日誌

日本近海モデル開発日誌

北西太平洋モデル設定

()内はMRI.COMのオプションです。

領域、グリッド、地形

  • 領域: 117E-140W, 10N-63N
  • 極座標系 (SPHERICAL)
  • 水平解像度1/11°×1/10°(約10km)、鉛直解像度4-600m (50層)
  • グリッド数: 1137*534*50

移流、混合

  • トレーサー移流: SOM (SOMADVEC)
  • 水平粘性・拡散: Smagorinsky (SMAGOR), 倍調和型(BIHARMONIC)
  • 粘性計算に9点使う (VIS9P)
  • 鉛直粘性・拡散:Generic Length Scale (GLS)
  • 鉛直拡散は陰解法 (VVDIMP)
  • 背景鉛直混合: Decloedt and Luther (2010)による3次元分布 (VMBG3D)
  • 対流調節あり (cnvajs)

海面フォーシング

  • 大気強制データ:CORE 2(経年変動場)(Griffies et al. 2009)
  • CORE用のバルク式を使う (BULKNCAR)
  • バルク式の輸送係数を繰り返しで計算 (BULKITER)
  • バルク式で熱フラックスを計算 (HFLUX)
  • 短波吸収において入射角を考慮する (SOLARANGLE)
  • 長波放射は下向きのみ (LWDOWN)
  • バルク式で風応力を計算 (TAUBULK)
  • 河川流入あり (RUNOFF)
  • 淡水フラックスあり (WFLUX)
  • 淡水フラックスを全球積分で0になるように修正する (WADJ)
  • 海面塩分リストアを淡水フラックスに変換しない (SFLUXR)
  • 沿岸における気候値へのTSナッジングを補正する (STABLERUN)

気候値

  • データ:WOA25
  • 気候値データをモデル内でグリッド補間する (TSINTPOL)
  • 気候値データをダイレクト・アクセスで読む (TSCLDIRECT)

海氷モデル (ICE)

  • 海氷力学あり (SIDYN)
  • 海氷の下ではSSSリストアしない (NOSICERESTORE)
  • 海氷アルベドスキームあり (CALALBSI)
  • 海氷のヒストリー出力を行う (HISTICECAT)

2段階ネスティングの中間モデル

  • S-Cupカップラーを使う (SCUP)
  • S-Cupカップラーを利用したネスティング手法を使う (SCUPNEST)
  • 親モデルになる (PARENT)
  • 子モデルになる (SUB)

その他

  • 閏年なし (Y365D)
  • 並列計算 (PARALLEL)
  • namelistはファイル読み込み (NMLSTFILE)
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日本近海モデル設定

()内はMRI.COMのオプションです。

領域、グリッド、地形

  • 領域: 117E-167E, 25N-50N
  • 極座標系 (SPHERICAL)
  • 水平解像度1/33°×1/50°(約2km)、鉛直解像度4-600m (50層)
  • グリッド数: 1654*1254*50
  • 地形: JTOPO30v2とGEBCO30をマージして作成

移流、拡散

  • トレーサー移流: SOM (SOMADVEC)
  • 水平粘性・拡散: Smagorinsky (SMAGOR), 倍調和型(BIHARMONIC)
  • 粘性計算に9点使う (VIS9P)
  • 鉛直粘性・拡散:Generic Length Scale (GLS)
  • 鉛直拡散は陰解法 (VVDIMP)
  • 背景鉛直混合: 3次元分布 (VMBG3D) (潮汐の場合は使わない)
  • 対流調節あり (cnvajs)

海面フォーシング

  • 大気強制データ:CORE 2(経年変動場)(Griffies et al. 2009)
  • CORE用のバルク式を使う (BULKNCAR)
  • バルク式の輸送係数を繰り返しで計算 (BULKITER)
  • バルク式で熱フラックスを計算 (HFLUX)
  • 短波吸収において入射角を考慮する (SOLARANGLE)
  • 長波放射は下向きのみ (LWDOWN)
  • バルク式で風応力を計算 (TAUBULK)
  • 河川流入あり (RUNOFF)
  • 淡水フラックスあり (WFLUX)
  • 淡水フラックスを全球積分で0になるように修正する (WADJ)
  • 海面塩分リストアを淡水フラックスに変換しない (SFLUXR)
  • 沿岸における気候値へのTSナッジングを補正する (STABLERUN)

気候値

  • データ:WOA25
  • 気候値データをモデル内でグリッド補間する (TSINTPOL)
  • 気候値データをダイレクト・アクセスで読む (TSCLDIRECT)

海氷モデル (ICE)

  • 海氷力学あり (SIDYN)
  • 海氷の下ではSSSリストアしない (NOSICERESTORE)
  • 海氷アルベドスキームあり (CALALBSI)
  • 海氷のヒストリー出力を行う (HISTICECAT)

2段階ネスティングの子モデル

  • S-Cupカップラーを使う (SCUP)
  • S-Cupカップラーを利用したネスティング手法を使う (SCUPNEST)
  • 子モデルになる (SUB)

その他

  • 閏年なし (Y365D)
  • 並列計算 (PARALLEL)
  • namelistはファイル読み込み (NMLSTFILE)
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全球モデル設定

()内はMRI.COMのオプションです。

領域、グリッド

  • 全球tripolar座標 (TRIPOLAR)
  • 東西周期境界 (CYCLIC)
  • 水平解像度1°×0.5°、鉛直解像度4-600m (51層)
  • 可変格子 (VARIABLE)
  • 海底境界層あり (BBL)

移流、混合

  • トレーサー移流: SOM (SOMADVEC)
  • 等密度面拡散(ISOPYCNAL)
  • 水平粘性・拡散: Smagorinsky (SMAGOR), Laplacian
  • 係数は水平グリッドサイズに依存 (VARHID)
  • 非等方な粘性係数(流れに依存) (VISANISO)
  • 粘性計算に9点使う (VIS9P)
  • 鉛直粘性・拡散:Generic Length Scale (GLS)
  • 鉛直拡散は陰解法 (VVDIMP)
  • 背景鉛直混合: Decloedt and Luther (2010)による3次元分布 (VMBG3D)
  • 対流調節あり (cnvajs)

海面フォーシング

  • 大気強制データ:CORE 2(経年変動場)(Griffies et al. 2009)
  • CORE用のバルク式を使う (BULKNCAR)
  • バルク式の輸送係数を繰り返しで計算 (BULKITER)
  • バルク式で熱フラックスを計算 (HFLUX)
  • 短波吸収において入射角を考慮する (SOLARANGLE)
  • 長波放射は下向きのみ (LWDOWN)
  • バルク式で風応力を計算 (TAUBULK)
  • 河川流入あり (RUNOFF)
  • 淡水フラックスあり (WFLUX)
  • 淡水フラックスを全球積分で0になるように修正する (WADJ)
  • 海面塩分リストアを淡水フラックスに変換しない (SFLUXR)
  • 海面塩分リストアを全球積分で0になるように修正する (SALCNSVRS)
  • 沿岸における気候値へのTSナッジングを補正する (STABLERUN)

海氷モデル (ICE)

  • 海氷力学あり (SIDYN)
  • 沿岸グリッドの海氷の下ではSSSリストアしない (NOSICERSTCST)
  • 海氷アルベドスキームあり (CALALBSI)
  • 海氷のヒストリー出力を行う (HISTICECAT)

2段階ネスティングの親モデル

  • S-Cupカップラーを使う (SCUP)
  • S-Cupカップラーを利用したネスティング手法を使う (SCUPNEST)
  • 親モデルになる (PARENT)

その他

  • 閏年なし (Y365D)
  • 並列計算 (PARALLEL)
  • namelistはファイル読み込み (NMLSTFILE)
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モデル: 全体の設定

モデル設定の概要です。

数値モデル

気象研究所共用海洋モデル(MRI.COM)を使っています。
  • 静水圧近似、z-σハイブリッド座標系

モデル構成

3つのモデルを結合 (オンライン2段階双方向結合)しています。
  • 全球モデル: 水平解像度1°×0.5°
  • 北西太平洋モデル: 1/11°×1/10°(約10km)
  • 日本近海モデル: 1/33°×1/50°(約2km) 、117E-167E, 25N-50N
図 結合する3つのモデルの領域。

海面強制

モデルの海面強制には国際標準実験の経年変動場(COREIIデータセット)を使用。
  • 河川流入: COREIIデータを各モデルのグリッドにリマップ(面積分量は同じ)

スピンアップ

スピンアップを以下の手順で行いました。
  1. 全球と北西太平洋の2モデルを結合して、1922年から2000年まで長期積分。
  2. 2001年1月1日の0:00の瞬間場を初期値に用いて、3モデル結合のスピンアップを始める。
  3. 始めの10日間は、日本近海モデルを北西太平洋モデルの月平均場にナッジング。
    dt=1分、10日の積分にほぼ14時間かかる(気象研スパコン 8ノード)
  4. 手を離して120日の積分。
    双方向ネスティング、dt=2-3分
    日本近海モデルの水温塩分場と運動エネルギーが落ち着くまでスピンアップ
  5. 2011年5月11日の0:00を本実験の初期値とする。

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研究の目的

沿岸監視予測システムの現業運用に向けて、次世代日本近海予測モデルを開発しています。

趣旨

気象庁では現業として海況監視・予報を行なっているが、用いている海洋モデルは外洋の黒潮、親潮や中規模渦が主な対象であり、沿岸海域はカバーできない。そこで我々は、沿岸防災や沿岸海況の監視・予測の高度化を目的に、次世代日本近海予測モデルを開発している。

モデルの方針

  • 主要な日本沿岸地形を扱うために、約2kmという高い水平解像度を使う。
  • 沿岸を念頭においた物理過程を導入する。
    潮汐、沿岸の海底混合、大気圧強制 etc...

想定する利用

  • 沿岸海況の予測
  • 沿岸防災の基礎情報
  • 日本沿岸海域における物質輸送を把握する基盤にもなる
    生態系、汚染物質の拡散 etc...
  • 大気場の変動に対する沿岸海洋の応答
    海況変動、沿岸流、高潮 etc…
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関連する論文、発表

論文


なし

発表


  1. 坂本他, MRI.COMネスト・モデルへの潮汐の導入(II), 日本海洋学会春季大会, 2011, ポスター発表
  2. 坂本, MRI.COMを用いた次世代日本近海予測モデルの構築に向けて -ネスティングと潮汐, 気象庁海洋気象情報室談話会, 2011, 口頭発表
  3. 坂本圭, 辻野博之, 中野英之, 山中吾郎, 平原幹俊, 次世代日本近海予測モデルの構築に向けて -モデルの概要と再現性, 2011年度九州沖縄地区合同シンポジウム「東アジア域での大気海洋相互作用と大気粒子研究の現状」, 2011, 口頭発表
  4. 坂本圭, 辻野博之, 中野英之, 山中吾郎,平原幹俊, 日本近海2kmモデルの開発 -次世代日本沿岸監視予測システムに向けて, 平成23年度海洋気象技術検討会, 2012, 口頭発表
  5. 坂本他, MRI.COMネスト・モデルへの潮汐の導入(III), 日本海洋学会春季大会, 2012, ポスター発表
  6. 坂本圭, 次世代日本沿岸監視予測システムの構築に向けて -日本近海2kmモデルと潮汐スキームの開発, 京都大学地球科学輻合ゼミナール, 2012

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