齋藤 正樹
サイトウ マサキ (Masaki SAITO)
更新日: 02/29
基本情報
- 所属
- 早稲田大学 政治経済学部/ 商学部/ 教育学部 非常勤講師
- 法政大学経済学部 非常勤講師
- 大東文化大学外国語学部 非常勤講師
- 学位
-
文学修士(早稲田大学)工学修士(東海大学)
- J-GLOBAL ID
- 201301040459324740
- researchmap会員ID
- B000228700
近代ドイツ史、とりわけ19世紀から20世紀初頭のドイツにおけるフェルキッシュ (völkisch) と呼ばれる民族主義・人種主義と宗教の関係について研究し、現在博士論文を執筆しております。
19世紀に生まれ、19世紀末に民族主義の支持者の人口に膾炙するようになり、第一次世界大戦を通じて広い人々の間で使われるようになったこのフェルキッシュと言う言葉は、それまでの担い手を排除する形で、新たな担い手を主張するナチスの中心的なスローガン、国家方針として確立されていきます。戦後はこの言葉はもっぱらナチスを彷彿させる人種主義的・排外主義的民族主義を表す言葉として定着します。筆者は、その概念がロマン主義以降、ある種の神秘主義と融合し、多くの人々を捉えた点に着目し、その形成の様子を同時代のメディアを読み解くことによって明らかにします。
現在のドイツでもイスラームに対する新たな反抗分銅が起きていますし、アメリカでは宗教右派が依然として大きな力を持ち、フランスのライシテそのものが他に還元不可能なフランス性を表し、フランス国家のアイデンティティとなっており、宗教と国家の関係を考えていく上でも非常に重要です。
20世紀以降のヨーロッパの歴史や文化が研究対象となりますが、とりわけ以下のテーマに関心を持って研究・教育活動に取り組んでおります。
テーマ1:19世紀から20世紀への世紀転換期のドイツにおける民族主義・人種主義と宗教
19世紀から20世紀への世紀転換期はドイツ皇帝ヴィルヘルム二世が支配した時代でした。この時期はすでに普仏戦争の勝利によってドイツ帝国の創建が達成され、帝国主義的な領土拡張競争やナショナリズムが高揚しつつも、戦争のない平和な時代でした。その一方で、近代化のプロセスがグローバルな規模で拡大し、ドイツ国内でも大都市が形成されると共に多くの工場が建設され、労働者問題、都市問題のような近代的あるいは現代的な問題が表面化した時代でした。
この時期のドイツでは労働運動の台頭と共に階級対立、さらにプロテスタントとカトリックという宗派の対立が意識化され、国民の精神的な統一を呼びかける声が高まりました。そうした新たなナショナリズムの運動を担ったのが、学校教師、あるいは一部の知識人も含む中間層の人びとでした。彼らの一部は大衆的なナショナリズムを背景としつつ、キリスト教をゲルマン化、あるいはキリスト教を排除したアーリア・ゲルマン信仰という、新たな民族主義的・人種主義的宗教を創り出そうとしました。
筆者の研究は、そうした民族主義的・人種主義的宗教を主張した人びとの宗教観念と、それを生み出す素地となったキリスト教ならびに諸文化との相互連関を雑誌における宗教言説に着目することによって分析し、19世紀から20世紀へと至るドイツの文化的・社会的ならびに精神史的特徴を明らかにすることを目標としています。
また民族主義・人種主義と「宗教」の結びつきは、後のナチス期、とりわけナチス親衛隊の文化を形づくる上でも重要な役割を果たしています。ドイツそして現代社会の負の側面が表出した帰結ですが、本研究はそうした素地がどのようなものであり、どのようにそのような現象が起きたのか、「宗教」や信仰という別の観点から批判的に明らかにする事も視野に置いています。
また現代でも、「宗教」や信仰とナショナリズムや地域主義の問題は、国際政治の舞台でも大きな影響力を持っています。近代において「宗教」という概念が形成され、制度化され、「学問」として拡散される19世紀ドイツを対象とする本研究は、現代の宗教と政治の関係を考える上でも重要だと考えております。
テーマ2:歴史学のドイツ語教育への応用
すでにドイツ語教育に地誌に関する情報を取り入れることはかなり実現されています。しかしながら、そうしたアプローチではややもすれば、旅行ドイツ語のように学習者が実際にドイツに行き、旅行なり生活しないと実感が湧きません。実際にはドイツで働くなり、ドイツに旅行する学習者の数は多くはないでしょう。
従って、筆者は日本におけるドイツという視点で、受講者にとって身近な日本におけるドイツ的なものや出来事に配慮しつつ、ドイツ語教育を行いたいと考えいます。実際に多くの食品や自動車、建築物、あるいは医学用語やサブカルチャーにおけるドイツ語など、学習者が、日本にいながらにして身近に感じることのできるドイツ文化やドイツ語は枚挙にいとまがないでしょう。こうした歴史的に形成されてきた現状を背景として、私は「日本におけるドイツ」をひとつの問題関心として、授業を行い、最終的にはドイツ語圏に取り組む研究者並びに歴史学をされている方々と協力し、研究を進めたいと考えています。
また、今までのドイツ留学の経験を活かして、ドイツ語教育に携わる傍ら、現代ドイツの政治・文化・学術、とりわけデジタル化の時代における歴史学についても関心をもって調査しています。
19世紀に生まれ、19世紀末に民族主義の支持者の人口に膾炙するようになり、第一次世界大戦を通じて広い人々の間で使われるようになったこのフェルキッシュと言う言葉は、それまでの担い手を排除する形で、新たな担い手を主張するナチスの中心的なスローガン、国家方針として確立されていきます。戦後はこの言葉はもっぱらナチスを彷彿させる人種主義的・排外主義的民族主義を表す言葉として定着します。筆者は、その概念がロマン主義以降、ある種の神秘主義と融合し、多くの人々を捉えた点に着目し、その形成の様子を同時代のメディアを読み解くことによって明らかにします。
現在のドイツでもイスラームに対する新たな反抗分銅が起きていますし、アメリカでは宗教右派が依然として大きな力を持ち、フランスのライシテそのものが他に還元不可能なフランス性を表し、フランス国家のアイデンティティとなっており、宗教と国家の関係を考えていく上でも非常に重要です。
20世紀以降のヨーロッパの歴史や文化が研究対象となりますが、とりわけ以下のテーマに関心を持って研究・教育活動に取り組んでおります。
テーマ1:19世紀から20世紀への世紀転換期のドイツにおける民族主義・人種主義と宗教
19世紀から20世紀への世紀転換期はドイツ皇帝ヴィルヘルム二世が支配した時代でした。この時期はすでに普仏戦争の勝利によってドイツ帝国の創建が達成され、帝国主義的な領土拡張競争やナショナリズムが高揚しつつも、戦争のない平和な時代でした。その一方で、近代化のプロセスがグローバルな規模で拡大し、ドイツ国内でも大都市が形成されると共に多くの工場が建設され、労働者問題、都市問題のような近代的あるいは現代的な問題が表面化した時代でした。
この時期のドイツでは労働運動の台頭と共に階級対立、さらにプロテスタントとカトリックという宗派の対立が意識化され、国民の精神的な統一を呼びかける声が高まりました。そうした新たなナショナリズムの運動を担ったのが、学校教師、あるいは一部の知識人も含む中間層の人びとでした。彼らの一部は大衆的なナショナリズムを背景としつつ、キリスト教をゲルマン化、あるいはキリスト教を排除したアーリア・ゲルマン信仰という、新たな民族主義的・人種主義的宗教を創り出そうとしました。
筆者の研究は、そうした民族主義的・人種主義的宗教を主張した人びとの宗教観念と、それを生み出す素地となったキリスト教ならびに諸文化との相互連関を雑誌における宗教言説に着目することによって分析し、19世紀から20世紀へと至るドイツの文化的・社会的ならびに精神史的特徴を明らかにすることを目標としています。
また民族主義・人種主義と「宗教」の結びつきは、後のナチス期、とりわけナチス親衛隊の文化を形づくる上でも重要な役割を果たしています。ドイツそして現代社会の負の側面が表出した帰結ですが、本研究はそうした素地がどのようなものであり、どのようにそのような現象が起きたのか、「宗教」や信仰という別の観点から批判的に明らかにする事も視野に置いています。
また現代でも、「宗教」や信仰とナショナリズムや地域主義の問題は、国際政治の舞台でも大きな影響力を持っています。近代において「宗教」という概念が形成され、制度化され、「学問」として拡散される19世紀ドイツを対象とする本研究は、現代の宗教と政治の関係を考える上でも重要だと考えております。
テーマ2:歴史学のドイツ語教育への応用
すでにドイツ語教育に地誌に関する情報を取り入れることはかなり実現されています。しかしながら、そうしたアプローチではややもすれば、旅行ドイツ語のように学習者が実際にドイツに行き、旅行なり生活しないと実感が湧きません。実際にはドイツで働くなり、ドイツに旅行する学習者の数は多くはないでしょう。
従って、筆者は日本におけるドイツという視点で、受講者にとって身近な日本におけるドイツ的なものや出来事に配慮しつつ、ドイツ語教育を行いたいと考えいます。実際に多くの食品や自動車、建築物、あるいは医学用語やサブカルチャーにおけるドイツ語など、学習者が、日本にいながらにして身近に感じることのできるドイツ文化やドイツ語は枚挙にいとまがないでしょう。こうした歴史的に形成されてきた現状を背景として、私は「日本におけるドイツ」をひとつの問題関心として、授業を行い、最終的にはドイツ語圏に取り組む研究者並びに歴史学をされている方々と協力し、研究を進めたいと考えています。
また、今までのドイツ留学の経験を活かして、ドイツ語教育に携わる傍ら、現代ドイツの政治・文化・学術、とりわけデジタル化の時代における歴史学についても関心をもって調査しています。
経歴
10-
2019年9月 - 現在
-
2018年4月 - 現在
-
2017年4月 - 現在
-
2014年4月 - 現在
-
2013年9月 - 現在
-
2018年4月 - 2021年3月
-
2015年4月 - 2020年8月
-
2014年4月 - 2016年3月
-
2014年9月 - 2015年3月
-
2013年4月 - 2014年3月
学歴
8-
2005年4月 - 2013年3月
-
2006年10月 - 2011年3月
-
2002年4月 - 2005年3月
-
2003年10月 - 2004年7月
-
2000年4月 - 2002年3月
-
1997年4月 - 2000年3月
-
1998年10月 - 1999年7月
-
1993年4月 - 1997年3月
委員歴
3-
2023年5月 - 現在
-
2021年9月 - 現在
-
2021年5月 - 2023年5月
論文
9-
現代史研究 60(60) 41-54 2014年12月 招待有り
-
現代史研究 (59) 1-17 2013年12月 査読有り
-
史観(早稲田大学史学会) (167) 80-99 2012年10月 査読有り
-
ユダヤ・イスラエル研究 (23) 23-34 2009年3月 査読有り
-
Veröffentlichungen des Japanisch-Deutschen Zentrums Berlin (57) 65-70 2008年7月
-
立正西洋史 (25) 59-79 2008年3月
-
早稲田大学大学院文学研究科紀要 第4分冊 (52) 31-39 2007年2月
-
日独研究論集 (1) 51-58 2006年9月
-
西洋史論叢 (27) 11-26 2005年12月
MISC
5-
トーマス・キューネ/ベンヤミン・ツィーマン編著『軍事史とは何か』原書房 451-458 2017年3月
-
トーマス・キューネ/ベンヤミン・ツィーマン編著『軍事史とは何か』原書房 266-290 2017年3月
-
森井裕一(編)『ドイツの歴史を知るための50章』 2016年10月
-
ドイツ文学別冊 (秋) 85-90 2015年9月 招待有り
-
教育史学会第55回大会シンポジウム報告集 23-46 2011年10月
講演・口頭発表等
13-
「宗教の近代」研究会 2017年7月29日
-
日本宗教学会第74回学術大会第一部会 2015年9月5日
-
現代史研究会1月例会(通算第497回) 2013年1月
-
立教・テュービンゲン国際シンポジウム「宗教的なるものと文化保守主義」 2012年11月 招待有り
-
歴史知研究会第41回例会 2012年7月
-
第6回ドイツ民族主義宗教研究会 2012年1月 招待有り
-
立教・テュービンゲン大学共同シンポジウム:「宗教・文化的保守主義 変遷する日独の社会における宗教の文化的位置について」 場所:ドイツ連邦共和国テュービンゲン大学新講堂 2011年11月 招待有り
-
2011年度早稲田大学史学会大会 2011年10月
-
8. Deutsch-Japanisches Stipendiatenseminar 2007年7月
-
2006年早稲田大学西洋史研究会 2006年7月
-
ドイツ教育研究会 2002年11月
担当経験のある科目(授業)
70-
2020年4月 - 2021年3月
所属学協会
8-
2021年5月 - 現在
共同研究・競争的資金等の研究課題
5-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 2015年4月 - 2019年3月
-
日本独文学会/ゲーテ・インスティトゥート 2014年8月 - 2014年9月
-
日本学術振興会 科研費補助金基盤研究(B):研究協力者 基盤研究(B) 2009年 - 2011年
-
2006年10月 - 2008年7月
-
日本学術振興会 科研費補助金基盤研究(C):研究協力者 基盤研究(C) 2006年 - 2008年