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2015/09/04

科学哲学を専門的に学びたい高校生・大学生のために(随時更新)

Tweet ThisSend to Facebook | by Yuki Sugawara

科学哲学を専門的に学びたい高校生・大学生のために(随時更新)

 

 

菅原裕輝(大阪大学COデザインセンター)

 

[最終更新日:2017426日]

 

 

0.はじめに

 

Q1. 「科学哲学」とは?

A1. ここでは「科学を哲学的枠組み(認識論・存在論・倫理学・論理学的観点)から分析する学問分野である」とする。

 

*参考:レイチェル・クーパー著.伊勢田哲治・村井俊哉監訳.植野仙経・中尾央・川島啓嗣・菅原裕輝訳.2015.『精神医学の科学哲学』.名古屋大学出版会.6頁*

 

「科学哲学は、科学に関わる問題を扱う哲学である。科学哲学が取り組む問題には異なった二つのタイプがある。まず、科学一般の本性に関わる問題に取り組む哲学者がいる。彼らの扱う問いとは、理論上のモノ(entity)は実在するのか、科学は真理を探求しているのか、科学的な方法なるものが存在するのか、などである。次に、個別の科学で生じる哲学的問題に取り組む哲学者たちもいる。たとえば物理学の哲学者は、相対性理論や量子力学にどのような解釈が可能かについて頭を悩ませる。そして生物学の哲学者は、生物種の定義や進化論の理解に関する概念的な問題に取り組んでいる。本書は精神医学を扱うが、本書で出てくるトピックは科学一般の問題にもまたがる。科学一般の哲学におけるトピックが特に精神医学に関連づけて論じられる場合もある。また、まさに精神医学の哲学に固有のトピックもある。科学哲学者がどのように研究しているかをこれ以上詳しく説明するのは難しい。というのも、彼らが問う問題も、それを取り扱う方法も、一つの類型というものはないからである。それゆえ、科学哲学とはどのようなものであるかを説明するのではなく、本書を通じてそれがどのようなものであるかを説明するのではなく、本書を通じてそれがどのようなものかを例示しよう」

 

Q2. 「科学哲学を専門的に学ぶ」とは?

A2. 関心のあることを研究の文脈に落とし込むことを指す(サーヴェイからテーマ設定へ):科学哲学的なトピックで関心のある事柄に関する文献を収集し、読み、これまでにどのような議論がなされてきたかを知り、これまでになされた議論の長所・短所をそれぞれ整理し、残された問題が何かを整理し、どのような前提のもとで何が争点となっているかを明確に示し、自分の問い(リサーチ・クエスチョン)を持てるようになる。

 

 

1.科学哲学初学者のための文献リスト

 

•以下のリストは、あくまで、科学哲学初学者(はじめて科学哲学を勉強する高校生・大学生・社会人)のための文献リストである。日本語で読める概論を勉強された後に、個々の関心に沿って、英語文献を読み進めていくのが望ましい。

 

•高校生などで、以下に挙げる本が難しすぎると感じた場合は、『哲学思考トレーニング』(伊勢田哲治.2005年.ちくま新書)や『新版論理トレーニング』(野矢茂樹.2006年.産業図書)を読み、哲学の思考ツールに馴染んでおくと良い。高校生でもじっくり読めば理解できるはずである。

 

1.1.  概論:一般科学哲学

 

1)サミール・オカーシャ著.廣瀬覚訳.2008.『科学哲学』.岩波書店.

〈書籍情報〉https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/1/0268960.html

 

2)戸田山和久.2005.『科学哲学の冒険:サイエンスの目的と方法をさぐる』.日本放送出版協会.

〈書籍情報〉https://goo.gl/TD4YJX

 

3)伊勢田哲治.2002.『疑似科学と科学の哲学』.名古屋大学出版会.

〈書籍情報〉http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN4-8158-0453-2.html

 

4)内井惣七.1995.『科学哲学入門:科学の方法・科学の目的』.世界思想社.

〈書籍情報〉https://goo.gl/gDFbN9

 

1.2.  各論:個別科学の哲学

 

•概論を読み終えた後に個別の関心に沿って必要に応じて読み進める。

 

[精神医学]

5)レイチェル・クーパー著.伊勢田哲治・村井俊哉監訳.植野仙経・中尾央・川島啓嗣・菅原裕輝訳.2015.『精神医学の科学哲学』.名古屋大学出版会.

〈書籍情報〉http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0807-5.html

 

[生物学]

6)キム・ステレルニー/ポール・E・グリフィス著.太田紘史・大塚淳・田中泉吏・中尾央・西村正秀訳.松本俊吉監修・解題.2009.『セックス・アンド・デス:生物学の哲学への招待』.春秋社.

〈書籍情報〉http://www.shunjusha.co.jp/detail/isbn/978-4-393-32323-6/

 

[統計]

7)エリオット・ソーバー著.松王政浩訳.2012.『科学と証拠:統計の哲学入門』.名古屋大学出版会.

〈書籍情報〉http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0712-2.html

 

1.3.  哲学の一部としての科学哲学

 

•科学哲学を学ぶうえでは、哲学の知識も必要になってくる。論理学やクリティカル・シンキング、言語哲学(分析哲学)、倫理学、認識論に関する入門書を読む必要がある。

 

*哲学一般*

 

8)野矢茂樹.1996.『哲学の謎』.講談社現代新書.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1wjyZEq

 

9)岩崎武雄.1966.『哲学のすすめ』.講談社現代新書.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1O25gNe

 

10)戸田山和久.2014.『哲学入門』.ちくま新書.

〈書籍情報〉https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480067685/

 

11)柏原啓一.2004.『哲学入門』.放送大学教材.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1Kvum7v

 

12)坂部恵・加藤尚武編.1990.『命題コレクション 哲学』.筑摩書房.(2008年にちくま学芸文庫化)

〈書籍情報〉https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480091741/

 

*論理学*

 

13)野矢茂樹.2006.『新版論理トレーニング』.産業図書.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1IO0ufo

 

14)戸田山和久.2000.『論理学をつくる』.名古屋大学出版会.

〈書籍情報〉http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN4-8158-0390-0.html

 

*クリティカル・シンキング*

 

15)伊勢田哲治.2005.『哲学思考トレーニング』.ちくま新書.

〈書籍情報〉https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480062451/

 

16)伊勢田哲治・戸田山和久・調麻佐志・村上祐子編.2013.『科学技術をよく考える:クリティカルシンキング練習帳』.名古屋大学出版会.

〈書籍情報〉http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0728-3.html

 

*分析哲学(言語哲学)*

 

17)飯田隆.1987.『言語哲学大全Ⅰ 論理と言語』.勁草書房.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1N7DrCt

 

*倫理学*

 

19)永井均.2003.『倫理とは何か:猫のアインジヒトの挑戦』.産業図書.(2011年にちくま学芸文庫化)

〈書籍情報〉http://amzn.to/1JTtraw

 

20)加藤尚武.1997.『現代倫理学入門』.講談社学術文庫.

〈書籍情報〉http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061592674

 

21)伊勢田哲治.2008.『動物からの倫理学入門』.名古屋大学出版会.

〈書籍情報〉http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0599-9.html

 

*認識論*

 

22)戸田山和久.2002.『知識の哲学』.産業図書.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1Fnz1Ry

 

23)リチャード・ローティ.野家啓一監訳.1993.『哲学と自然の鏡』.産業図書.

〈書籍情報〉http://amzn.to/25EbYky

 

*哲学史*

 

24)〜(39)岩波講座 哲学 全15巻.

〈書籍情報〉https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/011261+/top2.html

 

1.4.  メタ科学の一部としての科学哲学

 

•科学史、科学技術社会論、科学技術政策、科学論、科学技術倫理、科学コミュニケーションなどの「メタ科学」(メタ的な視点から科学研究を分析・総合する学問分野の総称)の基礎知識を学んでおくことは、科学哲学の知識を広い文脈のなかで位置付ける上でも科学哲学研究者としての活動に拡がりを持たせる上でも重要である。

 

 

*科学史*

 

40E.H.カー著.清水幾太郎訳.1962.『歴史とは何か』.岩波新書.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1NM4Jjt

 

41)橋本毅彦.2010.『〈科学の発想〉をたずねて:自然哲学から現代科学まで』.左右社(放送大学叢書).

〈書籍情報〉http://amzn.to/1SKV5gY

 

42)中島秀人.2008.『社会の中の科学』.放送大学教育振興会(放送大学教材).

〈書籍情報〉http://amzn.to/1UB1Qpk

 

43)三輪修三.2012.『工学の歴史:機械工学を中心に』.筑摩書房(ちくま学芸文庫).

〈書籍情報〉http://amzn.to/1qoDF0C

 

44)廣重徹.2008.『近代科学再考』.筑摩書房(ちくま学芸文庫).

〈書籍情報〉http://amzn.to/1SvErQ2

 

45)杉山滋郎.19942010).『日本の近代科学史』.朝倉書店.

〈書籍情報〉http://amzn.to/221mcqC

 

参考:有賀暢迪氏(国立科学博物館)の科学史ブック・ガイド

http://www.ariga-kagakushi.info/introduction/textbook.html

 

*科学技術社会論*

 

46)藤垣裕子編.2005.『科学技術社会論の技法』.東京大学出版会.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1UrAulP

 

47)小林信一編著.2012.『社会技術概論』.放送大学教育振興会.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1N7EzpC

 

 

48)藤垣裕子.2003.『専門知と公共性:科学技術社会論の構築へ向けて』.東京大学出版会.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1RX2XsM

 

*科学論*

 

49A. F. チャルマーズ著.高田紀代志・佐野正博訳.2013.『改訂新版 科学論の展開』.恒星社厚生閣.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1XqjFH5

 

*科学コミュニケーション*

 

50)藤垣裕子・廣野喜幸編.2008.『科学コミュニケーション論』.東京大学出版会.

〈書籍情報〉http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-003207-0.html

 

51)奈良由美子・伊勢田哲治.2009.『生活知と科学知』.放送大学教育振興会.

〈書籍情報〉http://amzn.to/1JEDMrC

 

 

2.科学哲学とは

 

•大塚淳氏のホームページに載っている「私家版『科学哲学とは何か』」を通して科学哲学の目的や役割、面白さについて知ることが出来る.

 

〈ウェブページ〉http://bit.ly/1MW1mom

 

 

 

 

 

 

3.日本国内にある科学哲学研究室のリスト

 

a)大学院生に対して科学哲学の研究指導を多くの学生に対して継続的に行っている教員が在籍している研究室

 

1)京都大学文学研究科科学哲学科学史研究室(伊勢田哲治准教授;一般科学哲学;社会科学の哲学;博士)

〈ウェブページ1https://goo.gl/KmSkTm

〈ウェブページ2http://tiseda.sakura.ne.jp/index_japanese.html

 

2)名古屋大学情報科学研究科情報創造論講座(戸田山和久教授;一般科学哲学、心理学の哲学;修士)

〈ウェブページ〉http://www.info.human.nagoya-u.ac.jp/lab/phil/todayama/

 

3)北海道大学理学院自然史科学 科学基礎論研究室(松王政浩教授;一般科学哲学;博士)

〈ウェブページ〉http://phys.sci.hokudai.ac.jp/LABS/kisoron/prof_matsuo.html

 

b)大学院で科学哲学を勉強したい学生の受け入れ・指導可能な教員が在籍している研究室

 

4)神戸大学人文学研究科哲学教室(大塚淳准教授;生物学の哲学;博士)

〈ウェブページ1http://www.lit.kobe-u.ac.jp/philosophy/kyoukan.html

〈ウェブページ2https://junotkja.wordpress.com/

 

5)一橋大学社会学研究科総合社会科学専攻社会文化研究分野(井頭昌彦准教授;一般科学哲学;博士)

〈ウェブページ〉http://www.soc.hit-u.ac.jp/teaching_staff/igashira.html

 

c)過去には多くの優秀な科学哲学者を輩出しているものの、現在は科学哲学の専門家として学位を取っていない研究者が教員となっている研究室

 

 

6)東京大学総合文化研究科科学史科学哲学研究室(石原孝二准教授;科学・技術の哲学、現象学、精神医学の哲学;博士)

〈ウェブページ〉http://hps.c.u-tokyo.ac.jp/

 

7)東北大学文学部哲学・倫理学合同研究室(原塑准教授;心の哲学、現象学、脳神経科学の哲学;博士)

〈ウェブページ〉http://www.sal.tohoku.ac.jp/philosophy/index-j.html

 

•海外の大学・大学院で科学哲学を専門的に学ぶという道もある。科学哲学の専門家になる上では日本国内の研究室へ進学するよりも海外の大学・大学院へ進む方が望ましい。

 

•参考情報:上のリスト以外にも、「日本の科学哲学関連大学院研究室」(http://philscijp.wikidot.com)も参考になさって下さい.

 

【より詳しい情報の共有/コンサルテーション/科学哲学者の紹介】

上記の研究室に受験志望の方で、ここには書かれていないより詳しい事情(指導教員の研究状況(指導教員自身がどれだけ科学哲学の研究をしてきているのか)・教育状況(指導教員自身がどれだけ科学哲学の教育をしてきているのか)、研究室の院生・ODの研究状況・進路状況など)を知りたい方は、本記事の著者のメールアドレス(researchmapのページ参照)までご連絡いただければ僕が知っている限りのことはお伝えさせて頂きます。気軽にご連絡下さい。

 

4.大学院修士課程への進学・受験希望者が行うべき7つのこと

 

〈ステップ1

興味のある研究室の先生に連絡をし、会ってみる。自分の研究計画(おおまかな関心でも可)の説明を行い、その先生が進学・受験希望者の研究内容の指導が可能かどうかを確認する。半年前から一年前に行うのが望ましい。

 

〈ステップ2

興味のある研究室の先生と直接会った際、自分自身がその先生と上手くやっていけそうかを判断する。どんなに人柄がよい人であっても、合う合わないというものはある。

 

〈ステップ3

興味のある研究室の先生と直接会う際、研究室の院生を紹介して貰う。そこでは、(1)研究室のメンバーと上手くやっていけそうかどうかを判断するほか、(2)研究室の院生に対して、その先生の人柄や印象、その先生の最近の研究状況・教育状況・研究費獲得状況・学務状況・雑務状況・家庭状況などを伺う。

 

〈ステップ4

訪問後、研究室の院生の就職状況・研究状況を調査する。院生に直接訊くと不穏な空気になる恐れがあるため、お会いした院生やODの名前を控えておき訪問後に調査(google検索)する。もちろん率直に話してくれそうな院生には直接訊いてみると良い。研究室の院生がどれだけ真剣に科学哲学の研究をしているのかを見極めることが大事である。

 

〈ステップ5

〈ステップ1〉から〈ステップ4〉までの過程で得た情報を分析・総合し、その研究室を受験するかどうかを決定する。

 

〈ステップ6

進学・受験する意志を固めた後は、進学・受験希望の研究室の先生にその旨を伝え、大学院試験で準備しておくこと・勉強しておくこと(読むべき文献)を尋ねる。大学院試験の過去問題を教務や研究室の院生より入手し対策を練る。受験対策を院生に相談するのも良い。

 

〈ステップ7

体調を管理しながら無理せず受験勉強を頑張る。

 

 

5.大学院博士課程に進学するうえでの注意点

 

•大学院修士課程(博士前期課程)の場合は一般企業に就職する道が開けているが、大学院博士課程(博士後期課程)まで進学するとその道は一気に狭まる。

 

•大学の任期なし常勤職は非常に限られている。博士課程を修了後すぐに任期なし常勤職に就職できる可能性は殆どないと考えた方が良い。任期付きの常勤教員や研究職に就ける研究者はごく一部である。日本学術振興会特別研究員PDになれる研究者もごく一部である。非常勤講師として生活するという道もあるが、非常勤講師の給与だけで生活することは難しく、生活費を稼ぐためにアルバイトをする必要が生じる。

 

[参考:伊勢田哲治氏のask.fm「修士あるいは博士課程に進むことを迷っている学生が相談に来たらどのようにアドバイスしていますか?」に対する回答]

 

現在の日本の状況ですと、修士まで哲学の大学院に行ってもまだ一般企業への就職は十分可能です。博士まで行ってしまうと研究職以外の間口は非常に狭くなります。

それを踏まえて、修士については、英語力や基礎学力などの基準をクリアしている人に対しては、学部での研究でやり残したり物足りなかったりという感触をもっているならどうぞ、という感じで進学を勧めます。

博士課程については、研究職につきたいという意思が非常に固い人やお寺さんなどの確実な「出口」が確保されている人以外には勧めません。あと、相談にこられた方には、哲学の就職市場の状況や就職できたとしてどういう仕事をすることになるか(ほとんどのポストは研究と関係のない業務がメインになることとか、研究しないでくれと言われる場合もあるとか)などについて説明して、リスクは理解した上で進学するように言っています。進学する際に求められる能力も、博士の場合は「研究者として一生やっていけそうか」というあたりが基準線になります。その見極めは自分ではできないので、必要であれば論文などを実際に書いてもらって判断することになります。

 

〈ウェブページ〉http://ask.fm/tiseda/answer/106836876094

 

•科学哲学の研究をすること自体は面白いが、科学哲学研究者として生きていくのは大変である。大学院博士課程に進学することは決してお勧め出来ない。研究者として生きていく覚悟を決めた方のみ博士課程に進んで貰いたい。ただ繰り返すが、お勧めは出来ない。

 

 

 

6.付記:

「科学哲学を専門的に学びたい高校生・大学生のために」という記事を

作成した理由(20151019日更新)

 

僕が科学哲学という学問の存在を知り科学哲学を専門的に学びたいと真剣に考え始めたのは、秋田高専に在籍していた時のことでした。当時高専3年生で、17才でした。今からちょうど10年前のことです。技術者倫理の授業のなかで『誇り高い技術者になろう』が課題図書として紹介され、当時真面目だった僕は教師の教えに従いその本を読み始めました。『誇り高き技術者になろう』を読み終えた後、その本の編者である戸田山和久先生の著書『科学哲学の冒険』や伊勢田哲治先生の著書『疑似科学と科学の哲学』の存在を知り、読みました。僕はそれらの本を通じて「科学哲学」というメタな視点から科学を分析・総合することの面白さを知りました。そして誇り高き技術者になるのを辞めて誇り高き科学哲学者になると強く心に誓ったのでした。

 

 

そうして僕は科学哲学の勉強を始めました。高専の先生の視線は冷たかったのですが、なかには応援してくれる先生もいました。ただ、応援してくれていた国語の先生も科学哲学については殆ど何も知りませんでした。僕は学ぶ意欲はありました。しかしどのようにしたら科学哲学を専門的に学べるのかは何も分かりませんでした。頼れる科学哲学研究者も周りにはいませんでした。ただひたすら、本を読み漁っていました。手探りの迷子状態は暫く続きました。名古屋大学情報科学研究科博士前期課程に入り戸田山和久先生から指導を受けるまで、僕はある意味で迷子でした。

 

 

当時の僕のように科学哲学を専門的に学びたいが何をどうすれば分からないという方のために、このブログ記事を作成しました。そういった方が日本にいるのかは、正直わかりません。もしそういった方がいるのだとすれば、かつて僕がそうだったような迷子にはさせず、科学哲学を専門的に学ぶための道筋を示してあげたいと思います。この記事がそういった方の役に少しでも立つことができるのであれば僕はとても嬉しいです。

                             

 

追記(2017112日)

 

科学哲学を専門的に学びたいという方から連絡を頂き、今晩オンラインで相談に乗りました。「これまで周りに科学哲学について話せる人がいなかったので、菅原さんの記事はとてもありがたかった」という言葉を直接聞き、とても嬉しかったのでした。

  


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