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2016/01/05

証明の主要部分にコンピューターによる計算が含まれる数学の定理

Tweet ThisSend to Facebook | by kamo_hiroyasu

 証明の主要部分にコンピューターによる計算が含まれる数学の定理としては四色定理[Appel & Halen 1977]が有名ですが、それが最初ではありません。整面凸多面体の分類の完成[Zalgaller 1967]があります。前者が当時話題になったのと比べると、後者はほとんど話題になりませんでした。なぜでしょう?

  • 分野の違い:四色定理はグラフ理論の問題ですが、整面凸多面体の分類は三次元ユークリッド幾何学の問題です。当時は計算幾何学が流行る前ですから、グラフ理論と比べてユークリッド幾何学が古臭い終った分野と思われていたのかもしれません。
  • 手法の違い:四色定理の証明で使われたのは、グラフ上の一種の整数計画法です。整面凸多面体の分類で使われたのは三次元ユークリッド空間上の数値計算です。当時は、コンピューターを使って数値計算をしても当たり前と思われたのかもしれません。
  • 発表の形態の違い:AppelとHakenは米国で研究をしていて、四色定理の証明は米国で発行されるジャーナルに英語で発表しました。Zalgallerはソ連(当時)で研究をしていて、整面凸多面体の分類の完成は、まず、ソ連で発行されるジャーナルにロシア語で発表し、その英訳版を2年後に米国のマイナーな出版社から発行しました。整面凸多面体については、鉄のカーテンが邪魔をしただけという可能性もあります。

実際のところ、どれが効いたのでしょうね。


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