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2014/12/24

【朗報】クリスマスの東方三博士ごっこ、2人から可能に

Tweet ThisSend to Facebook | by s_otani


例年クリスマスに仲間と東方三博士ごっこを企画しながら

博士号取得者を3人集めるのに苦労していたPh.D保持者に朗報だ。

日本学術振興会特別研究員の大谷哲博士(文学:初期キリスト教史)が

ふと思いついて新約聖書『マタイ福音書』2章1-13節を確認したところ、

生まれたばかりの幼子イエスを祝福しにやってきたのは

「占星術の学者μάγοι(マゴイ)」とのみ記してあり、

彼らの人数を3人と明記する箇所は無かった。

 μάγοιとはペルシアやバビロニアの占星や夢占いなどをしていた

学者(賢人)件祭司を指すμάγοςの複数形。

この場合、ベツレヘムに現れた星を目指してやってきたことから、

占星術学者とするのが妥当であろう。

 聖書中には根拠の無い「三博士」(三賢人、三人の王とよぶことも)

という伝承はおそらく、このマゴスたちがもたらした三種の贈物、

「金、乳香、没薬」から発生したものであろう。

「三賢人」には後に西方でメルキオール、カスパル、バルタザルという名が与えられる。

こうしたキャラクター付けは少なくとも紀元後500年頃にアレクサンドリアで編纂され、

ラテン語訳され、現在ではExceptraLatina Barbariの名で知られる

ギリシア語写本に遡ることができる。

 こうした観点から、今後クリスマスの東方三博士ごっこは複数、

すなわち最低2人の博士号取得者がいれば可能となることが明らかとなった。

また、4人以上のマゴスが登場しても何ら問題はない。

実際シリア正教会の伝承ではマゴスたちは12人であったことになっている。

今後は博士号取得者が集まりにくい場合でも、

気軽に東方三博士を楽しむことができそうだ。


ただし、博士(占星術)に限る。



大谷博士が参照した、Nestle-Aland, Novum Novum Testamentum Graece, 27th ed.
の『マタイ福音書』2章1節。μάγοιとのみ記してあり、
「3人」とする語彙は存在しない。
00:20 | Impressed! | Voted(15) | Comment(3) | 雑記
Comment
suzumura2014/12/25 13:02:42
これは、画期的な新発見、ですね!しかし、学位「博士(占星術)」の保有者を探すという新たな難問も…。
s_otani2014/12/26 18:12:18
suzumuraさま 実は、我々の業界では新発見でもなんでもないのです。でも他分野の方々には案外知られていないことのようなので、ちょっとクリスマスの浮かれた気分で書いてみたというわけで。
s_otani2014/12/26 18:12:55
学位「博士(占星術)」の方に会えたら、ここで御報告せねばなりませんね。