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本棚フェアで選書した本とポップ解説など


2015/10/08

数学書 本棚フェア解説集 PART 2 -応用系、数理視覚科学、その他-

Tweet ThisSend to Facebook | by araih
 2015年8月3日から10月4日まで、書泉グランデ(神保町店)と、MARZEN&ジュンク堂(梅田店)で『数学者 新井仁之先生の本棚フェア』が開催されました。そこで取り上げた本とそのときに書いた解説です。長いため、PART 1 と PART 2 に分けました。下線を引いた部分が、書店に展示されたポップの解説です。それ以外の部分は公開しなかったものです。
 PART 2 は応用系、その他、及び自著からの選書です。



【応用系】

32. 数学のたのしみ 2004 秋『ウェーブレット解析の展開』、日本評論社

 ウェーブレットの特集。ウェーブレット入門、偏微分方程式、統計学、乱流、視覚科学への応用を専門家が解説しています。



33. 甘利俊一『神経回路網モデルとコネクショニズム』、東京大学出版会

 神経回路網、学習理論の数理。哲学者の黒崎政男氏による哲学からの議論も載っています。


34. 樋口保成『パーコレーション』(新版)、遊星社

 パーコレーションという現象の数学モデル化を中心に確率論を解説する異色の入門書。臨界確率に関する巧妙な評価の導出は圧巻です。

 
35. キース・デブリン、ゲーリー・ローデン『数学で犯罪を解決する』、ダイヤモンド社

 応用数学を題材にしたアメリカのTV番組「ナンバーズ」から、その数学的な部分を抜き出して解説したもの。ドラマの主人公は、FBIに協力する応用数学者。


【その他】

36.寺坂英孝編『現代数学小辞典』(ブルーバックス)

 個人的なことを言えば、よく大学生1年生のとき、長い通学電車の中でこれを読んでいました。数学のさまざまな分野がコンパクトに基礎から紹介されています。内容としては基礎論、代数、幾何、解析、確率・統計、情報などの話がカバーされています。コラムになっている数学者のミニ評伝も、大学の数学の世界に初めて足を踏み入れたときには興味津々でした。


37.R. カウージャ『バナッハとポーランド数学』、丸善出版

 20世紀はじめ、ポーランドで開花した関数解析。その立役者バナッハの生涯と数学、そして仲間たちの足跡をたどる。関数解析を学ぶ際に併せて読むと臨場感溢れる学習ができると思います。


38. モリス・クライン『数学の文化史』、河出書房新社

 数学がいかに歴史的に文化の形成に貢献してきたかをシステマティックに論じた力作。本書からの古代ローマに関する引用
 「数学、科学、哲学、芸術などにおけるローマ人の業績の不毛性は、実用性を動機としない抽象的思索を非難した「実利的」民族への当然の報いである。」


39. 『オプティカ』エウクレイデス全集 第4巻、東京大学出版会

 ユークリッドによる視線、見え方の幾何学的研究。詳細な注解と解説があります。古代ギリシャの視覚理論の概略も便利です。


40. 上野健爾、高橋陽一郎、中島啓共編『数学の未解決問題 21世紀数学への序章』、SGCライブラリ21、サイエンス社

 数学の諸分野における未解決問題を概観できます。雑誌「数理科学」に連載された多くの著者による解説記事がまとめられたものです。


41. 田中尚夫『選択公理と数学―発生と論争、そして確立への道』、日本評論社

 選択公理の由来、諸結果がエピソードを交えながら解説されています。数学の基礎に関する話題に思いを巡らすための良い案内書にもなっています。


42. 落合卓四郎監修『東大教授が語る,東大新入生のための数学ブックガイド』,東京図書

 東大の数学に関連する教授陣が、それぞれの視点から選んだ本の本。解説や感想などを読むことができます。


【その他 数学以外】

43. チャールズ・テイラー『音の不思議をさぐる-音楽と楽器の科学』、大月書店

 イギリス王立研究所での伝統あるクリスマス講演をもとにして書かれた本。音や楽器の物理学的な考察を楽しめます。ストーリーの組み立て方など、一般向け講義のお手本としても参考になります。


44. ジャスティン・ボラード、ハワード・リード『アレクサンドリアの興亡』、主婦の友社(品切れ)

 数学、科学、哲学に関する驚異的な研究が生まれた学術の都、古代アレクサンドリア。その誕生、発展、崩壊の歴史が記されています。世界の知を集めた大図書館の消失は、人類の大きな損失でした。


45. 北岡明佳監修『錯視と錯覚の科学』、ニュートン別冊
 
 人の脳はどのような錯覚を起こすのか?日本の錯視関係研究者がほぼ総動員でさまざまな錯視を解説。私が参画した「数理視覚科学の世界」も最終章にあります。


46. スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(飯田規和訳)、早川文庫
   スタニスワフ・レム『ソラリス』(沼野充義訳)、早川文庫


 数学的言語を使う高度な生命ともいわれているソラリスの海。ソラリスの海からのコンタクトのなぞ。この本を読んでから、しばらく他のSFを読めなくなるほどの衝撃を受けた深い作品です。
ロシア語版からの飯田訳と、ポーランド語のオリジナル版からの完全新訳である沼野訳。文章の雰囲気は全く異なっています。


47. V. S. ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊、ふたたび』、角川文庫

 幻肢、盲視、半側空間無視など症例、共感覚の神経科学的考察を軸に、脳と視覚という広大な未知の領域に踏み込んでいく本です。


【自著コーナー(単著)】


1.新井仁之 監修・著『錯視のひみつにせまる本 全3巻』、ミネルヴァ書房

 錯視の歴史(1巻)、錯視の技(2巻)、そして第3巻では数学的方法で錯視のひみつに迫ります。私たちの脳は錯視を起こします。第1巻では錯視研究の歴史、第2巻では、錯視を私たちはどのように利用してきたかを解説します。そして、第3巻では錯視のひみつに数学的方法を使って迫ります。子どもから大人まで楽しめる錯視の新しいタイプの入門書。


2.新井仁之『ウェーブレット』、共立出版

 純粋数学と応用数学の縦横無尽に。ウェーブレットを有限離散、無限離散、連続の場合に分けて詳解。

3.新井仁之『フーリエ解析学』、朝倉書店

 多変数離散フーリエ解析、多変数フーリエ級数、多変数フーリエ変換の入門書。ディジタル信号処理の厳密な数学的基盤も整備して記してあります。


4.新井仁之『新・フーリエ解析と関数解析学』、培風館

 フーリエ解析、直交関数系、ウェーブレット、自己共役作用素のスペクトルを一つの流れのなかで解説。緩増加超関数、ソボレフ空間の入門も含んでいます。


5.新井仁之『ルベーグ積分講義 - 面積0の不思議な図形たち』、日本評論社

 ルベーグ測度、ルベーグ積分を丁寧に解説し。フラクタルや掛谷問題なども扱いました。


6.新井仁之『微分積分の世界』、日本評論社

 逆接線の問題を考究していくという学術的なストーリー展開で、微分と積分の初歩を解説しました。力学との関係にも力点をおいています。


7.新井仁之『線形代数 基礎と応用』、日本評論社 

 線形代数の理論の丁寧な解説をして、その後、多変量解析、離散フーリエ解析、ウェーブレット、画像処理などの応用を数学的に完全な形で記述。特異値分解や一般逆行列のわかりやすい解説もしました。


【自著コーナー(分担執筆)】

8.新井仁之「視覚と錯覚の数理科学」 in 西浦廉政編著『越境する数学』、岩波書店

 「さきがけ」1期生による六つの研究が紹介。拙稿「視覚と錯覚の数理科学」も掲載されています。表紙、うら表紙のために数学を用いた錯視アートも作成しました。


9.新井仁之「錯視の数理」 in 合原一幸編著『社会を変える驚きの数学』、ウェッジ

 「錯視の数理」という解説を執筆しました。


10.織田孝幸編著『なぜ!こんなに数学はおもしろいのか』、技術評論社

 第5夜「無限を極める」を編者とともに担当しました。


 
参考サイト:フェアのお知らせサイト(MARZEN&ジュンク堂)

 

 

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