基本情報

所属
広島大学 ゲノム編集イノベーションセンター 特任教授
プラチナバイオ株式会社 研究開発部 主任研究員
学位
博士(薬学)(2007年3月 京都大学)

研究者番号
90568172
J-GLOBAL ID
201401077102209720
researchmap会員ID
7000008828

外部リンク

細胞内小胞輸送(メンブレントラフィック)や繊毛内タンパク質輸送(Intraflagellar transport: IFT)など、細胞内でのタンパク質輸送の調節に関する研究を大学院時代から一貫して行っている。

大学院生[筑波大生命環境科学研究科修士課程〜京大薬学研究科博士後期課程(学振DC1)(2002-2007年)]の時にはユビキチン化によるメンブレントラフィックの調節機構の研究を行い、カナダのMcGill University Montreal Neurological Instituteに留学した時(2007-2009年)には神経細胞におけるメンブレントラフィックの調節機構の研究を行った。

京大薬学研究科に助教として着任後(2009年〜)は、ライブセルイメージングを用いて細胞分裂時のメンブレントラフィックの調節に関する研究を行った。この研究で2013年度の日本生化学会近畿支部例会優秀発表賞と日本細胞生物学会論文賞を受賞した。

2013年からは繊毛内タンパク質輸送をメインテーマにしている。多数のサブユニットから構成されているIFT輸送装置の複雑なタンパク質間相互作用を迅速かつ簡便に調べるために、蛍光タンパク質、Nanobody(ラクダ科動物の単鎖抗体)、蛍光顕微鏡を組み合わせた『観るだけでわかるタンパク質間相互作用解析法(VIPアッセイ)』を開発し、繊毛内タンパク質輸送に関与するBBSome複合体(Katoh et al. (2015)  J. Cell Sci.)、IFT-A複合体(Hirano, Katoh & Nakayama (2017) Mol. Biol. Cell)、およびIFT-B複合体(Katoh et al. (2016) J. Biol. Chem.)の構築様式を解明した。これらの研究によって、2016年度の日本細胞生物学会大会若手最優秀発表賞を受賞した。

2017年にはCRISPR/Cas9システムに独自の改良を加え、ヒト培養細胞における実用的なゲノム編集技術を確立した(Katoh et al. (2017) Mol. Biol. Cell)。また、VIPアッセイとCRISPR/Cas9の技術を駆使することによって、繊毛内タンパク質輸送と繊毛病発症の分子メカニズムを解明し、複数の論文を発表した(Funabashi, Katoh et al. (2017) Mol. Biol. Cell; Nozaki, Katoh et al. (2017) J. Cell Sci.; Nishijima et al. (2017) Mol. Biol. Cell)。これら一連の研究によって、2017年度の日本生化学会奨励賞を受賞した。

2018から2019年においては、IFT輸送装置のモータータンパク質であるヘテロ3量体Kinesin-II(Funabashi et al. (2018) J. Cell Biol.)およびDynein-2複合体の構築様式と機能の一端を解明した(Hamada et al. (2018) Mol. Biol. Cell; Tsurumi et al. (2019) Mol. Biol. Cell)。また、IFT70A/BがIFT-B複合体の必須サブユニットであることを解明しただけでなく(Takei et al. (2019) Biol. Open)、IFT-B複合体とBBSome複合体の間の相互作用様式を解明し、これら複合体間の相互作用が繊毛局在GPCRの繊毛からの排出に重要であることを明らかにした(Nozaki et al. (2018) PLoS One; Nozaki et al. (2019) Biol. Open)。さらに、繊毛病の一種である頭蓋外胚葉異形成が、IFT複合体のサブユニットであるIFT122の変異によって生じる分子メカニズムを解明した(Takahara et al. (2018) Hum. Mol. Genet.

2020年にはIFT輸送装置の研究だけでなく、リン酸化による繊毛内タンパク質輸送の制御機構の研究や繊毛基部において選択的なタンパク質の出入りを制御しているトランジション・ゾーン(TZ)の研究へと発展した。繊毛に局在するリン酸化酵素のICK/CILK1がIFT輸送装置の先端から根本への逆行輸送を制御していることや、ICKのノックアウトにより繊毛先端に異常蓄積したタンパク質が細胞外小胞 (Extracellular vesicle)として放出される現象を見出した(Nakamura et al. (2020) J. Biol. Chem.)。また、TZを構成するMKS1–B9D2–B9D1の三者複合体の形成が、繊毛膜タンパク質に対するTZの拡散障壁としての機能に不可欠であることも明らかにした(Okazaki et al. (2020) Mol. Biol. Cell)。さらには、膨張顕微鏡法(Expansion microscopy)とAmplibody(蛍光シグナル増幅Nanobody)を用いた実用的な超解像イメージング法を開発し、一次繊毛と中心小体のナノスケールでの形態観察が可能になった(Katoh et al. (2020) Mol. Biol. Cell)。

これからも「新たな実験手法を開発することで新発見を目指す」というスタイルで、繊毛内タンパク質輸送システムの全貌解明に向けて研究を進めていきたい。

2023年8月1日よりプラチナバイオ株式会社に転職いたしました。また、クロスアポイントメントとして広島大学ゲノム編集イノベーションセンターの特任教授に就任いたしました。

Yohei Katoh - Google Scholar Citations 


論文

  51

MISC

  10

書籍等出版物

  1

講演・口頭発表等

  123

担当経験のある科目(授業)

  5

所属学協会

  4

共同研究・競争的資金等の研究課題

  13