植物生理学・作物育種:Plant physiology, Plant breeding

 遺伝子組換え技術を通じて、産業利用可能な有用植物、特に劣悪環境に強い植物の開発を目指して研究に取り組んでいます。固着生活をしている高等植物は、外環境からの様々なストレスを移動によって回避することが出来ないため、特別な器官や物質を産生するなど、動物とは異なった適応手段を独自に進化させました。こうした適応反応は遺伝子によって制御されており、関わる遺伝子の幾つかが明らかにされてきています。私たちの研究室では、環境ストレス応答に関わる遺伝子を有用植物に導入することによって、環境ストレスに強い植物を作出して、その有効性を検証しています。同時に、作出された有用遺伝子組換え体の生物多様性影響評価を行い、遺伝子組換え体の実用化に必要な評価系の構築を進めています。

 耐塩性遺伝子を導入した組換えユーカリについて、海水濃度と同等の塩条件下において、非組換えユーカリは枯死してしまいましたが、遺伝子組換えユーカリは生存が可能でした(図1)。また、日本で初めてとなる遺伝子組換え樹木の屋外栽培試験を実施しています(図2)。樹木は永年性であることから単年性の草本植物や作物とは異なることからこれまでの生物多様性影響評価の項目を検証する必要があります。特に土壌微生物相に与える長期的な影響をモニターし、どのような評価項目が新たに必要になるかについて検討を行っています。

Fig.1 Transgenic eucalyptus conferring salinity tolerance 耐塩性遺伝子組換えユーカリ
Fig.1 Transgenic eucalyptus conferring salinity tolerance
耐塩性遺伝子組換えユーカリ

Fig.2 Field-trial case of transgenic eucalyptus conferring salinity tolerance 耐塩性遺伝子組換えユーカリの屋外栽培試験
Fig.2 Field-trial case of transgenic eucalyptus conferring salinity tolerance
耐塩性遺伝子組換えユーカリの屋外栽培試験