日誌

ソフトウェア開発

TOPPERS/SSP 1.2.0 公開

先月末に TOPPERS/SSPカーネル 1.2.0 が公開されました.

 前バージョンとの大きな違いは,TOPPERS新世代カーネル統合仕様書(対象バージョン1.5.0)に対応したという点です.具体的にはDEF_EPRI という静的APIの名称が DEF_EPR になった,とか共有スタック領域を定義するための静的APIであるDEF_STK をサポートしたなどの変更があります.
 それから,同期や通信を行うためのサービスコール,イベントフラグおよびデータキューを追加しました.ただし,TOPPERS/SSPでは(実行可能状態以外の)タスクの待ち状態をサポートしていないため,ポーリングのサービスコールのみサポートしています.
 それ以外にも細かい点を指摘すると,統合仕様書の定義と異なる点はあります.たとえばデータ数0のデータキューに対する送信は,同期通信となるのですが,TOPPERS/SSPカーネルのタスクが待ち状態をサポートしないために意味が無く,静的APIのパラメータチェックでエラーとするように独自の実装を行っています.このような仕様との細かな不整合については今後のマイナーバージョンアップで対応する予定です.
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TOPPERS of the year の受賞について

 我々は,名古屋大学(当時)の杉本氏と共同でTOPPERSプロジェクトの平成22年度公募型事業「最小セットカーネルの開発」を実施し,その成果が TOPPERS of the YEAR に選ばれました.
 
TOPPERSプロジェクトは,組込みシステム技術と産業の振興を目的として20039月にNPO法人として設立されたオープンソースソフトウェア開発プロジェクトです.TOPPERSプロジェクトは,プロジェクトの成果及び会員が関係する技術・商品・普及活動の最新動向を周知するため,毎年TOPPERSカンファレンスを開催しています,2011年は610日に東京都大田区の大田区産業プラザにて開催されました.

 TOPPERSカンファレンスでは会員の投票による開発成果物のコンテストTOPPERS of the YEAR を行っています.このコンテストは過去1年間のTOPPERSプロジェクトにおける活動を振り返り,最もインパクトのあった活動を表彰するためのもので,会員が関心をもった開発成果の投票数を競います.そして結果的に我々の成果が最も多くの投票をいただくことができました.

 本開発はリアルタイムOSを利用したプラットフォームベース開発の適用範囲を拡大するものです.従来では小規模システムの開発に対して同様のアプローチを取ることが困難でしたが,本開発成果により,メモリ搭載量の少ない小型システムでリアルタイムOSを利用した開発を行うことができます.メモリ使用量はターゲットプロセッサ及びアプリケーションプログラムの大きさに依存しますが,目安として最小構成で RAM1KB未満およびROM2KB程度,一方,シリアルおよびタイマドライバを含む構成でRAM2KBおよびROM10KB 程度で利用することができます.
 最後に,
TOPPERSプロジェクトをはじめとする関係者の皆様には,日頃よりご指導を賜っており,心より感謝いたします.

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TOPPERS/SSPカーネルとは

 TOPPERS/SSPカーネルは,μITRON4.0仕様の「仕様準拠の最低限の条件」をベースにし,「TOPPERS新世代カーネル統合仕様書」及び「TOPPERS割込み処理モデル」の機能を追加した小規模リアルタイムカーネルです.TOPPERS/SSPカーネルは,2010年度 TOPPERS公募型事業「最小セットカーネルの開発」として開発されました.

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