたものです.
画像を上下に動かすと(あるいは画面をスクロールすると),キャンベル缶が左右に動いて見えます.画像を左右に動かせば,缶は上下に動いて見えます.


22:56 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/03/22

ウェーブレットの数学理論でメイエ氏がアーベル賞受賞!

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今年のアーベル賞受賞者は、ウェーブレットの数学理論の構築で中心的な役割を果たしたY. メイエ氏でした。
http://www.abelprize.no/nyheter/vis.html?tid=69588 
⇩はメイエ・ウェーブレットのグラフです。Maple を使って計算しました。


メイエ氏の記念碑的なご著書『ウェーブレットと作用素』(Wavelets and Operators)の本の紹介です。昨年書いたものですが・・・
http://researchmap.jp/jo9ewqgt4-1782088/#_1782088
18:17 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/03/18

数学の魅力6 -女子中高生のために:数学でせまる錯視のなぞ

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明日です。
『数学の魅力6 - 女子中高生のために』
にて
”数学でせまる錯視のなぞ”
のタイトルで講演します。
事前登録制です。申し込みとプログラムはこちら ⇩
http://faculty.ms.u-tokyo.ac.jp/users/charm/charm06/
女性教員・現役女子学生とのランチ交流会、数学に関する講演が三つあります。


05:02 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/03/15

数学によるパッケージイノベーション

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明後日です。
第7回パッケージイノベーションセミナー
-パッケージを進化させる新たな技術や考え方-
『錯視の科学と錯視を応用したパッケージ技術について』(新井仁之)
詳しくはこちら ⇩
http://www.jpi.or.jp/saiji/seminar/2017/0317.html 
他の方のパッケージに関する講演もあります。
07:18 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/03/13

錯視のシステム視覚科学シンポジウムに参加

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立命館大学大阪いばらきキャンパスで開催された
錯視のシステム視覚科学シンポジウム
に参加、講演をしてきました。主催は
立命館大学総合科学技術研究機構 システム視覚科学研究センター 
というところです。視覚科学の研究センターがあるなんて、うらやましい限りです。

私の講演タイトルは『錯視と視覚の数学的研究とその画像処理への応用』でした。
プログラムは
プログラム
会場の玄関に飾ってありました。この写真だと少しわかりにくいですが、
文部科学省私立大戦略的研究基盤形成支援事業
「視機能再構築に向けたシステム視覚科学際的研究拠点の創生」 
も主催の一つになっていました。
視覚の学際的研究というのは、今後非常に重要な学術領域になっていくと考えられます。私見ですが、視覚科学と数理科学の融合も可能性と展望は非常に大きいと思います。

 会場は立命館フューチャープラザでした⇓
フューチャープラザ
04:40 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/03/13

数理科学4月号の立ち読みコーナー

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雑誌『数理科学』4月号の特集は
”関数解析的思考法のすすめ - 数理科学に表すその姿 -”
です。
「立ち読み」コーナーで「関数解析の広がり」(新井仁之)が少し読めます。
立ち読みコーナーはこちら ⇓
http://www.saiensu.co.jp/?page=magazine&magazine_id=1#jigou
03:43 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/03/04

医歯協MATEのSCIENCE&TECHNOLOGY

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東京医師歯科医師協同組合の雑誌に『医歯協MATE』があります。その最新号(2017・3)の Science & Technology というコーナーは

 「錯視」はなぜ起こる? 数学で視覚の仕組みに迫る

です。取材協力と画像提供をしました。私の視覚・錯視の数学的な研究と、画像処理への応用が4ページにわたって紹介されています。


02:50 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)
2017/02/13

数学でせまる錯視のなぞ @数学の魅力6 -女子中高生のために-

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『数学の魅力6 - 女子中高生のために -』
(3/19, 於東京大学大学院数理科学研究科)
にて、錯視の講演をします。
「数学でせまる錯視のなぞ」(新井仁之)

錯視のなぞにせまりながら、最先端の数学ならではの魅力もお話ししようと思います。数学の予備知識は要りません。中学1年生の方にも楽しんでもらえるストーリー構成です。錯視画像もたくさん楽んでいただけます。

参加には事前登録が必要です。
詳しくは下記をご覧ください。
http://faculty.ms.u-tokyo.ac.jp/users/charm/charm06/
数学に関する他の講演と企画もあります。
19:05 | 投票する | 投票数(1) | コメント(2)
2017/02/12

特異値分解は結構パワフル

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特異値分解は,通常の線形代数の教科書では取り上げられることが少ないようですが,結構パワフルです.
⇩ 特異値分解の丁寧な解説と,画像処理などいろいろな応用もあります.

第2刷が出ました.
02:55 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/02/09

有限個のデータの数学、『線形代数 基礎と応用』重版出来

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長い間品切れ状態でしたが、第2刷ができました。
「線形代数 基礎と応用」(新井仁之著、日本評論社)。
『無限個のデータを扱う数学が解析学であり、有限個のデータを扱う数学が線形代数である。』(上掲書序文より)
という思想で書いたものです。線形代数の基礎から始めて、一般化逆行列、特異値分解、離散フーリエ解析、離散ウェーブレット解析を詳しく解説。多変量解析への応用にも触れています。
第1刷は2006年刊。もうあれから10年以上たってしまいました。光陰矢の如しです。


21:30 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/02/07

視覚と錯視の数学的研究を画像処理に応用した結果をアップしました

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ホームページにアップしました。
視覚と錯視の数学的研究から生まれる新しい画像処理技術
こちらからどうぞ

脳、視覚、錯視、数学、画像処理。これらがキーワードの数理視覚科学の応用的側面の一つを簡潔に解説しました。
どうぞご覧ください。
22:18 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/02/07

文字列傾斜錯視自動生成ソフト体験コーナー@日本科学未来館

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 数理の国の錯視研究所@日本科学未来館には、文字列傾斜錯視自動生成ソフト(新井・新井)の体験コーナーもあります。好きな文字を入れると、その中から傾いて見える文字と配列が計算され、文字列傾斜錯視が自動的にできます。
(ただ文字列によっては,その中から文字をどのように選んで配列しても錯視ができない場合もあります。たとえば「あああああ」。)

↓ 日本科学未来館にて


 このソフトには、ランダムに文字が入力され、その中から傾いて見えるような文字と配列が自動的に計算されて文字列傾斜錯視が見つかる「おまかせ入力」ボタンもあります。偶然、すごい錯視量の文字列傾斜錯視が見つかるかもしれません。


06:28 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)
2017/02/04

数理の国の錯視研究所 英語解説も

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数理の国の錯視研究所@日本科学未来館には、すべての解説に英語版があります。
海外の方も数学的方法による錯視の研究を楽しんで学んでいただけると思います。
↓ 「数学を使った錯視の研究とは」(新井仁之)の英訳されたパウチ。


23:39 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/02/04

Miraikan Shop で数学による錯視コーナー

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日本科学未来館の Miraikan Shop で、錯視本と錯視チョコレートのコーナーができていました。
六花亭ラウンドハート、<錯視>だまされる脳(ミネルヴァ書房)、越境する数学(岩波書店、表紙が浮遊錯視&「視覚と錯覚の数理科学」(新井仁之著) 所収)などが展示販売されています。
なお3Fの『数理の国の錯視研究所』では、数学を使った錯視の研究を楽しみにながら学べます。




21:37 | 投票する | 投票数(1) | コメント(2)
2017/01/21

六花亭バレンタイン・ラウンドハート浮遊錯視2017年バージョン

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今年の六花亭、バレンタイン・ラウンドハートです。
顔を画像に近づけたり遠ざけたりすると、ハートが動いて見えます。


六花亭 バレンタイン・ラウンドハート 2017年バージョン

新井仁之・新井しのぶによる浮遊錯視が缶にデザインされてます。
この浮遊錯視は、新井・新井による視覚の数理モデルを使って作成したものです。

今年は『数理の国の錯視研究所』を開催中の日本科学未来館のショップでも販売してます。
https://twitter.com/miraikan/status/822013317938118656

こちらは六花亭のサイト:
https://www.rokkatei-eshop.com/store/ProductDetail.aspx?pcd=10602
00:32 | 投票する | 投票数(2) | コメント(0)
2017/01/16

パッケージイノベーションと数学

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3月17日に
第7回パッケージイノベーションセミナー
-パッケージを進化させる新たな技術や考え方-
にて講演します。タイトルは
『錯視の科学と錯視を応用したパッケージ技術について』
です。数学を使った新しいタイプの錯視パッケージに関するお話です。

なおこのセミナーは、日本包装技術協会主催で、
TKPガーデンシティPREMIUM秋葉原
にて行われます。

プログラム・参加申込書はこちら(参加費が必要です)。
http://www.jpi.or.jp/saiji/seminar/2017/pdf/0317.pdf

下記のサイトからもWEB申し込みができます。
http://www.jpi.or.jp/saiji/seminar/2017/0317.html

23:34 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2017/01/10

今年の抱負

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今年も引き続き、
『脳・視覚・画像処理・数学』
をキーワードに数理視覚科学の研究を進めていこうと思います。

それから
錯視の科学館
のコンテンツも増やしていくつもりです。
22:30 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)
2017/01/09

雑談

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一昨日,人形町に出かけたときに入ったとんかつ店。貼り紙がしてありました。
熊!?



人形町に寄ったついでに夕方、小伝馬町の吉田松陰終焉の地に。


「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂」
19:03 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2016/12/29

数理の国の錯視研究所、正面の大きな看板について。

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日本科学未来館・数理の国の錯視研究所の正面にある大きな看板。



これに使われている浮遊錯視デザインはデザイナーの大日本タイポ組合さんと、新井仁之・しのぶのコラボ作品です。案内用のポストカードにも使われています。


(ポストカードの浮遊錯視デザインの部分の写真。画像を上下(または左右)に動かすと、文字が左右(または上下)に浮遊して見えます。)



数理の国の錯視研究所は来年5月15日まで公開してます。
http://www.miraikan.jst.go.jp/info/1611081920818.html

お近くにお立ち寄りの際は、どうぞご覧ください。
22:39 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)
2016/12/26

メディアラボ第17期展覧会ポストカードできました

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日本科学未来館 第17期メディアラボ展覧会『数理の国の錯視研究所』の案内用ポストカードができました。


はがきうら【浮遊錯視:はがきの浮遊錯視デザインはデザイナーの大日本タイポ組合さんと新井仁之・しのぶのコラボ作品です。はがきを上下、左右に動かすと「数理の国の錯視研究所」の文字が左右、上下に浮遊して見えます。この錯視画像には浮遊錯視生成アルゴリズムの特許技術(発明者:新井仁之、新井しのぶ、JST)が使われています。】



はがきおもて


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2016/12/24

今年の本

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今年出版された本.
<錯視>だまされる脳(ミネルヴァ書房)
朝倉数学辞典(朝倉書店)


03:02 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2016/12/10

漱石生誕の碑

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今日は『硝子戸の中』にも出てくる夏目坂を散策。某飲食チェーン店の前に夏目漱石生誕の碑がありました。


23:59 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2016/12/04

錯視 + 数学 ⇒ 科学技術への発展

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錯視の数学的研究から生まれた新しい画像処理技術(新井)の展示と解説もあります。錯視作品とともに、現在進行形の「錯視 + 数学 ⇒ 科学技術への発展」もご覧ください。@ 数理の国の錯視研究所 [日本科学未来館]
http://www.miraikan.jst.go.jp/info/1611081920818.html
09:09 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2016/12/03

分裂中の3次元ハルナック集合の図

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分裂途中の3次元ハルナック集合。分裂が完了すると、リーマンの方法では体積が測定不可能になる。ただし完了までには、あと無限回分裂を繰り返さなければならない。したがって、誰もその真の姿を描くことはできない。



00:27 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2016/11/23

数理工学シンポジウム 2016 @武蔵野大学有明キャンパス

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21日武蔵野大学有明キャンパスで開催された数理工学シンポジウムで講演をしてきました。数理工学の人たちの集まりに呼ばれたのは初めてだと思います。
このシンポジウムには可積分系の方が何人かいらしていて、思わず一般向けのソリトンと渋滞の講演を聞くことができました。
私の演題は『数理視覚科学による錯視の研究と画像処理への応用』でした。有明キャンパスは日本科学未来館の近所だったので、『数理の国の錯視研究所』の宣伝もほんの少しさせていただきました。錯覚関係では他には杉原先生の不可能立体の話がありました。
13:50 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)
2016/11/15

日本科学未来館メディアラボ 『数理の国の錯視研究所』

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2016年11月17日、木曜日、ついに日本科学未来館で「数理の国の錯視研究所」が公開されます。
浮遊錯視等のグラフィック作品、スーパーハイブリッド画像の映像作品、画像処理への応用、文字列傾斜錯視自動生成ソフトなど、数学を使った研究成果が展示されています。
詳細が日本科学未来館のホームページに発表されました。
http://www.miraikan.jst.go.jp/info/1611081920818.html

来年5月15日まで公開しておりますので、お時間のあるときにでもぜひご覧ください。
20:45 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2016/11/08

数理の国の錯視研究所@日本科学未来館

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『数理の国の錯視研究所』(@日本科学未来館メディアラボ)が11月17日から公開。
詳しくは
日本科学未来館によるプレスリリース(ここ)
をご覧ください。

新井仁之(東京大学)による浮遊錯視等のグラフィック作品、スーパーハイブリッド画像の映像作品、画像処理への応用、文字列傾斜錯視自動生成ソフトなど、数学を使った研究成果が展示されています。
開催は2017年5月17日までです。
14:37 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2016/11/06

リーマン没後150年。WEB版現代数学入門講座 リーマン関数とウェーブレット

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WEB版 現代数学入門講座 第2回をアップしました。タイトルは
『リーマン関数とウェーブレット』
リーマン没後150年を記念(?)しての講義です。
ここで見ていただきたいことは、
 フーリエ変換を虫眼鏡にたとえるならば、ウェーブレット変換は電子顕微鏡なみ
 の性能を持っている
ということです。

                       リーマン関数のグラフ


   リーマン関数のウェーブレット解析図(一部)

詳しくは
http://www.araiweb.matrix.jp/semi208/RiemannWavelet1.html
(WEB版現代数学入門講座第二回)
23:21 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)
2016/10/25

脳のひみつ

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『脳のひみつ しくみ、はたらきがよくわかる!』(川島隆太先生監修、PHP研究所刊)が10月24日に発売されました。この本には「脳は簡単にだまされる 錯視のふしぎ」という節があります。
この節と見返しに、新井・新井作の錯視作品と錯視画像が掲載されてます。

脳のひみつ (楽しい調べ学習シリーズ)
PHP研究所(2016/10/25)
値段:¥ 3,240


17:45 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)
2016/10/22

視覚情報と自動運転 -異分野に数学者が協働してます

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異分野に数学者が協働しているセミナーと言えるでしょう.
第70回日本臨床眼科学会イブニングセミナー(第22回 VISION TIMES セミナー)『視覚情報と自動運転』で,講演とパネルディスカッションをします.場所は国立京都国際会館.私の講演タイトルは
『視覚情報処理の数理モデルとその錯視,画像処理への応用,そして展望』
です.
15:55 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)
2016/10/15

オリジネータの本は違う!メイエの『ウェーブレットと作用素』

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 ウェーブレットの数ある本の中で,ウェーブレットの数学理論の基礎を作ったイヴ・メイエの『Wavelets and Operators』(Cambridge UP, 1992)は他書とは一線を画しています.メイエは応用数学のフィールズ賞ともいわれているガウス賞を,ウェーブレットの数学理論と調和解析に関する貢献により受賞しています.この本は応用数学者メイエの面目躍如たる入門書で,それは,分かり易さのために数学的正確さを犠牲にした単なる解説書とは対極をなしています.そうだからといってメイエの厳密で精緻な筆致は,決して分かりにくいものではなく,むしろウェーブレットの数学の仕組みを細部に至るまで透けて見えるように提示していると言えるでしょう.そして何より,その厳密な証明はアイデアの原石の宝庫となっています.表面的な理解をさせる本はたくさんあるかもしれませんが,新しいアイデアの種を汲み出せる本はそうあるものではありません.さすが第一級の学者の著書は違う!とうならせます.若いうちにこういうホンモノに親しんでおくのは良いことだと思います.
 オリジネータの書いた本としては, L. シュワルツの『超関数の理論』(訳本は岩波書店)が示唆に富む優れた解析学の本でしたが,『Wavelets and Operators』もそれに劣らずすばらしいものです.

本書の内容はだいたい次のようになっています.
 第1章は
「フーリエ級数,フーリエ変換,フィルタリング,そしてサンプリング」
というタイトルで,古典的な調和解析のバックグラウンドが概説されています.
 第2章では S. マラーとメイエにより創始された多重解像度近似の理論が詳細に解説されています.この概念は今では空気のように浸透していますが,もともとはマラーとメイエにより考案された考え方です.
 ところで多重解像度近似については,こんなエピソードが知られています.この部分の原論文『多重解像度近似とウェーブレット』はマラーの単著ですが,それは当時,メイエがすでに著名な教授であったので,20代前半のマラーの単著で出版するようにしたのでした.研究グループのリーダーだから,あるいはちょっとアドバイスしたから,研究費を補助したからといって,若い人の論文に自分の名前も共著者として末尾に加えさせるタイプの人とは違います.
 第3章は正規直交ウェーブレットとして,いわゆるメイエのウェーブレット,ドブシーのコンパクト台をもつウェーブレットなどが構成されています.
 第5章,第6章はさまざまな関数空間への応用です.この部分はメイエの得意部門で,その後,調和解析に多くの話題を提供することになりました.

 ちなみに,『Wavelets and Operators』はじつは英訳の本で,原著は 1990 年に Hermann書店からフランス語で出版されました.1990年に出版されたときは,日本でも実解析の研究者はこぞって(?)買い求め,フーリエ解析とは違うその革命的な発想に驚嘆したものです.

 ついでに蛇足として,ウェーブレットに関する個人的な思い出を書きますと,私がウェーブレットを知ったのは 1988年か 89年のころでした.当時,プリンストン大学の数学科に滞在していたのですが,そこに1か月ほど日本から I 先生がプリンストンにいらっしゃいました.I 先生から最近,ウェーブレットというのが出てきて,これはすごいものだということを聞きました.それから少しして,イェール大学のR. Coifman 氏がプリンストン大学のセミナーでウェーブレットとヒルベルト変換について講演をされ,これがウェーブレットかと思いました.しかし,私がウェーブレットに本格的に関わるようになったのは,それから10年以上してからです.視覚と錯視の研究に使うためでした.最も視覚と錯視の研究にはウェーブレットでは不足で,フレームレットの一つであるかざぐるまフレームレットなどを作ったわけですが.
 しかし,それにしてもその10年の間にウェーブレットは理論的にも実用的にも爆発的な進展を遂げました.近年,自然科学の進歩は加速化していますが,ウェーブレットもその一例になっていたようです.
 




他の本の書評は『私の名著発掘』へどうぞ
https://researchmap.jp/joqw0hldv-1782088/#_1782088



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2016/10/14

今月の輝数遇数 ー 数学教室訪問

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たまたま雑誌『現代数学』の表紙を眺めていたら,今月号の「輝数遇数 - 数学教室訪問」はJSTさきがけでお世話になった津田一郎先生でした.言うまでもありませんが,津田先生は脳の数学的な研究で有名な方です.
「心はすべて数学である」
というお言葉(&ご著書のタイトル)は,数学者にとってまるで宇宙を前にしている物理学者のような心持ち(といっても私は物理学者ではないのであくまで想像ですが)にさせる一文です.

心はすべて数学である
津田 一郎
文藝春秋(2015/12/09)
値段:¥ 1,620




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2016/10/07

数学の講義?錯視の講義?

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数理視覚科学の講義といっても,数学の講義の教材に錯視を使って,数学の面白さをアピールするのか,それとも錯視の講義で数学的方法を題材にして,錯視研究のさらなる展開を話すのか.同じテーマの講義でも二つの選択肢が考えられます.
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2016/10/04

学習雑誌 『小学二年生』(小学館)が休刊.

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『小学二年生』(小学館)が休刊になるというニュースがありました.大正14年創刊だそうです.(同系の雑誌では『小学三年生』から『小学六年生』がすでに休刊になっております.)昔からある老舗雑誌がなくなるのは寂しいものです.
長い間,子どもたちに知識と夢を与えてくれて,ありがとうございました.

以前,小学二年生の編集部から錯視画像の作成を依頼され,そのときに作った文字列傾斜錯視です.

文字列傾斜錯視

詳しいことは下記を参照してください.
『小学二年生』(2008年12月号,小学館)に掲載された文字列傾斜錯視(「錯視の科学館」展示より)
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2016/09/30

スーパーハイブリッド画像  数学による錯視研究

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マリリン・アインシュタインなどで有名なハイブリッド画像を更に発展させたスーパーハイブリッド画像(by H. Arai & S. Arai)が
『Newton 錯視と錯覚の科学 残像と消える錯視』
に掲載されています.9月26日に Kindle 版が出ました.
スーパーハイブリッド画像は,新しいフィルタ設計技術など(特許:新井・新井,JST)の数学を駆使して得た成果です.

Newton 錯視と錯覚の科学 残像と消える錯視
科学雑誌Newton
株式会社ニュートンプレス(2016/09/26)


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2016/09/26

日経電子版『平行なのに傾いている?不思議な文字列』

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日経電子版『平行なのに傾いている? 不思議な文字列』                   
http://style.nikkei.com/article/DGXBZO41472170W2A510C1000000?channel=DF280120166607
が公開されていました.
文字列傾斜錯視に関する新井の研究が詳しく取り上げられています.
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2016/08/28

朝日新聞で視覚・錯視・画像処理の数学的研究が紹介されました

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本日の『朝日新聞』朝刊紙面の「科学の扉」で新井の数学を用いた視覚・錯視・画像処理の研究が紹介されました.また本研究の将来展望の一つにも少し触れられています.
紙面掲載の浮遊錯視を載せます(紙面では錯視が弱くなっているようです).

錯視の見方:画像に顔を近づけたり遠ざけたりするとハートが動いて見えます.


参考サイト:
錯視の科学館 
http://www.araiweb.matrix.jp/Exhibition/illusiongallary4.html
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2016/08/23

ディーバーな関数論.笠原乾吉著『複素解析』(ちくま学芸文庫)

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 ちくま学芸文庫からさまざまな数学書が文庫化されていることは今更ここで言うまでもないことですが,今月,また新たに一冊加わりました.
 笠原乾吉著『複素解析 1変数解析関数』.
 今回も期待を裏切らない渋い選択です.本書はもともと実教出版から1978年に出版されたもので,私も学生時代お世話になりました.

【ヘルマンダリズムと本書】
 かつて故倉田令二朗氏は数学セミナーでの伝説的な連載『多変数複素関数論を学ぶ』(1977-78)において,L. ヘルマンダーの多変数複素解析の方法を「ヘルマンダリズム」と呼びました.笠原著『複素解析』はそのヘルマンダリズムの雰囲気を醸し出している入門書と言えるでしょう.ヘルマンダリズムというのは,岡潔氏の仕事を非斉次コーシー・リーマン方程式という連立偏微分方程式を解くことに帰着させる主義を意味するものです.本書でも第5章では1変数のクザンの加法的問題が非斉次コーシー・リーマン方程式(後述)を解くことにより証明されています.クザンの加法的問題は,与えらえた極と主要部を有する有理型関数の存在を保証するミッタグ・レフラーの定理を一般化したものです.1変数複素解析の教科書でクザンの加法的問題を取り上げているものは極めて珍しいといえます.
 ヘルマンダリズムといえば,創始者のヘルマンダー氏の本 "An Introduction to Complex Analysis in Several Variables" (1966)があり,その第1章が1変数複素解析に充てられています.正則関数の定義から初めて,測度論や関数解析を使ってルンゲの近似定理,ミッタグ・レフラーの定理,クザンの問題,ワイエルシュトラスの定理,さらにヘルマンダー氏の本を読み進めるのに必要となる劣調和関数の諸定理まで,証明を付けてわずか21ページで片づけてしまうというものです。初学者にはあまりのスピード感に恐ろしさすら感じてしまうかもしれません.
 これに比べると笠原著『複素解析』は初心者思いで,測度論や関数解析を予備知識として仮定せず,しかも1変数複素解析の有用な定理全般,たとえば正則関数の諸性質,留数計算,1次変換,リーマンの写像定理をはじめ,ポアンカレ計量の幾何や楕円関数,モジュラー関数の初歩も身に着けられるような配慮が行き届いています.

【本書の方向性を決定づけている冒頭部】
 ヘルマンダーの本でもそうですが,本書でも冒頭でいきなり偏微分作用素

\frac{\partial}{\partial z}=\frac{1}{2}\left( \frac{\partial}{\partial x}-i\frac{\partial}{\partial y}\right), \quad \frac{\partial}{\partial\bar{z}}=\frac{1}{2}\left( \frac{\partial}{\partial x}+i\frac{\partial}{\partial y}\right)

が導入され,コーシー・リーマン方程式

\frac{\partial f}{\partial \bar{z}}=0

が現れます.この導入は本書の方向性を決定づけているといえます.本書に現れる最初の「定理」は偏微分方程式論風の「 C^1級関数の場合,複素微分可能であることとコーシー・リーマン方程式をみたすことが同値である」というもので,その証明は終始本質的に実関数論的な計算によっています.正則関数は  C^1 級関数が複素微分可能であることでもって定義されます.グルサーの定理によれば正則性を定義するのにC^1級であることは不要なのですが,本書では議論の「効率化」を図るため C^1級を仮定しています.また,コーシーの積分公式はグリーン・ストークスの定理を援用して一般化コーシーの積分公式

f(z_0)=\frac{1}{2\pi i}\int_{\partial D}\frac{f(z)}{z-z_0}dz-\frac{1}{\pi}\int\int_D\frac{1}{z-z_0}\frac{\partial f}{\partial \bar{z}}dxdy

を導き,コーシー・リーマン方程式を使って効率的に証明されています.
 本書のこの導入部とその後の議論展開を,関数論の古典的な本,たとえば吉田洋一著『函数論』(岩波全書)と比較すると,クラシックな建物と機能的でモダンな建築物のような違いが感じられます.もちろんどちらもそれぞれに良く,吉田著『函数論』の味わいもすばらしいものです.


【非斉次コーシー・リーマン方程式と複素解析】
 ところで非斉次コーシー・リーマン方程式というは,領域 D において,与えられたC^{\infty}級関数v(z) 対して

\frac{\partial u}{\partial \bar{z}}=v

をみたす C^{\infty}級関数 u(z) を見つけるという問題です.ヘルマンダリズムは,岡潔により解決された多変数複素関数論の難問を,この非斉次コーシー・リーマン方程式の多変数版を解くことにより,岡潔とは全く別の方法で解決してしまいます.
 非斉次コーシー・リーマン方程式は,もし解ければ正則関数(すなわちコーシー・リーマン方程式の解)を作るのに非常に便利なものです.本書の付録VIにも解説がありますが,たとえば正則とは限らない関数  \varphi(z) が得られたとします.このとき,v=\frac{\partial\varphi}{\partial \bar{z}} とおきます.もしこれに対する非斉次コーシー・リーマン方程式の解 u が見つかれば,f=\varphi -u とおくことにより正則関数 fが得られるのです.

では,非斉次コーシー・リーマン方程式はどのように解けばよいのでしょうか?本書の定理5.5.3にその解の構成方法が書かれています.1変数の場合,本質的な部分は,もしvがコンパクト台をもてば

u(z)=-\frac{1}{\pi}\int\int_D\frac{v(\zeta)}{\zeta -z}d vol(\zeta)

が一つの解になっていることです.これを基にして比較的容易に非斉次コーシー・リーマン方程式を解くことができます.といっても厳密な証明には実関数論的に少しめんどうな手間がかかることは確かです.
 
【あなどれない付録】
本書を読むのに必要な予備知識は2変数の微分積分と平面上のベクトル解析ですが,それは付録に懇切丁寧に解説されています.
 じつはこの付録,付録だからと言ってあなどることができません.これ自身読みごたえ十分で,存在感のある部分です.実2変数関数の微分積分からはじまり,グリーン・ストークスの定理は言うまでもなく,ポテンシャルや流れ関数,複素速度ポテンシャルなど平面上の流体に関する数学も登場します.ベクトル場がポテンシャル f と流れ関数 g をもてば,f と g がコーシー・リーマン方程式をみたすという定理など,コーシー・リーマン方程式の別の角度からの視点も学べるようになっています.
 また,付録において非斉次コーシー・リーマン方程式を,与えられた実数値関数 \rho に対して

{\rm div}{\bf v}=\rho, \quad {\rm rot}{\bf v}=0

をみたすベクトル場 {\bf v} を見つける問題に帰着し,そこからベクトル解析的な方法で前出の非斉次コーシー・リーマン方程式の解を導いている点は非常に興味深いところです.
 もしかすると,本書の付録だけでも面白い平面上のベクトル解析の本として独立に成り立つのではないかと思うほどです.そしてもちろんこの付録が本書を読むにあたって大いに力を発揮することになります.

【おわりに】
 本書はヘルマンダリズムをある程度意識して書かれていると思われますが,それだけでなく1変数複素解析で押さえておくべき定理は一通りカバーしてあり,全体的にスマートな記述となっています.1変数複素解析の有名な定理を比較的少ないエネルギーで勉強できるユニークな良書です.問題の解答も完備しているので,独習にもむいていると言えるでしょう.


【補遺】
倉田令二朗氏の数セミの連載は最近,単行本として出版されています.
 倉田令二朗著(高瀬正仁解説)『多変数複素関数論を学ぶ』(日本評論社).
ヘルマンダーの本は和訳
 ヘルマンダー著(笠原乾吉訳)『多変数複素解析学入門』(東京図書)
もありましたが,今は出版されていないようです.図書館か運が良ければ古書店で見出せるかもしれません.

【蛇足】
 このブログのタイトルですが,「ディーバー」は「ディーパー(deeper)」のタイプミスではありません.ただ,そちらにもひっかけてあります.念のため.




前回までの『私の名著発掘』はこちらへどうぞ
https://researchmap.jp/joqw0hldv-1782088/#_1782088

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2016/08/03

なぜこう見える?どうしてそう見える?<錯視>だまされる脳

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錯視のひみつにせまる本(全3巻)が、便利でお求めやすい合本・縮刷版で登場です。

なぜこう見える? どうしてそう見える? <錯視> だまされる脳
新井仁之 監修・著,こどもくらぶ編集
ミネルヴァ書房(2016/08/20)
値段:¥ 1,620

錯視のひみつにせまる本(全3巻)の中国語訳も中国で発売中です。
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2016/07/30

お知らせ 視知覚の数理科学と画像処理関連

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数学セミナー8月号の
『視知覚と錯視の数理科学から生まれる新しい画像処理技術』
ですが,雑誌が白黒なので
特設サイト:http://www.araiweb.matrix.jp/susemi/image.html
にカラー画像処理と色の錯視画像を載せました.
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