独仏二カ国共同指導契約に基づく博士課程での研究(binationale Promotion / thèse en cotutelle) について


現在、独仏の多くの大学で、独仏二カ国共同指導契約のもと博士課程に在籍し、研究することが可能です。独仏にまたがる分野の研究をする場合に非常に魅力的な制度です。

利点

独仏両言語で研究し、研究指導を受けられること。
独仏の図書館にアクセスを持てること。
独仏両国で学ぶ研究者と交流を持てること。両言語で学会発表や出版の機会が持てること。
独仏両国での研究のあり方は大きく異なるため、両者の長所を採り入れることができること。
独仏のアカデミック・カレンダーの差異を利用して、一方の大学の長期休暇を他方の大学で有効に活用できること。
修了時には、独仏の博士号を取得できること(フランスの場合にはフランス共和国からの発行、ドイツの場合には大学からの発行となる。なお、フランスでは口頭弁論終了時点で博士号取得とされるが、ドイツの大学の多くでは、口頭弁論終了に伴って Doktor designatus という称号が与えられるのみであり、Doktor の学位の取得のためには、博士論文を出版しなければならない)。

欠点

独仏間の往復費用等の経済的負担が大きいこと(ただし、下記に記すように、DFH/UFAによる旅費の助成に応募することが可能である)。独仏のどちらか一方の国のみに依拠する機関・団体の奨学金制度は、第三国からの留学生を受け入れる場合に、二カ国での滞在を伴う研究計画を受け入れないことが多いため、二大学への滞在期間をカヴァーするような長期奨学金の獲得が困難であること(独仏どちらかの国籍保有者を除く)。


基本的な規定

それぞれの大学に、最短でも、博士課程の1/3の期間は滞在しなければならない。博士論文の言語と博士論文口頭弁論の言語が同一であってはならない(どちらか一方は独語、他方は仏語でなされなければならない。ただし、英語での論文審査が認められている分野の場合はこの限りではない可能性がある)。博士論文口頭弁論は、博士論文の言語とは異なる言語の国で開催されなければならない。

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DFH (Deutsch-französische Hochschule)/UFA (Université franco-allemande) は、独仏二カ国共同指導契約にもとづいて博士課程で研究をする学生に、研究のための独仏間の移動費用や、博士論文口頭弁論の開催に必要な費用の助成を行っています。
http://www.dfh-ufa.org/