研究ブログ

研究ブログ >> 記事詳細

2010/02/03

伊勢湾台風メモリーズ2009 - バーチャル版公開

Tweet ThisSend to Facebook | by kitamoto


伊勢湾台風メモリーズ2009 - バーチャル版を公開しました(お知らせ)。このサイトは、このブログでも昨年に何回か紹介した伊勢湾台風メモリーズ2009のシステムを、ウェブサイトでも体験できるようにしたものです。会場での公開から4ヶ月以上と、なかなか時間がかかってしまいましたが、その間に高潮データには特に重要な改良を加えました。詳しくは上記のお知らせをご覧ください。

このサイトでの動作は、会場版と画面構成や音は同じで、高潮を体験するための手順もほとんど同じです。ただしウェブサイトの小さな画面では、会場のスケール感を出すことができないのが心残りです。自分の目の前で水面が上がっていくのを自分の目で見る、という体感こそがシステムの鍵なのですが、そこだけは小さな画面に「移植する」ことが困難なのです。

上記の画像(左下)は、1.8mの人間のシルエットに対して4.49mの高潮が襲った状況を可視化したもので、人間の身長よりもはるかに高いところにまで水面が達していることがわかります。「4.49m」というのは人間の身長よりもはるかに高いのだなぁ、ということが一目瞭然に理解できます。このように高潮の高さと人間の身長の関係を理解するために、このサイトは使えるのではないかと思います。

が、問題は、小さな画面の中では、理解はできるとしてもそこまで、という点です。会場で同じことをやっても、1.8mの人間に対して4.49mの高潮という関係は変わりません。しかし会場では、この1.8mの人間があなた自身になります。ここが違いを生み出すところです。

この関係を会場で記録したものが実写型ハザードマップですが、シルエットを生身の人間に置き換えるだけでは、他人事という感覚はなかなか抜けないでしょう。その人間が自分自身だからこそ、あるいはそれを自分と置き換えて空想できるからこそ、この状況を自分事として体感できるようになるのではないでしょうか。それにはやはり、自分自身が入り込めるような空間がどうしても必要なのかもしれません。

このようにデータを体感できるような可視化・可聴化空間の構築は、今後サイエンスのいろいろな部分でも重要になってくると感じます。これはバーチャルリアリティなどの研究で以前から取り組まれてきた問題ですが、従来は一部の専門家のためのシステムに閉じていたような感もあり、今回は一般の方々を対象にしてみました。

「伊勢湾台風メモリーズ2009」プロジェクトはこれでひとまず完結ですが、他にも体感できたほうがよいデータはたくさんあります。台風情報に限っても、雨の強さとか、風の強さとか。私自身がやるかどうかはともかく、いろいろな試みが出てくるとよいなぁと思います。

23:13 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0)

ブログパーツ