研究概要



糖質化合物を中心に、合成化学を駆使した"モノづくり (=分子設計)"を行っています。

①有機合成

 新たな結合を形成して分子と分子をつなぐ有機合成は、自由自在な分子設計を可能とする非常に重要な"モノづくりツール"です。糖化学分野では、位置および立体制御を伴うグリコシル化反応(糖と糖をつなぐ反応)が非常に重要ですが、保護基を駆使する多段階で煩雑な工程と熟練した合成技術を必要とします。糖質化合物の有機合成技術を基盤として、様々な有機化合物を合成しています。


Chem.Lett., 2015, 44, 846.


②水中での有機合成

 一般的な有機合成では、厳しい脱水環境が要求されるとともに、反応の溶媒や生成物の単離に大量の有機溶媒が必要となります。近年の合成化学分野におけるグリーンケミストリー(環境に優しい化学)に対する意識の広がりにより、水中での有機合成が注目されています。水は糖質化合物の良溶媒であるため、酵素合成用基質や糖鎖高分子合成用モノマー、合成中間体などの有用糖質化合物の水中合成法を開発しています。

     
Chem.Commun., 2009, 3378.         Chem.Lett., 2009, 38, 458.

③酵素合成

 糖質関連酵素を用いたオリゴ糖、多糖、複合糖質の合成技術を開発しています。酵素によるグリコシル化反応は、保護基が不要で位置・立体制御が容易であるとともに、グリーンケミストリーとして重要です。酵素合成に利用できる新規基質を開発し、オリゴ糖、多糖、配糖体、糖質複合体などの酵素合成を行っています。


          
Macromol.Chem.Phys., 2015, 216, 794. and  2013, 214, 2829.

 
Chem.Commun., 2008, 2016.

④高分子化学

 一つの糖分子とタンパク質・ウイルス、あるいは糖鎖と糖鎖の相互作用は一般的に弱いため、細胞表層などの生体内では、多数の糖鎖が集積することで強い相互作用を生みだしています(“クラスター効果” or “多価効果”と呼ばれています)。高分子合成化学を基盤として人工的に糖鎖を集積し、生体内と同様あるいはそれ以上の機能を有する人工的な糖鎖クラスターの構築を行っています。

     
ACS Macro.Lett., 2014, 3, 1074.            J.Polym.Sci.A: Polym.Chem., 2014, 52, 3513.         


Chem.Lett., 2013, 42, 197.

⑤バイオマテリアル 
 合成化学を基盤技術にゼラチンやカテキンなどの天然由来物質から、骨再生材料などのバイオマテリアルを開発しています。

Int.J.Mol.Sci., 2015, 16, 14143.   特開2015-208369.