資料公開

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タイトル ウェルギリウスは弁論家か詩人か
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概要  フロルス『ウェルギリウスは弁論家か詩人か』の試訳です。

 ときはトラヤヌス帝のダキア戦勝でローマが沸き返っていたころ、タラッコの聖域(おそらくローマ・アウグストゥス神殿)で、「都落ちした教師」フロルスと、文学に精通したバエティカ人との対話です。

 冒頭部分しか残っていませんが、アフリカ出身者が詩人として都にのぼる苦労、地中海世界を旅すること、フラウィウス朝時代から五賢帝時代にかけての「教養」の配置など、興味深いテーマを含んだ史料であると思います。

 本来であればいくつかの校訂版を参照する必要がありますが、Les Belles Lettres版だけに基づいた訳です。正直なところ、何か所か気になる箇所もあるのですが。ご意見を賜りたく存じます。
タイトル 子供の思い出
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概要  古代ローマ時代のラテン語墓碑のうち、子供に捧げられた、あるいは子供が語るという体裁のものをいくつか翻訳しました(画像は私が撮影したものです)。

 遠い時代の遠い場所の出来事ではありますが、子供を失った悲しみは、現代の日本においても胸に迫るものがあります。短いながらも確かに人生を生きた子供に向ける、家族の愛情を知るために貴重な史料でもあります。
 
※「子供の誕生」という議論がありましたが、古代ローマの子供に関してまだ研究の余地があるように思います。
タイトル 夫婦の思い出
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概要  古代ローマにおけるラテン語碑文のうち、夫婦に関する墓碑銘を中心にまとめたものです。
タイトル 人生の記録
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概要  とくに個人の生き様に関わると思われる墓碑銘を中心にまとめてみました。ずいぶん前に訳しておいたものが多いため、できるだけ誤訳がないように改めて確認はしましたが、万全である確信はありません(そして、註も中途半端です)。

 古代ローマの人びとが人生をどうみていたか、参考程度にお読みくだされば幸いです。
タイトル collegiaとcorpora
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概要  いわゆる強制国家論批判の文脈で、組合制度に関する再検討を行なった。かつては、広範な職種に関して同職組合が国家権力の統制下に置かれ、経済活動が制約されたと説かれたが、強制国家論批判とともに、このような見方に対しても批判が寄せられている。

 以上の研究動向のもと、法史料で国家権力からの統制を受けた組合は何だったのか、という論点を扱い、結論として、それはいわゆる「三つの組合(tria collegia)」が都市生活に不可欠な存在であったことを国家が制度的に認めた結果ではないかという仮説を提示した。

※本稿は、かなり昔書いた論文を改稿したものです。このまま墓場までもっていこうかと思っていましたが、ローマ帝国の組合(コレギア)について興味のある方に踏み台を提供することにも何某かの意義があるかと思い、この場で公表することにしました。

 近年のローマ結社研究としては、N. TranやK. Verbovenが、おもにローマ帝国西半部を題材に、労働者がいかに社会的に重要視される存在になるか、そのために組合がいかに利用されたのか、という点が論点になっていますが、その辺りを組み込むことはできていません。
タイトル 『カトの二行格言詩集』
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概要  古代ローマに作られ、ヨーロッパで格言集として読み継がれてきた格言集の日本語訳です。最初の解説では、おもにP. Veyneの「中間的平民」論を中心にこの史料を取り上げた理由を説明しています。翻訳は11頁からです。
タイトル アプレイウスに関する後代の言及(第0版)
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概要  五賢帝時代を生きたアプレイウスについて、帝政後期における伝承を整理したものです。いずれアプレイウスに関わる2つの図像も扱った「その後のアプレイウス」についても論じる予定です。時代的には専門から外れますが(ですので、基本的なことで間違いもあるだろうと恐れています)、アプレイウスに対する理解を深めるための「研究ノート」の一環として、現段階での成果を公開します。フルゲンティウスの「アモルとプシュケ」註解などの翻訳が終われば、改稿していきます。
タイトル ウルソ都市法(試訳)
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概要  ウルソ都市法(ウルソ都市憲章)の文字通りの試訳です。都市法は幅広い知識、とくに法学に精通していることが必要で、訳文を公開することはおそらく蛮勇に属すると思います。しかし、都市研究に興味ある方、また古代ローマ史に興味ある人びとに何らかの参考になればという思いから、恥を忍んで公開した次第です。
タイトル 詩人としてのアプレイウス
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概要  『弁明』で取り上げられたアプレイウスの詩と関連箇所の翻訳を中心にまとめたもの。「プラトン哲学者」でありながら、卑猥ともとれる詩にも手を染めた、アプレイウスの教養の幅広さは、一面では浅薄とも非難されようが、ギリシア・ローマの支配的な文化の受容者として多芸多才であらねばならなかった属州出身者の苦闘ともいえる。詩作という文脈でも顔をみせるアウルス・ゲッリウスの存在が興味深い。
タイトル 魔術師としてのアプレイウス
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概要  アプレイウスに関して「魔術師」という側面に関する史料を整理した。裁判において、アプレイウスは「魔術師」という疑惑を払拭するために弁論術を駆使したが、ポイントは原告側が「アプレイウスは魔術師である」という言説には一定の説得力があり、またその噂が後代にも信憑性をもって語り継がれたことにある。「魔術師」であることは、反社会的な存在であるというレッテルであるが、裏返せば社会秩序を超える権威の所有者として認定されたともいえる。