基本情報

所属
立命館大学大学院 先端総合学術研究科 准教授

連絡先
hiroshi.toyagmail.com
研究者番号
80807321
J-GLOBAL ID
201401077210569562
researchmap会員ID
B000242728

私は哲学・倫理学を専門としており、ハンス・ヨナスを主要な研究対象としながら、それに連関させる形で、より広範的に技術思想および未来倫理学の研究を行っています。また、教育・社会連携活動として、哲学対話も携わっています。具体的には以下の通りです。

(1)ハンス・ヨナスの倫理思想の研究

ドイツ出身のユダヤ人哲学者であるハンス・ヨナス(Hans Jonas 1903-1993)の倫理思想を研究し、その体系的な解釈を提示することを試みています。ヨナスは主著『責任という原理』(1979)において、現在世代が担うべき未来世代への責任を基礎づけ、世代間倫理と呼ばれる新しい領野を開拓しました。一方で、ヨナスがその思想をそこから形成するに至った理論的な基礎は必ずしも明らかになっていません。それに対して、『責任という原理』を中心にしながらも、それに前後する諸文献を横断的に検討することで、ヨナスの倫理思想に一定のシステムを見出し、それが今日においてどのような意義と制約を有しているのかを検討することが、私の研究の基本的な姿勢です。現在は、特にヨナスの歴史思想に関心を持っており、グノーシス研究、哲学的生命論、神話思想のなかで歴史に対する思想がどのように形成され、それが倫理思想においてどのような役割を演じているのかを解明することを、主要な研究課題としています。

(2)ドイツ語圏の現代思想における技術思想の研究

ヨナスを中心としながら、マルティン・ハイデガー、ギュンター・アンダース、ハンナ・アーレントなど、20世紀の後半にはドイツ語圏をルーツとする哲学者たちによって技術をめぐる豊かな思想が展開されました。これらの哲学者に共通するのは、技術を素朴に批判したり、あるいは反対に技術を神秘的に礼賛したりするのでもなく、技術が人間の存在に対してもつ意味、世界に対してもつ意味を包括的に考察しようとした、ということです。また、これらの哲学者は相互に独立しているのではなく、互いに連関し合っていることも大きな特徴であり、そこには技術をめぐる思想史的な系譜とでも呼ばれるべきものが存在します。私は、これらの哲学者を研究することを通じて、人間と技術のよりよい関係を模索し、その望ましい姿への示唆を得ることを目指しています。

(3)未来倫理学の包括的研究

現代社会のテクノロジーは人類の歴史上かつてない速度で進歩しており、その影響は多くの場合に不可逆的です。現在世代が世界に及ぼした影響は、そのまま未来世代へと継承されていくため、現在世代は未来世代の生きる環境を脅威にさらす力を持っていると言えます。そうした状況において、現在世代による未来世代への暴力を抑制するために、未来世代への道徳的な配慮のあり方について考える領域を、未来倫理学(Zukunftsethik)と呼びます。1970年代以降、未来倫理学は現代社会に求められる新たな学問領域として位置づけられ、様々な倫理学の原理論から独創的な議論が提示されてきました。私は、それらを個別的・断片的に扱うのではなく、包括的に捉え直し、その特徴や有効性を類型化することによって、現実の社会課題に対して応用可能な専門知へと整理していきたいと考えています。


(4)哲学対話の実践

哲学対話は、その場に集まった市民が特定のテーマについて対等な立場で語り合う、対話型ワークショップです。私はこれまで、哲学対話を狭義の学術研究に留まらない哲学的思考の可能性として、教育の手法として授業内で実施したり、また社会連携活動として街中で実施したりするなど、哲学対話の実践に取り組んできました。現在は、大阪府京橋に位置するコワーキングスペース「OBPアカデミア」さんで哲学対話を行うほか、有志の学生による哲学対話サークルの顧問も務めています。


学歴

  3

委員歴

  2

論文

  24

MISC

  47

書籍等出版物

  17

講演・口頭発表等

  21

Works(作品等)

  1

共同研究・競争的資金等の研究課題

  5

学術貢献活動

  3

社会貢献活動

  77

メディア報道

  3

その他

  4