基本情報

所属
公立小松大学 大学院サスティナブルシステム科学研究科 (特任教授)
学位
文学修士

J-GLOBAL ID
200901006248174516
researchmap会員ID
1000050130

私のこれまでの研究

①ヨナスの未来(方位的)倫理学の研究:倫理学とは、ソクラテス以来「善さ」とは何かを探求し、基礎づける学問である。カントに代表される近代の倫理学は「今とここ」の倫理学だった.顔と顔を向い合せる、空間と時間を共有する人間の倫理学だった.そこでの定言命法は,「自律的であれ」で、行為の動機を問う「心情倫理」だった.しかし科学技術を手にして行為する現代人は、地球的規模と遠い未来世代を射程距離においている.しかも集団的規模でそのことを行う.だから、行為の結果を予見し、その結果に対して責任がある.この新しい倫理の定言命法は、「持続的であれ」であり、「責任倫理」である。この倫理の基礎付けをH.ヨナスから導出した。(「存在と不可侵性-ヨナスのZweckhaftigkeitの概念-」、「当為の存在論的基礎づけ―ヨナスの哲学的生命論」など参照。研究ブログに「ヨナスの責任概念」、「ヨナスの定言命法」、「ヨナスの未来倫理学」について掲載、資料公開に、関連資料を添付)。

②終末期医療:オランダ安楽死の法・倫理・制度について考察し、オランダ安楽死は、ヨーロッパ人権条約3条の「非人道的な扱いを受けない権利(人間の尊厳の保護)」と8条の「私生活を尊重される権利」に基づくこと、そして2条の「脆弱な生の保護」とは不可抗力となっていること、さらにヨーロッパ生命倫理の4原則の「統合体」「自律」「尊厳」に基礎づけられていること、そして背後にヨーロッパ2000年の歴史において開花した「人格」概念があるということを解明した。(『オランダ認知症患者安楽死裁判』(2020)、「オランダ安楽死の法と倫理」(2022)など参照。「資料公開」に、「世界の終末期医療の最新データ2022を公開)。さらに、「安楽死のアトラス」を、「思いやりモデル(尊厳モデルと人格統合体モデル)」と「リベラルモデル」を道標に描いた(「安楽死アトラス--思いやりモデルとリベラルモデル」生命倫理・生命法研究資料集Ⅷ所収、2023)。また「資料公開」に「世界の安楽死法の内容の比較表」を掲載した。

③生殖補助医療:「人間の尊厳」という概念を軸に、人受精胚に対する診断と研究利用に関する生命倫理地図を描いた。Ⅰ)尊厳概念の批判、Ⅱ)両立可能テーゼ、a)外延的戦略、b)内包的戦略、Ⅲ)両立不可能テーゼについてそれぞれ論じ、その結果として胚は現実的人間でないとしても、潜在的に人間であり、現実的権利で保護されるということ、『疑わしい場合は胚の利益のために』を論証した。さらに「生-資本主義」と密接に結びついているゾーエとしての「身体の倫理」を批判した。(『人受精胚と人間の尊厳』など参照)。

④実存倫理の研究:20世紀初頭、哲学の刷新を掲げて盟友関係を結んだが、実は隠れた敵対者であった二人の思想、ヤスパースの実存開明の哲学とハイデガーの実存論的哲学とを対峙して考察した(「「責任」と「戯れ」-ヤスパースの実存的自由とハイデッガーの存在論的自由」など参照)。また実存哲学の祖とされるキルケゴールの思想を考察し(「例外的実存の三つの型」参照)、対話的なM.ブーバーの思想と対比した(「「信仰」と「信頼」」参照)。


主要な経歴

  6

委員歴

  3

主要な論文

  33

主要なMISC

  28

主要な書籍等出版物

  34

主要な講演・口頭発表等

  7

主要な所属学協会

  6

主要な共同研究・競争的資金等の研究課題

  14

主要なメディア報道

  19