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2017/10/08

オーナーの登用が目に付くトランプ人事の危うさ

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

去る9月4日(月)に発売された日刊ゲンダイの2017年9月5日号の27面に私が隔週で担当させていただいている「メジャーリーグ通信」の第11回「オーナーの登用が目に付くトランプ人事の危うさ」が掲載されました1。


今回は米国のトランプ大統領による政府高官の人事においてスポーツ界からの起用が少なくない点について、その功罪を検討しています。


本文を加筆修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。


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オーナーの登用が目に付くトランプ人事の危うさ
鈴村裕輔


大リーグのジェフリー・ローリア、トッド・リケッツ、ジェイミー・マッコート、NFLのウッディ・ジョンソン、NHLのジョン・ハンツマン。


米国トランプ政権に入閣し、あるいは政府高官の指名を受けた人物の名前を挙げると、スポーツ界の関係者、とりわけオーナーたちの姿が目に付く。


新しい大統領が就任するたびに政府高官は政権が直接任命する政治任用を基本とし、今回は4000を超える人事が発令されるとあれば、十指に余るオーナーたちが政権の一員に名を連ねたとしても不思議ではない。


その一方で、歴代の政権に比べてスポーツ界からの人材の登用の割合が多いことは、トランプ政権の特徴とともに限界も示している。


すなわち、大統領に就任するまで公職の経験のなかったドナルド・トランプは、大統領夫人、上院議員、国務長官などを歴任したヒラリー・クリントンとの違いを際立たせるために「政治の素人」を唱え、現状の変革を求める有権者の共感を得た。その意味で、様々な分野で成功を収めてオーナーの座を手に入れた者たちはトランプと同じ「政治の素人」であり、そのような人物を起用することは政権の意向にも沿うものといえる。


だが、オーナーたちのほとんどが巨万の富を築いていることを考えれば、自らも不動産で財をなしたトランプの「金持ち好み」が人事に反映されていることは容易に理解できよう。


もちろん、例えばケネディ政権では「ボストン・マフィア」、ニクソン政権では「カリフォルニア・マフィア」と称される地元の顔役や大口献金者、あるいは法律家が大挙して政権の中枢に入り込んでいる。従って、トランプが功成し名を遂げたオーナーたちをホワイトハウスに招き寄せることは、米国の政界の慣例に従ったまでのことだと分かる。


それにもかかわらず、こうした人事に問題がないわけではない。


「政治の素人」を起用することが選挙公約を実現する手段であるとしても、国内外の難問に絶えず直面する政府高官としての能力と財力との間には何の関係もないのだから、トランプの「金持ち好み」が適切な結果をもたらすとは限らないのだ。


さらに、オーナーたちが政治、とりわけ政権との関わりを深くすることは、スポーツ界にも少なからぬ影響を与える。何故なら、公職に就いている間はチームの運営に携わる割合は減らざるを得ないし、政権の評判が低下すればオーナーたちの名声、ひいてはチームの評判にまで傷が付きかねないからだ。


一見すると妥当に見えるトランプ政権の人事は、様々な危うさをはらんでいるのだ。
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1 鈴村裕輔, オーナーの登用が目に付くトランプ人事の危うさ. 日刊ゲンダイ, 2017年9月5日号27面.


<Executive Summary>
Mr. President Prefers Celebrities (Yusuke Suzmura)
                                                                                                                                                    
My latest article titled "Mr. President Prefers Celebrities" was run on 4th September 2017. Today I introduce the article to the readers of this weblog.


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