Takayuki HAYASHI
(林 隆之)
Modified on: 03/13
Profile Information
- Degree
-
博士(理学)(Mar, 2014, 東京大学大学院)
- ORCID ID
- https://orcid.org/0000-0002-4884-3600
- J-GLOBAL ID
- 201301065620160526
- researchmap Member ID
- B000230545
電波天文学
活動銀河核からの非熱的電波放射について主にセンチ波・メートル波を用いた観測研究に取り組んでいます.
- 静止紫外で高速吸収線を示すクェーサー(Broad Absorption Line Quasars)に対する電波観測研究:
活動銀河核内の降着円盤からは円盤と水平方向に降着円盤風が吹いていると予見されており,これが静止系での紫外線やX線での吸収線をつくると考えられています.電波観測では,降着円盤から垂直方向に噴き出すジェットが同時に観測されます.ジェットの観測特徴を把握することにより,降着円盤風の噴出角に制限を加えることができます.また,吸収線の見られるクェーサーに見られるジェットの物理量を,吸収線の見られないクェーサーと比較することにより,降着円盤風の有無による降着円盤の物理状態に制約を加えることができます. - 赤外線で非常に明るい銀河 (Ultra Luminous Infrared Galaxies) に対する電波観測研究:
銀河同士の衝突後には銀河は赤外線で明るく輝き,その放射は何らかのエネルギー源によって加熱されたダスト(塵)によるものです.このダストによって銀河の中心部を見通すことができず,エネルギー源が星形成活動に由来するのか,活動銀河核に由来するのか,可視光線の観測では判別が困難です.一方,電波はダストによる透過力が高く,中心部を見通せます.活動銀河核の中には,ジェットからの強い非熱的放射が見られるものがあります.これを電波観測で捉えることによって,赤外線で明るい銀河のエネルギー源として活動銀河核が寄与することを示すことを目指しています.
最近の銀河進化研究では,銀河が合体によって赤外線で明るくなり,その終盤にクェーサーとしての活動を始めるといわれています.その中で,降着円盤風が銀河を覆うダストをはぎ取ったり,銀河で進む星形成を抑制したりするとも言われれいます.したがって,上記2つの事象の統合的な理解が究極的な目的だといえます.
理科教育
中高の生徒および大学の学生を対象とした,科学史を踏まえた理科教育・教科横断の総合学習の教材開発を中心に取り組んでいます.
- 天動説から地動説への転換の科学史を踏まえた天文教育:
有史以来の記録が残り,人類の自然観の発展と歩みを共にしてきた天文学の歴史を理科教育に織り交ぜることは,学習者が科学知識を身につける上で効果的です.また,天文学は,近代科学が成立する過程で大きく発展した学問でもあり,経験を重視する科学的な態度を習得するにあたっても,天文学史は有用な教材だと考えられます.アリストテレスやプトレマイオスからガリれやニュートンを経て,アインシュタインやハッブルに至るまでの古代から近現代の宇宙観の変遷を踏まえた,中高大の生徒・学生に向けた教材を開発しています. - 日本におけるプレートテクトニクスの受容を踏まえた地学教育:
1910年代にアルフレッド・ウェゲナーによって提唱された大陸移動説は,プレート・テクトニクスとして世界的には1970年代に定説として受け入れられました.しかしながら,日本の地質学界は,プレート・テクトニクスに抵抗し,世界から10年遅れでこれを受容しました.この背景には,(i) 明治維新に始まった日本の地質学が富国強兵・殖産興業を背景とした鉱床探索を目的とし,地域主義的・記載主義的なものに留まり,地球全体を俯瞰するグローバルな視点を持たなかったこと,(ii) 戦後の科学研究における民主主義運動の中で誕生した学術団体である地学団体研究会が,アメリカを中心として発案されたプレート・テクトニクスに対し,左翼的なイデオロギーから嫌悪感を示したことなどが挙げられています.こうしたパラダイム・シフトにおける抵抗はセンメルヴェイス反射とも呼ばれています.日本の地質学界が示したセンメルヴェイス反射の背景にある近現代史を探究的に学ぶ総合学習のカリキュラム開発を企んでいます.
Major Research Interests
6Research Areas
2Major Research History
6-
Apr, 2021 - Present
-
Apr, 2015 - Present
-
Apr, 2014 - Present
Major Education
3Committee Memberships
2-
Jul, 2016 - Aug, 2018
-
Jan, 2012 - Dec, 2012
Major Papers
5-
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, 504(2) 2675-2686, May, 2021 Peer-reviewedLead author
-
PUBLICATIONS OF THE ASTRONOMICAL SOCIETY OF JAPAN, 69(5) 77, Oct, 2017 Peer-reviewed
-
ASTROPHYSICAL JOURNAL, 772(1) 4, Jul, 2013 Peer-reviewedLead author
Misc.
6-
朝日新聞, Aug, 2023
-
朝日新聞, May, 2022
-
朝日新聞, May, 2021
-
論座, Nov, 2019
-
朝日新聞, Nov, 2019
-
東京大学理学部ニュース, Mar, 2018
Presentations
13-
日本天文学会 2024年春季年会Y13b, Mar 14, 2024
-
日本天文学会 2024年春季年会 S03a, Mar 13, 2024
-
日本天文学会 2023年春季年会Y11b, Mar 14, 2023
-
日本天文学会 2023年春季年会S01a, Mar 13, 2023
-
日本天文学会 2022年春季年会S16a, Mar 4, 2022
-
日本天文学会 2017年秋季年会S36a, Sep, 2017
-
第29回 天文教育普及研究会年会, Aug, 2015
-
第28回 天文教育普及研究会年会, Aug, 2014
-
日本天文学会 2013年春季年会S13a, Mar, 2013
-
日本天文学会 2013年春季年会B18c, Mar, 2013
-
日本天文学会2012年春季年会S37a, Mar, 2012
-
日本天文学会2011 年春季年会予稿集A20a, Mar, 2011
Major Teaching Experience
8-
Apr, 2014 - Present
-
Apr, 2013 - Mar, 2015
-
Apr, 2012 - Mar, 2013
Professional Memberships
3Research Projects
2-
委託研究員, 一般財団法人日本私学教育研究所, Apr, 2023 - Mar, 2024
-
Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists, Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists, Japan Society for the Promotion of Science, Apr, 2022 - Mar, 2023