基本情報

所属
北海道大学 大学院法学研究科 准教授
学位
博士(文学)(東京大学)

研究者番号
00735748
J-GLOBAL ID
201401001040776634
researchmap会員ID
B000236339

専門は日本政治外交史で、歴史学に力点を置いた研究を行っています。博士論文では、19世紀末の議会制の導入を日本列島の国民国家形成の契機と位置づけ、「全国政治」という枠組みを提示しました(2016年単著)。「近代国家がさまざまな遠心力や周縁からの綻びをいかに統御しようとしたのか」という博論以来の関心を引き継ぎつつ、通貨、思想、暴力を介した領域(主権)的な空間の形成と再編とを捉えるべく、近年は以下のようなテーマに取り組んでいます。

  
(1)帝国拡大/解体期の金融と外交
   近代国家は一定の均質な領域内における暴力と通貨発行の独占(「一国家・一通貨」)を建前としますが、実際には通貨や金融が帯びる越境性をときに勢力拡大に利用し、またときに統御に失敗して国内の不安定化を招いてきました。こうした観点から、戦前日本の地域秩序への傾斜と戦後日本の国際秩序への包摂の両過程を、各国の国際金融家、経済テクノクラート、日本の陸軍出先、の動向から分析しています。また、横浜正金銀行支店を介して、環太平洋の日系社会に出身国の政府がいかに投資したかにも、新たに関心をもっています。

(2)戦後の北海道開発と政党政治
   なぜ戦後北海道は革新政党が強かったのか(なぜ他地域のような保守支配が成立しなかったのか)という問いを基礎に、日本社会党道連・道本部の動員戦略、利益団体(農民団体や労組)との関係、日ソ・日韓の漁業問題/北方領土問題、について、自治体史(北海道史)編さん事業の一環として道内外で収集した一次史料から検討しています。とくに政党建設期(1950年代)と再編期(1980~90年代)の社会党を代表する政治家として、横路節雄・横路孝弘2代の政党指導に注目した小論を発表しています。

(3)20世紀日本の歴史叙述の歴史
   政治外交史は「すぐれてネーションの反省的意識の学」(酒井哲哉)ともされますが、①岡義武、遠山茂樹、大久保利謙、坂野潤治らの著作から、自国の近い過去を対象とする政治史学の発展を史学史上に再定位するとともに、②江口朴郎、田畑茂二郎、坂本義和らの「左派的思考」を通じて、外交史学の発展と不可分だった国際政治学や国際法学との交錯の復元も試みています。吉野作造の政治史講義の翻刻プロジェクト(2008-09、2016)に学生時代携わったことが、これらの活動の起点になっています。

 

この他、前近代東アジアにおける人質制度の盛衰(共同研究)、2つの憲法秩序のなかの天皇(制)、戦前日本外交および「明治革命」の通史的叙述、といった題材にも着手しています。

 


書籍等出版物

  4

論文

  19

MISC

  43

講演・口頭発表等

  38

所属学協会

  4

共同研究・競争的資金等の研究課題

  15

社会貢献活動

  3

メディア報道

  7