植物発生工学: Plant Biotechnology

 当研究室では、遺伝子組換え植物の社会的な受容を柱とした幅広い研究活動を行っている。今日、遺伝子組換え作物は、我が国の市民に受け入れられていない状況にある。一方で我が国は、世界最大の輸入国として大量の遺伝子組換え作物を消費しており、大きな矛盾を抱えている。これは、生命産業の一分野の発展を阻み、若者の就職先を狭めており、技術立国日本としての将来を憂うべき事態である。この状況を総合的に解決していくことが研究室の目標である。

 教育分野では、「教育目的遺伝子組換え実験」を中心とした体験型の遺伝子教育の推進に関する研究を行っており、新しい教育教材やカリキュラムの開発等も進めている。また、社会人に対しては、サイエンスカフェやサイエンス&カフェ等の活動を通して、科学者の説明責任を果たす試みを広げるサイエンスコミュニ ケーションの実践的な研究を進めている。

 遺伝子組換え作物の開発研究としては、我が国では最も受容が進んでいる遺伝子組換え花卉について、花形や花色を改変する技術開発を進めている。企業等と積極的に共同研究を進め、花形を改変する技法の特許等も取得した(Fig. 1)。また、WHOも推奨する「食べるワクチン」を生産する植物の開発を、医学等との共同で進めている。  

 Fig. 1  A genetically modified flower shape in Pharbitis nil. Left: Transformant; Right: Non-transformant.  
  (▲Fig. 1)
Fig. 2  Immediate induction of flower bud formation during regeneration by ectopically expressed a florigen gene, PnFTL in Pharbitis nil.


 遺伝子組換え作物の実用化としては、花粉等による組換え遺伝子の拡散を抑え、従来作物と共存させることが鍵になる。そこで、花形を改変する方法と誘導型プロモーターによる遺伝子発現の制御法を組み合わせた手法の開発を進めると共に、花成ホルモンの実体であるFT遺伝子の発現制御機構と、FT以外の花成制御 因子の研究を、絶対的短日植物であるアサガオをモデル植物として解明することにより、花成の人為的な調節機構の開発を目指している(Fig. 2)。

  
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