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2017/07/18

サカサマのパテマ

Tweet ThisSend to Facebook | by Takebe
一昨日、昨日は在露日本大使館主催の日本文化紹介イベント J-fest 2017 に行って来ました。既に2012年から毎回通っていますが、今回は初めて夏の開催となりました。これについてはまた次回書くことにして、今日はその最後にあったアニメ上映で見た「サカサマのパテマ」の感想など。

映画は会場内の半野外スクリーン(屋根はあるけれど、壁は無い;写真は同じ会場で一つ前の和太鼓の公演の前)

会場

で夜9時半から二時間上映されました。日本では猛暑だそうですが、すみません、今年の七月のモスクワは最高気温が二十度台前半、という気候(例年はもう少しは暑く、30度を越える日もあります)。昼間は晴れて動くと暑かったのに、夜になると肌寒く、うっかりTシャツで来たら寒い!「こんなこともあろうかと」ということでしょうか、この劇場にはちゃんと毛布が用意してあって開演前に配ってました(写真の黄色いのが毛布)。

毛布配布

さて、「サカサマのパテマ」(2013年公開、吉浦康裕監督)の感想(具体的なネタバレはやりませんが、宣伝などに書かれている程度にはバラしますし、感想から筋が推測できてしまうかもしれませんので悪しからず)。
  • 話の造りが素直。例えばキャラクターの役割が見た目通りで最後まで裏切られないので、安心感はあります。ある段階で最後のどんでん返し、というか「この世界の真理」も推察できる程度には情報も出てきますし、結末も、見ている側がキャラクターに「素直に」与えるであろう好悪の感情を裏切りません。小ネタで笑いを取るのも忘れないし。何と言うか、王道を行っている感じ。
  • ひねくれているのは舞台設定。題名の「サカサマ」の示す通り、重力が反対向きを向いている二つの世界が隣接しているという設定のせいで、最後の活劇の辺りになると、もう「反対の反対の反対の反対はどっち??」という気分。帰り道に、「えーと、最後に月が出てたから、上下は正しい。その前の上下がこっちだったから、その前はこうなはずで、あれ?いつ逆転したんだっけ?」と宿舎まで考えてました。
  • アニメはこの「逆転した風景」を見せるのに最適だ、と監督が何かのインタビューで語っているのをネットで見ましたが、確かにそこは成功しています。私は高い所が苦手な方なので、「空が下」になった情景は怖かった。
  • 素直な造りのお陰で寓意は明快に伝わってきます。一つは「他者の視点を持つことの難しさと必要性」。サカサマ、というこれ以上は無い視点の「逆転」を使ってますし、登場人物がはっきり口に出しています。もう一つの寓意は、物語の最後で明かされる秘密に関係しますが「相手を自分より下に見ているつもりが、実は自分の方が下かもしれない」。自信過剰のせいにしろ、事実誤認による自信のせいにしろ、あるいは逆に自信が無かったり事実から目を背けるためにせよ、他人を貶めている人の目には、この最後はどう映るのだろう。
  • 活劇が盛り上がったまま終わるのではないので、終わる時に「ブラボー!!」という反応は無く、「普通の拍手」で終わっていました。ロシア人に何かを考えさせたのか、あるいは「面白いアニメ」以上のものではなかったのか、ちょっと気になります。

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