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2012/12/04

[講演]SSH「法と科学の哲学」@山形県立米沢興譲館高校

Tweet ThisSend to Facebook | by tkira26
山形県立米沢興譲館高校で採択されているプロジェクト「スーパー・サイエンス・ハイスクール」の講師として招かれ、「法と科学の哲学」と題して講演してきた。

呼んでいただいたのは、私がJST-RISTEX研究プロジェクト「不確実な科学的状況での法的意思決定」に参加していることのつながりで、前々回には同プロジェクトメンバーの村上祐子さん(哲学・論理学)もお話しされている。おうかがいしたところ全国各地から相当に豪華な先生方をお招きしているようで、想像以上に大規模なプロジェクトであった。その成果は着実に出ており、「理科離れ」が喧伝される昨今にあって、理系進学コース希望者が増えているとのことだった。今回の講演に参加してくれた生徒さんたちもみな熱心で、今後の活躍が楽しみである。

講演はこういったスライド(Slideshare)を用いて行ったので、ご興味をもってくださる方はご覧いただければ幸いである。参加者は高校1年生が35人で、文系・理系混合である。

内容としては、法学のごく基本的な考え方を紹介したうえで、(1) 震災にともなう被害について科学者・技術者は「責任」を負うべきかどうか、(2) 災害状況において「プライバシー」はどのような意味をもつか、ということを具体例を出しながら考えることにした。いずれも上記研究プロジェクトで考えてきた「法と科学の不確実性」があらわれる問題であり、「法と科学」の入口として最適なものであろう。

スライド内容については、研究者の目からすればずいぶんと「ゆるい」ものに映るかもしれない。しかし、それは承知のうえで、とことんわかりやすく話すことを目指した。あまり先端的な問題を扱うよりは、具体的にイメージできる範囲で自分なりに考えてもらったほうが、これまでの一連の講演内容を整理するうえでも有益であろうと考えたことによる。私の回はこのプロジェクトの最終回にあたるので、「まとめ」としての意味を強く意識した。

「法と科学」ということでは、科学については理科科目を高校までで履修しているので比較的とっつきやすいようである。しかし、法学や哲学についてはそうもいかない。高校1年生では倫理や政治経済科目はまだ履修していないので、中学校公民で日本国憲法について多少学んだことがあるだけ、というのが実情である。

これはいわゆる「法教育」のあり方として頭の痛いところではあるが、とにかく法律用語は用いず、日常用語での具体的な話に落とし込んでいくように留意した。スライド内容がどうも伝わりにくいように感じたときは適宜、時事問題などについて追加資料を映し出し、理解の増進に努めた。裁判員裁判や、このたび行われる衆院選での争点などに結びつけながら話すと、身を乗り出して聞く生徒も増えたように感じた。法律問題ということでどういう切り口で考えればよいか、きっかけをつかんでもらえたのではないかと思う。
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