基本情報

所属
福島県立医科大学 生体機能研究部門 助教
学位
博士 (心理学)(2009年3月 名古屋大学)

連絡先
yiguchifmu.ac.jp
研究者番号
20452097
ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0001-8240-3345
J-GLOBAL ID
201101051015315903
researchmap会員ID
B000002214

外部リンク

ヒトを含む動物は,環境適応的な行動のレパートリを生得的にもっていますが,遺伝的プログラムの想定を超える環境変化に対応するために,柔軟に行動を変化させることで適応をはかっています。このような行動適応の背景には,記憶や学習といった心のはたらきが必要であり,私は,その心理学的メカニズムを実験的に研究してきました。

実験心理学は,動物の生態環境でおきる記憶や学習のプロセスをラボ内で還元的に再構成し,記憶や学習の強度や速度などに影響する環境のパラメータをシステマティックに変化させる実験を通じて,多くの知見を蓄積してきました。その一方で,このような知見は,ラボ内の実験操作と切り離すことができず,私たちの日常における心理現象を理解するために素直に外挿することが困難です。たとえば,“記憶の想起”や“習慣”といった言葉は,日常生活においても,また,ラットやマウスの条件づけの研究においても,共通して使用されますが,同じプロセスを指示している保証はありません。しかし本来は,ラボ内で得られた知見は,「心とはなにか」「人間とはなにか」と考えたり,あるいは人間の健康や福祉を増進させるために積極的に利用されるべきです。

このような問題を解決するために,ラボ内の動物と実社会におけるヒト,それぞれの心理・行動プロセスを支える脳・神経メカニズムの理解が重要となります。動物とヒトで,同じ言葉で語られるプロセスを支える神経基盤の共通性と差異を可能な限り客観的に示すとともに,実験心理学が蓄積してきた環境主義的な知見とあわせて検討することで,ラボと人間実社会の間の相互翻訳的な理解が導かれると考えられます。私は,このような研究方針に基づいて,動物の記憶や学習の神経基盤の解明に取り組んでいます。


主要な論文

  18

主要なMISC

  10

書籍等出版物

  5

主要な講演・口頭発表等

  26

主要な共同研究・競争的資金等の研究課題

  13