基本情報

所属
情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 極域環境データサイエンスセンター 准教授
(兼任)准教授
総合研究大学院大学 准教授
学位
理学博士(京都大学)

J-GLOBAL ID
200901009945210864
researchmap会員ID
5000041985

外部リンク

活動状況: 極域の表層環境変動の解明、特に大気-海洋-雪氷-固体地球システムにおける多圏融合物理現象の解析を、地震学・固体地球物理学的手法を用いて国際共同研究を主体に進めている。またデータサイエンスに関連した国際連携・共同利用・出版事業に携わり、グローバル地球科学の研究・教育・広報活動へ貢献している。

研究課題: 極域で長期間に渡り蓄積された地震学的情報(走時、波形、震源、メカニズム、等)をはじめ、地球物理学的諸データを用いて、現在のグローバルな環境変動による固体地球の物理的相互作用、また地球史の観点から大陸成長過程のテクトニクスを解明する。具体的内容は、(1)現在の固体地球表層部の環境変動、特に極域の温暖化に関連した氷床・海氷・海洋の消長に伴う固体地球の振動特性・地震氷震活動のモニタリング、(2)両極域の地殻~上部マントルの不均質構造やダイナミクスと超大陸の形成・分裂過程、(3)極域(高緯度帯)という窓からみた、地球深部(下部マントル~中心核)の不均質構造とダイナミクス、等に焦点をあてて行う。さらに(4)極域という環境下・遠隔地における観測技術・データ通信・データアーカイブ手法の基礎研究を行い、共用に資する学術データベースを構築すると共に、(5)極域の遠隔地データをインテルサット等の衛星回線を用いて、大地震や津波等のリアルタイム防災へ貢献する、(6)解析の基礎となる現地データ取得と共同解析推進のため、両極域での国際共同研究を積極的に推進する。

極域観測歴: (1)南極域:第33次南極地域観測隊(越冬隊)(1991.11-1993.03)、第38次南極地域観測隊(越冬隊)(1996.11-1998.03)、アメリカ隊(夏隊、マクマード・南極点・AGAPキャンプ・ドームF基地)(2008.12-2009.01,2009.12-2010.01)、第54次南極地域観測隊(夏隊)(2012.11-2013.03)、韓国隊(夏隊、ジャンボゴ基地)(2015.11-12)、第58次南極地域観測隊(夏隊)(2016.11-2017.03)、第60次南極地域観測隊(夏隊)(2018.11-2019.03)、第63次南極地域観測隊(夏隊)(2021.11-2022.02)(2)北極域:北極域大気-海水-海洋システムの研究(ノルウェ-・スバールバル)(1994.2)、ロシア・シベリア~極東域での広帯域地震計による国際共同観測 (2003-2005, ロシア科学アカデミーとの共同)、グリーンランドの氷河地震モニタリング国際共同研究計画(GLISN, 2011.06-2018.06)、(3)その他のフィールド:フィリピン、ルソン島の大地震調査(余震観測、断層調査)(1990.8-11)


委員歴

  63

論文

  248

MISC

  121

書籍等出版物

  35

講演・口頭発表等

  700

Works(作品等)

  56

共同研究・競争的資金等の研究課題

  20

社会貢献活動

  71

その他

  1
  • 極域で蓄積された地震学的情報を中心に地球物理学的諸データを総合的に解釈し、現在の環境変動と固体地球の物理的相互作用、また地球史における大陸成長過程に関する研究を継続して行っている。 特に、昭和基地を含む東南極の大陸深部構造を、地震波形逆問題等の解析手法により推定した。表層地質やマイクロテクトニクス研究、室内高圧実験による岩石鉱物学的物性を考慮して、大陸深部を構成する岩石の物理的化学的特徴を検討した。さらに地殻深部反射面の形状やその生成モデルを岩石の変形・流動様式から考察し、ゴンドワナ超大陸の形成・分裂に伴うパン・アフリカン造山帯のテクトニクスを考察した。ゴンドワナ各地域のリソスフェア研究を国内外の共同研究者と推進すると共に、極北シベリアやヒマラヤ・チベット地域をはじめ現在形成途中の超大陸であるユーラシアについても国内外の共同研究者との連携により鋭意進めてきた。 地球史における大陸成長過程と現在のグローバル・ダイナミクス解明のため、昭和基地をはじめ極域の長期間に渡る地震学的データの解析を進めている。極域で観測される固体地球の振動現象のうち、特に地球温暖化に伴うと考えられる氷床・海氷・海洋・地殻変動の特徴的な波動現象(氷震、雪震、脈動、微気圧変動)について、震源の時空間分布、活動度解析、発震機構、波動伝播特性を研究し、気候変動現象の準リアルタイムモニタリングに貢献する。さらに地球内部ダイナミクスについて、地球深部のマントル・核の不均質構造や汎地球的プルームテクトニクスと関連付けて全地球史を考察する。 国際極年(IPY)では、上記目的のため東南極大陸に広帯域地震計を大規模に展開する国際共同計画を実施した(AGAP/GAMSEIS, IPY #147)。昭和基地周辺に展開した、日本の観測隊(JARE)による取得データと共に、両極域のPOLENET観測網への貢献も行った。ポスト国際極年では、グリーンランド氷床の地球温暖化に伴う変動現象を、氷河地震活動を中心にモニタリングする国際共同観測計画(GLISN)へ参画し、関連各国との連携により北極域の気候変動の解明に向けて鋭意努力している。 これら地球内部構造研究のための地震波形データへの逆問題解析や、地震・氷震活動の時空間分布推定のために、統計学的手法(GA, ETAS model、データ同化、等)を積極的に導入し、統計数理研究所等との融合研究を推進する。さらに、極域で得られたデジタルデータを共同研究者に迅速に公開するために、ネットワークや衛星通信を用いたテレサイエンス技術の開発を継続し、準リアルタイムで蓄えられる学術データのデータベースを構築している。