植物生理化学・生理活性物質科学

Plant Physiology and Chemistry, Bioactive Substances Science

 アレロパシーとは植物から外界に放出される化学物質(アレロケミカルズ)が同種もしくは他の生物個体に対して阻害的または促進的な作用や変化を引き起こす現象である。近年、発芽種子の分泌物から他の植物の茎(シュート)を伸長させる促進的アレロケミカルズが単離・同定されている(レピジモイド、アークチゲニンなど)。特にレピジモイドではシュートの伸長促進に加え、クロロフィル量の増加、葉面積の拡大、花芽および種子数の増加、さらには老化の抑制といった多面的な生理作用が報告されている。現在、アレロケミカルズの生合成経路や作用メカニズムの解明、さらには植物と根圏微生物の化学シグナルを介した相互作用について研究を行っている。

 一方、植物は常に外界からの刺激に応答して生命を維持している。植物の発生、生長そして運動などの様々な生理現象は内外性のシグナル因子の相互作用によって制御されている。光刺激に対する植物の応答である「光屈性」のメカニズムを光誘導性の生長調節物質(光屈性制御物質)の観点から解明することを目的として、これまでに様々な植物から光屈性制御物質を単離・同定している。また光屈性制御物質の生成および作用メカニズムについても、その多くがファイトアレキシンであることとの関連性を含め、数多くの知見が得られつつある。

 これらの研究成果は将来、農作物の増産、農作物への高付加価値の付与、環境低付加型農業の開発などに貢献するものと期待される。

Fig. 1 Biological activity of lepidimoide in various developmental stages of plants. 植物の生長に対するレピジモイドの様々な生理活性.
Fig. 1 Biological activity of lepidimoide in various developmental stages of plants.
植物の生長に対するレピジモイドの様々な生理活性.

Fig. 2 Regulation of phototropism by phototropism-regulating substances in the radish hypocotyl。 ダイコン芽生えの光屈性(光屈性制御物質による制御機構).
Fig. 2 Regulation of phototropism by phototropism-regulating substances in the radish hypocotyl.
ダイコン芽生えの光屈性(光屈性制御物質による制御機構).