研究ブログ

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インタビュー調査


昔旅行会社で仕事をしていたとき、セールスパーソンのためのPSS(Professional Selling Skill)という研修の社内ファシリテーターを担当させて頂く機会があった。

その経験が現在の社会調査に非常に役に立っていることに今更ながら気が付く。

社会調査では大きく質的調査と量的調査があり、質的調査はインタビュー調査が
主流となると思う。

そのインタビュー調査で上記で示したスキルが大変参考になっている。

例えばオープンクエスチョンとクローズドクエスチョン。

オープンクエスチョンとは、質問内容は、ほとんど適当にざっくりしたもの、もしくは目的に対する質問はしないところから始まる。そこで面接者に自由に話してもらい
その中からニーズを取り出していく、誘導していくものである。

一方クローズドクエスチョンについては、質問内容が具体的なものとなる。特定した
質問をしながらその流れにそって進めていくものである。

ようはどちらがよいかというのではなく、これらを相手、場面で使い分けるというのが大変参考になる。

当時営業成績については、そこそこだったのだが、これをうまく使いこなしたからだと思っている。

よくしゃべる人については、「今日は暑いですね。」というきっかけだけで、どんどん多くのことを話してくれる。こちらはうなづくだけ、そして最後は勝手にこちらの要望に気づいて、いろいろとはなしてくれることが多かった。

一方、無口な人に対しては、特定の質問をしながら誘導していくようにしていた。そのほうがお互い楽だった。

一見、よくしゃべる人のほうがよいように見えるが、実際の信頼関係は無口な人がだんだん心を開いて変わっていくパターンになった場合が仕事上一番よかった。

どんな経験も無駄にならないのだなとつくづく思う。
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フィリピンの台風被害拡大


フィリピンのレイテ島を襲った台風30号の被害が拡大している。

まにら新聞は、12日「国家災害対策本部
よると、台風ヨランダ(30号)よる死者は11日夕計1774人となり、前日の229人か一気1500人以上増えた。通信網の回復などで、被災地の状況が次第なりつつあるため。行方不明者と負傷者はそれぞれ82人、2487人」と報じている。

筆者は、伊勢湾台風(日本)、ハリケーンカトリーナ(米国)、台風オンドイ(比国)、東日本大震災(日本)における人的被害拡大過程の比較研究を進めているが、その肝は、人的被害は、胎動期(避難)、生活基盤喪失期(直接被害、インフラなど)、社会秩序混乱期(治安)、生活環境悪化期(衛生)、社会生活適合期(復旧復興)へと被害の枠組みが変化していくことである。

新聞記事や報道をおっているとこの災害もやはり被害が上記の段階で広がっている。被害の内容については、その地域の特性を示したものとなり、その部分がまさしく災害は社会を写す鏡となるという部分であろう。

レイテ島は、フィリピンのなかでも、1991年のオルモックの洪水や2006年の地すべりなど自然災害の影響を受けやすい地域である。さらには、
国連の報告書によれば同じ台風災害でほぼ同じ規模の人口が曝された場合のフィリピンの死亡リスクは日本の17倍になるという。

このような地域の特性を踏まえ、前もって、もし災害が起きたらどのように被害が広がるというシナリオを描き、それを地域の防災対策に生かせないものかと考えている。

友人のおおいフィリピン。被害が広がらないことをただただ祈るばかりばかりである。













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タイの地域防災:Mr.Warning ミスターワーニング


先日、研究室の大先輩から危機管理の双方向性についての話題
提供があり、タイの地域防災システムのことを思い出した。

タイの内務省防災局(DDPM)は各地方に支局があるが、
そこを中心に、タイ全土にわたって水土砂災害を中心としたMr.Warningと
いうボランティアを育成している。アメリカでいうスポッターみたいなもの。

Mr.Warningはそこそこ訓練を受けているので、災害に関する情報を
適宜DDPMに通知して、防災対策を効果的にしている。

ネーミングもそうだがタイにもいろいろな知恵があるのだと感心したのを
覚えている。

やはり双方向性にするためにはそれを可能とする下地となる仕組みをしっかり
とつくる必要があると思う。その部分がなおざりになって双方向性といっても
難しいはず。

日本の危機管理における双方向性については、今後様々な議論がなされる
と思うが、それこそ、さまざまな発想が要求されてくると思う。

ちなみにMr.Warningというが女性はいないのか?という変な質問をDDPM
の担当者に質問したら「いる」と答えてくれた。

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【再掲NIED-DILメールマガジン:9回】台風災害と被害

 台風(ハリケーン・サイクロンを含む)災害と人的・経済的被害の関係を歴
史的な側面からみて見ると興味深いものがあります。大きな傾向としては、台
風災害による被害は、その国の経済成長にともなって、人的被害(この場合は
死者を示す)から、物理的経済的被害へと推移しています。これは台風がある
程度予測可能なことから、科学技術の発展による警報、避難などによって、人
的被害が軽減されること、また、建物などの構造物が風水害に強い構造になっ
ていくこと、そして経済活動及び経済価値の高まりが影響を与えるのではない
かと思います。この傾向が特にはっきりしているのは、アメリカと日本です。

 例えばNOAAのデータによれば、米国歴史上、人的被害の最大上位10のハリ
ケーン災害のうち、8は、1940年代以前であるのに対して、経済被害について
は、逆に最大上位10のうち、8は、2000年以降となっています。

 日本の場合も戦後、1945年から1959年の間に台風災害が頻発におこっていま
したが、1959年の伊勢湾台風から人的被害は極端に減少しこの傾向ははっきり
しています。カトリックルーベン大学が出しているデータベースEM‐DATで確
かめたところ、人的被害が大きいのは、1950年以前、経済被害が大きいのは、
1990年以降とこの二極化の結果が鮮明に示されました。

 このように、経済成長にともなう台風災害による被害の推移、人的被害から
経済被害への傾向を大まかに抑えておくと、台風災害による被害について考え
る際に様々なヒントを与えてくれるように思います。

---◇◆<読者の皆様へ>◆◇---
本コラム、創刊号からこれまでお読み頂きありがとうございました。筆者のコ
ラムは、ここで一端終了致します。
引き続きメルマガをご愛読くださいますようどうぞ宜しくお願い致します。
(中須正)

2010年10月5日発行  第9号
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「自然災害情報の収集・発信の現場から」
                           発行:防災科学技術研究所 自然災害情報室

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【再掲NIED-DILメールマガジン:8回】都市化と災害

 早いものでもう9月になりました。9月は、台風やハリケーン、サイクロン
が多発する時期ともいえます。

昨年、伊勢湾台風災害のちょうど50年後の9月26日、フィリピンでは、台風オ
ンドイ、約一週間後にペペン(ともに現地名)など連続して大きな台風に見舞
われ、マニラ首都圏やその周辺の州、及びバギオ市並びにその周辺の州におけ
る死者・行方不明者が合わせて1000人を超える甚大な被害がおこりました。

調査のため、昨年、実際に両地域を訪れたのですが、印象に残ったのは、都市
化と災害の問題でした。災害は社会があって初めて起こる、台風が来てもそこ
に社会がなかったら災害にならないという根本的な部分を改めて感じました。
特に開発が凄まじい地域では、防災準備や対策の前に、都市化が進んでいる状
況が見えました。

なかでも印象深かったのはバギオ市の現状でした。約1500メートルの山間によ
くもこんなに人が集まってくるのかと思うぐらい都市化が進み、崖のようなと
ころに、家がどんどんたっているのも珍しくありませんでした。フィリピン人
があこがれる避暑地バギオの涼しい気候を求めて、人が集まり、その集まった
人から仕事が生まれ、さらに人が集まる。また観光客も同様に集まり、その観
光客を目当てに人が集まるといった循環が見て取れます。

リスク感覚で、人は利益を得るときは、堅実になるが、コストを払うときは、
ばくち打ちになる、すなわち、リスクに注意を払わないという話があります。
バギオの都市化もこの快適な環境を得るために、また仕事を得るために人が集
まりますが、このリスクについての感覚は常に後回しになっているかのようで
す。

また、それだけではなく、このリスク感覚さえも考えていられない、リスクを
引き受けざるを得ない厳しい状況におかれた人々の現実があることも忘れては
なりません。バギオの市長さんが「どんどん増え続ける違法居住者を何とかし
て市から追い出したい」と言っていたのが今でも頭に残っています。

 2010年9月6日発行  第8号
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「自然災害情報の収集・発信の現場から」
                           発行:防災科学技術研究所 自然災害情報室

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【再掲NIED-DILメールマガジン:7回】災害対応と文化

 先日、文化と災害対応について、面白い論文を見つけました。それは、オハ
イオ大学のロバート・ロス氏による論考です。1970年のかなり古い研究ですが、
大変興味深く感じました。ロス氏は、自然災害の対応に影響を与える要因とし
て地域の、宗教、技術、そして、特に自然に対する文化的価値観をあげ、それ
らが、その国々の制度のより中央集権型か地方分権型かという部分と相互作用
するとしています。具体的には、東アジア、西欧、ラテンの国々の比較を行っ
ています。

 例えば、東アジアの国々の災害対応は、西欧、ラテンアメリカに比べて宗教
や技術の部分は相対的に低く、自然と調和することに重きをおく文化的価値観
が大きく作用する。また中央集権的であまり分権化していないことも影響する
としています。一方、西欧の国々の災害対応は、ラテンアメリカや東アジアに
比べて宗教的影響、技術は高く、自然を征服するという文化的価値観が働いて
いるとし、それらが、地方分権型システムに作用するとしています。最後に、
ラテンアメリカの国々の災害対応は、宗教的影響及び技術は中間とし、自然に
対しては服従する文化的価値観が働くとし、比較的中央集権型システムと相互
作用するとしています。

 かなり大雑把な分析で、現在に当てはまらないと思われる部分も多くありま
すが、解釈の仕方によっては、いろいろと考えるヒントを与えてくれます。例
えば、2005年に起こったハリケーン・カトリーナ災害では、政府の対応が、
うまくいかなかったと批判されていますが逆に、そのことが、コミュニティの
災害対応の差を際立たせた側面があるようです。特に、ニューオリンズのアジ
ア系コミュニティ、ラテンアメリカ系コミュニティ、そして西欧系コミュニテ
ィの災害前後の災害対応の違いがはっきりしたといわれています。

 コミュニティ単位で、ロス氏の考察を当てはめて考えると興味深いものがあ
ります。
  2010年8月5日発行  第7号
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「自然災害情報の収集・発信の現場から」
                           発行:防災科学技術研究所 自然災害情報室

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【再掲NIED-DILメールマガジン:6回】災害被害統計から想像する

 Maplecroft (メイプルクロフト) というリスクコンサルティング会社が出し
ているナチュラル・ディザスター・リスク・インデックスという指標がありま
す。その会社が発表した2010年のランク付けで、世界一番リスクの高い国とし
てバングラディシュがランクされました。ちなみにランクを高い順に見てみる
と、バングラディシュ以下は、インドネシア、イラン、パキスタン、エチオピ
ア、スーダン、モザンビーク、ハイチ、フィリピン、コロンビアと続きます。
  インドネシアやハイチなどは近年の地震による被害と結びついて、想像しや
すかったのですが、バングラディシュが一番にランクされるのは、なぜだろう
と疑問に思いました。
 以前所内の学習会で、バングラディシュを襲った過去の大きな災害、特に
1970年と1991年に大型のサイクロン災害について土地環境の視点から学ぶ機会
がありましたが、そのとき、50万人および14万人の死者が出たというデータに
驚くと同時に、その被害の内訳を示した表を見て「おや」と疑問に感じたこと
を思い出しました。
  それは、被害に関する数字です。建物被害や人的被害や家畜の被害が列記し
てあったのですが、例えば、1991年のサイクロン災害では、家屋被害1,630,543、
人的被害 (死者・行方不明)140,000、家畜被害584,471となっていたからです。
そう、人的被害が大まかな数字のように思え、一方、家屋被害、家畜被害が一
桁まで細かく書かれていたからです。そしてバングラディッシュという国は、
どういう国なのか、調べたところ、いわゆるカースト制、宗教、そして家畜の
意味、などなど数字の背景が見えてきました。また1970年における死者・行方
不明者に関しても、正確な数字はなく、20万人から55万人とされるなどの報告
も各方面の資料でも見ました。
  災害があると被害に関する数字が出ますが、どこからその数字が出されたか、
その数字から何が想像できるか、考えて見ることは非常に重要な視点だと思い
ました。ちなみにメイプルクロフトのサイトは、
http://www.maplecroft.com/about/news/natural_disasters.html です。

 2010年7月5日発行  第6号
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「自然災害情報の収集・発信の現場から」
                           発行:防災科学技術研究所 自然災害情報室

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【再掲NIED-DILメールマガジン:5回】災害情報(2)

2006年11月北海道の佐呂間を襲った竜巻を受け、2007年2月に竜巻災害対応、
特に竜巻災害警報に関する調査でアメリカ オクラホマを訪問する機会に恵まれ
ました。特にオクラホマ大学内に建設されたNWC(National Weather Center)
を中心に訪問しました。オクラホマ大学そして、NWCにいらっしゃる(名誉教授)
佐々木嘉和先生は、ハリウッド映画「ツイスター」のモデルとなったことでも
有名です。映画「ツイスター」では、牛が空中を飛んでいるシーンがありまし
たが、NWCには、フライングカウ(空とぶ牛)・カフェという喫茶店がありまし
た。

 その訪問で最も印象深かったのは、NWCでは、竜巻対応に関して幅広い分野の
協力が必要であると認識されていること、そして、地域への啓蒙活動に力が入
れられていることでした。多分野による協力について、この背景には、如何に
科学技術によって、竜巻予測から警報までの精度・速度を上げてもそれに対応
するのは結局は人であるという認識によるものでした。また、Warning Decision
Training Branch(WDTB)<警報判断訓練所>という組織が大学のなかにあり、そ
の存在は、警報の決定(Warning Decision)は、レーダーデータのみではなく、
モデルガイダンス 、メソスケールアナリシスといった専門的な知識や、スポッ
ター(現場で状況を知らせる登録されたボランティア)からの報告などを初め、
さまざまな要因を考慮して人、すなわち危機管理担当官(Emergency Manager)
が決断する。その要因には地域社会や政治的条件も重なり、気象学の専門のみ
での知識ではこれらに対処できない、との認識からでした。

 地域への啓蒙活動については、地域への貢献として、たくさんのブローシア
を作成し広報したり、センターをオープンにしたり、例えば、マックレディと
いうプログラムでマクドナルドとタイアップして教育的な広告を出したりして
いました。このように、NWCでは、災害警報は、人の行動に対する理解、社会と
の接合、及び政治状況など、 様々な要因を照らし合わせて行うものであり、気
象学のみでは対応できないという認識が常識的になされていたのが印象的でした。

 2010年6月4日発行  第5号
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「自然災害情報の収集・発信の現場から」
                           発行:防災科学技術研究所 自然災害情報室

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【再掲NIED-DILメールマガジン:4回】災害情報(1)

□■災害警報(1)■□
2008年2月、調査で、ハワイの太平洋津波警報センター(PTWC)に行く機会が
ありました。ハワイでの調査では、太平洋津波警報センター(PTWC)の所長に
インタビューしましたが、まず興味を引いたのは、メディアの役割でした。所
長は、公的な津波避難警報のためには出来事のまえ3時間を必要とし、時間的
な制約がありすぎるが、メディアは早いのが有利な点であるとしていました。
しかし様々な制約もあり、例えば国際的な枠組みの中での警報では、各国政府
が警報の判断をするため、メディアにはそのような権限をあたえていない、と
のことでした。今年2月のチリで起こった地震津波の被害におけるチリ海軍の
対応を思い出しました。

次に興味深かったのは警報判断の基礎となる科学技術やデータについてです。
普通警報は、現状や過去のデータをもとに判断すると思うのですが、特に津波
警報について所長は、津波は、もともとの地震のデータにも誤差があるし、タ
イドゲージ(検潮器)にも誤差がある。それらをまとめて判断するため、警報
は、99.99パーセントがエラーとなるとおっしゃっていました。過去の
データについてもあまり参考にならないこと、それは、過去のデータの出し方
や装置などが日進月歩で変わってきており、信頼しにくいからとのことでした。

これらから、総じて気づいたのは、災害警報とは、警報を出す側からは、科学
技術の進展と実際警報を出す担当者及びその所属機関の力量のコンビネーショ
ンによるものだということで、これにその警報の受け手、地域住民の心理や社
会状況、そして諸制度などの変数が加わるというなかなか難しい問題だという
ことでした。
2010年5月6日発行  第4号
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「自然災害情報の収集・発信の現場から」
            発行:防災科学技術研究所 自然災害情報室

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【再掲NIED-DILメールマガジン:3回】松代地震センター

□■松代地震センター ■□
 長野県の松代に松代地震センターという組織があります。松代地震センター
は、1967年2月に、長野県松代町(現在長野市)の気象庁地震観測所内に設立
されました。この設立の背景は、1965年8月3日の無感地震から1966年4月17日
までに、震度5と4を各3回、有感、無感を含む合計6780回の群発地震が観測
されるなど激しい地震活動が大きな社会問題となったことによります。

 当時の中村町長が「物・金より学問・研究がほしい」といってセンターを設
立のきっかけを作ったことでも有名であり、また、その立地がもと大本営のあ
った場所であることも知る人ぞ知るといった感じです。またこの地震の観測に
よって得られた経験は、今日の地震予知と災害対策の進展に大きく影響を与え
たことでも知られています。

 筆者は、自然災害情報室として気象庁精密地震観測室(松代地震観測所)の
ご協力のもとで、当時の談話会の記録を整理をしていますが、松代地震後の生
まれの筆者にとっても、とても興味深い記録ばかりで驚いています。松代が街
全体で地震を契機としてして災害に強いまちづくりにしていこうと力をあわせ
ていることが生き生きと伝わってきます。例えば、地震そのものの研究に限ら
ず近くの学校の生徒を対象とした群発地震による健康状態の調査などありまし
た。これは、松代の保健所及び病院の協力によるもので地震が生徒の精神的、
身体的にどのような影響があるかという報告でした。それに留まりません。地
震を原因とした地すべり調査や地震時の水道施設に及ぼす影響など、当時の
様々な分野の第一線で活躍するメンバーが様々な視点から報告しています。

 体裁などはまだまだ不十分で申し訳ないのですが、暫定的な形でもご覧頂け
ればと思いこれらの記録をHPで公開し始めています。時間があればご覧くださ
い。
 URLは http://dil.bosai.go.jp/library/matsushiro/MRecord.html
です。

2010年4月5日発行
                              
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「自然災害情報の収集・発信の現場から」No.3
 発行:防災科学技術研究所 自然災害情報室
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