研究ブログ

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『精霊の箱 チューリングマシンをめぐる冒険』上下巻

10月27日に、東京大学出版会より『精霊の箱 チューリングマシンをめぐる冒険』を出版しました。2013年に出版した『白と黒のとびら オートマトンと形式言語をめぐる冒険』の続編です。(こちらで第一章が試し読みできます)

精霊の箱 上: チューリングマシンをめぐる冒険
川添 愛
東京大学出版会(2016/10/26)
値段:¥ 2,808


精霊の箱 下: チューリングマシンをめぐる冒険
川添 愛
東京大学出版会(2016/10/26)
値段:¥ 2,808



11月16日に書泉グランデにて刊行記念講演会を開催します。

『精霊の箱 上・下』刊行記念 講演&サイン会

当日は「白と黒のとびらシリーズのできるまで」というタイトルで、本が完成するまでの経緯などをお話しする予定です。

<主な内容>
1. 文系人間が理系の本を書こうとするまで
2. 『白と黒のとびら』着想から完成までの経緯
3. 『精霊の箱』 -続編というものの難しさ-
4. 物語世界の構築の参考にしたもの
5. ご質問への答え

物語の内容には極力触れないようにお話ししますので、未読の方でもお気軽にご参加いただければと思います。


どうぞよろしくお願い致します。
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「白と黒のとびら オートマトンと形式言語をめぐる冒険」

4月19日に、東京大学出版会より、「白と黒のとびら オートマトンと形式言語をめぐる冒険」という本を出版いたします。

白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険
川添 愛
東京大学出版会(2013/04/19)
値段:¥ 2,940




【内容紹介】
魔法使いに弟子入りした少年ガレット。彼は魔法使いになるための勉強をしていくなかで、奇妙な「遺跡」や「言語」に出会います。最後の謎を解いたとき、主人公におとずれたのは……。あなたも主人公と一緒にパズルを解きながら、オートマトンと形式言語という魔法を手に入れてみませんか?


今なら、こちらで、プロローグと第一章が読めます。
帯には、新井紀子先生にいただいた、とっても素敵な推薦文が付いています!

また、以下のサイトでもご紹介をいただきました。心より御礼申し上げます。

・映画評が人気のす一さんのサイト
・下北沢のスペシャルティコーヒー専門店COFFEA EXLIBRIS様のサイト

どうぞ宜しくお願い致します。
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エッセイ「研究のススメ」再掲します

このたび、このページ内に新たに「研究のススメ再掲」というページを作りました。
現在、津田塾大学SNS「うめこみゅ」内で、女性研究者支援センターの教員が「研究のススメ」というエッセイをリレー連載しているのですが、そのうちの私の執筆分を掲載していこうと思います。

このエッセイは学内の「研究に興味のある学生」「研究者を目指す学生」向けのもので、まだ研究者として中途半端な自分があれこれ書いているのをお見せするのは恥ずかしいのですが、毎回それなりに時間をかけて書いているので、仕事の記録として残しておくためにも公開することにしました。

つたない文章ですが、ご笑覧いただけますと幸いです。
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どんぐりの思い出

そういえば今日はどんぐりオフだよな、と思いながら、私も今日通勤途中でどんぐりを拾ってみました。
大学の最寄り駅(西武国分寺線鷹の台駅)から小平キャンパスまでの経路には二通りあって、ひとつは体育館前を通る経路、もう一つは緑道を通る経路なのですが、今日は後者を選びました。
地面を見ながら歩いて行くと、結構たくさん落ちていたので、気に入ったのを持ち帰りました。

思えば、前にどんぐり拾いをしたのはもう30年前。
幼稚園のころ、家と幼稚園の途中にある大学のキャンパスで、帰り道に道草をしてどんぐりを拾っていました。
どんぐりを拾って帰る時はいつも父が一緒だったので、おそらく仕事が休みの日に父が迎えに来てくれたのだと思います。

当時から父は仕事が忙しく、休日もあまりありませんでした。
父はたいてい朝早く出て、夜は私と妹が寝付いた後に帰って来たので、よく考えたら一緒に過ごせた時間は非常に少ないのですが、「父はいつも一緒にいてくれた」という印象があります。
幼稚園の思い出といえば園内の出来事よりも「帰りに父とどんぐりを拾った」ことを真っ先に思い出しますし、そのとき話したことや周りの光景も鮮明に覚えています。
くぬぎと椎の実の違いを教えてもらったなぁ、とか。

父が亡くなる少し前に、病床の父にどんぐり拾いのことを覚えているかどうか聞いてみました。
父は目を細めて「君は、どんぐりを拾い出したら、ずーっと座り込んで、なかなか帰ろうとせんやったもんなあ」と言いました。
そのとき初めて、ああ父はとても忙しかったのに、私のどんぐり拾いにじっくり付き合ってくれてたんだ、ということが分かりました。

どんぐり拾い以外にも、虫捕りや天体観測など、私が興味を持ったことにはよく付き合ってもらいました。
また父は物知りで、「これは何?」とか「どうして?」とか「これはどうなるの?」という疑問にもよく答えてくれました。

父の専門は機械工学で、私が大学生になって家を出るまでは企業で船の設計をしていましたが、専門の話はもちろん、それ以外の話もとても分かりやすく、面白く話してくれたので、私は父から科学や工学の話を聞くのがとても好きでした。
実際父は余暇を惜しんで、専門外の分野の本をよく読んでいました。
40代半ばで大学教員になり、60才で亡くなるまで、専門の設計工学を軸に、摩耗についての基礎研究から船のプロペラの設計、病院で掃除に使うモップの開発など、いろいろな研究をしていました。
もう少し暇になったら修士の頃に取り組んだ設計論をもう一度研究したい、と言っていましたが、それは叶いませんでした。
しかし今、私が少しばかりオントロジーの研究をして、父の設計論とちょっと近いところに来たのは、偶然ではありますが、縁を感じます。

父は自分がよく分からないことについても、ごまかさずに「よくわからんけど、こうかもしれん」と自分の考えを話してくれました。
そういう意味では、それほど子供扱いされていなかった、と思います。
私が図鑑や本や学校でこういうことを勉強したよ、ということを話すと「うん、よく勉強した。」とほめてくれ、その後も私が話したことをよく覚えていて「君が前に言っていた星の名前は○○だったっけ?」と質問をしてくれたり、私が興味をもちそうな本を仕事帰りに買ってきてくれたりしました。

思えば、そういう父との「サイエンスコミュニケーション」が、一緒に過ごす時間の絶対的な少なさをカバーして親子の絆を深め、また後々の私の「研究者になろう」という気持ちにつながったのだと思います。
最近、学校で勉強したことを子供がお母さんに一生懸命話しているのに、お母さんが「はぁ、それで?」と適当に相槌を打って聞き流しているのを見て、とても可哀想だと思いましたが、そういうときの親の反応は重要だと思います。
経験上、「自分が興味をもっていることに、お父さん/お母さんも興味をもってくれている」と思うのは、子供にとってとても嬉しいし、心やすらぐことではないかと思うからです。

今年7月の5女子大サイエンスフェスティバルで講演された山田作衛先生は、「子供の「なぜだろう」という質問を親が面倒臭がらないことはとても大切」とおっしゃっていました。
山田先生によると、4つぐらい「なぜだろう」が続くと、大人でも答えられないレベルになり、そこから科学が始まるとのこと。
その話を聞いて、たとえ自分が食べていくために必要がない分野であっても、人の親になるならば、さまざまな分野に興味をもって勉強しておく意義が大いにあると思いました。


どんぐり拾いから始まって長々と書いてしまいましたが、父が私にしてくれたことを思い出すに、もうちょっと今より頑張らなくては、と思いました。
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ドイツ・ブレーメン応用科学大学の「女性だけの情報科学コース」

10月17日に、千駄ヶ谷キャンパスで津田塾大学女性研究者支援センター主催のシンポジウムを開催しました。
今回のテーマは情報通信分野の女性人材育成で、ドイツとフィンランドから講演者をお招きして、各国の取り組みを紹介していただきました。

ドイツからはブレーメン応用科学大学の教授2名(Heide-Rose Vatterrott教授、Axel Viereck教授)にお越しいただき、同大学の「女性だけの応用科学コース」についてお話いただきました。

ドイツでも日本と同じく、数学、情報学、自然科学、テクノロジー分野に女子学生が少なく、しかもドロップアウトしやすいという問題があり(各分野の頭文字を取ってMINTプロブレムと呼ばれていました)、特に情報通信分野では高度な人材の不足が深刻なため、若い女性に対する啓蒙活動が行われているということです。

ブレーメン応用科学大学もこのような事態を受けて、2000年に女性専用の情報科学コースを設置したということですが、もともと男女共学の大学があえて女性だけのコースを作ったというのには驚きました。
しかも、これまでに69名が卒業し、ほぼ全員が高給の職に就くことができたとのこと。

http://www.hs-bremen.de/internet/en/studium/stg/ifi/index.html


何が成功要因なのか?ということで、同コースの指導体制が紹介されたのですが、印象としては「いやぁ、手厚いなあ」の一言。
情報科学コースで女性がドロップアウトしてしまう場合の傾向や時期を把握して、それを防ぐように様々な工夫を凝らした指導をしているということです。

今回の発表によると、ドロップアウトの時期は1年目の、課題の量が増える学期末に集中しており、特に自宅での学習の管理がうまくできない学生がドロップアウトしやすいとのこと。
これに対して同コースが行っている工夫として、以下のようなものが挙げられていました。

・少数グループでの演習
・自宅学習の管理方法についての指導
・学期途中に試験をする
・チュータリング
・オフィスアワーとオンラインサポート
・E-learning環境の提供

自宅学習については、働きながら学ぶ学生のサポートや、大学を出ても一生自分で学習ができる基礎づくりのために重視しているということです。オンラインで教材を取得してテストも受けられるようにして、結果的に大学での勉強と自宅学習の割合が1:2になるようにしているとのことでした。

また、少人数のグループワークを重視することで、学生どうしの協力関係を生かすことができ、学力の向上にいい効果を上げているということです。

このほか、海外への就職を視野に入れて語学やコミュニケーション教育を重視し、最低1学期間は海外に留学する義務を課すなど、国際性のある人材を育成する取り組みも発表されました。


近年、国内で女子大不要論が聞かれるようになったり、他方で海外では男女別授業が可能になったりと、教育について様々な動きがありますが、このような事例を聞くと、教育を受ける側が自分に合った学習環境や指導方法を選べるように、多様な選択肢が用意されるというのは好ましいことではないかと思います。

今回のブレーメン応用科学大学の取り組みの対象は女性のみでしたが、もしかすると必ずしも性別だけで分ける必要もないのかも、と思います。
たとえば「情報科学は苦手」と思っている男性の中にも、同じような指導を受けて伸びる人がいるかもしれませんし、また女性でも人によっては大勢の男性の中で、もっと競争意識が刺激される環境の方が自分は伸びる!と思う人がいるかもしれません。

大学全入時代の中で知的財産立国を目指すには、国民の知的水準を底上げする必要がありますが、そのためのヒントの一つがこういった事例の中にあるような気がします。

ちなみに、この「女性だけの情報科学コース」はもともと誰のアイデアなのですか?とViereck教授に伺ったところ、「学長本人が立案して、政府にプレゼンをしたんだよ」とのことでした。素晴らしいリーダーだと思います。
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漫画「ブレインズ―コンピュータに賭けた男たち(1)」を入手

今年度の前期に授業で「計算機の歴史」を教えました。「技術英語」という理文融合科目で、数学・情報科学分野の英文読解と英日翻訳を教えつつ、計算機の歴史と今のコンピュータのしくみを解説するというものです。

この授業にはもともと、「歴史という観点から切り込めば、文系の学生も情報科学に興味を持ってくれるかもしれないし、理系の学生も『へぇ! 今勉強していることにはこんな歴史があったのね!』と面白がるかもしれない」・・・というねらいがありました。
しかし蓋を開けてみると、学生の方はいざ知らず、見事に自分の方がすっかり計算機の歴史にはまってしまいました。

バビロニアやエジプトの数字、ゼロを使った位取り式記数法の登場、アバカス師と筆算師(アルゴリスト)の戦い、対数と計算尺、パスカルやライプニッツの計算機・・・などなど、調べれば調べるほど面白いテーマがたくさんあったのですが、中でもチャールズ・バベッジの階差機関と解析機関、そしてその淋しすぎる生涯にはなぜか強烈に惹かれるものがありました。

漫画「ブレインズ―コンピュータに賭けた男たち (1)」 (伊藤 智義 (原作), 久保田 真二(作画), ヤングジャンプ・コミックスBJ)はバベッジとチューリングを取り上げているということで、評判も非常に良いので買ってみました。噂にたがわず、素晴らしかったです。

Amazon.co.jp:ブレインズ―コンピュータに賭けた男たち(1)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/408782540X/sr=1-11/qid=1251639893/ref=olp_product_details?ie=UTF8&me=&qid=1251639893&sr=1-11&seller=


バベッジの話はだいたい知っていたものの、ストーリーテリングと漫画ならではの演出が見事なためか、読んでいてとても新鮮でした。

一番感動したのは、ライバルのエアリー教授に解析機関の計画を「インチキ」と批判される場面で、「機械がものを考えるかね? しゃべりだすとでも言うのかね?」と罵倒されたバベッジが、その言葉の重要さに気づいて「ハッ」とするところ。
150年以上も前のイギリス社会の閉塞感の中で、計算機の可能性をはるか遠くまで見通していたバベッジの天才ぶりを際立たせる、この上なく効果的な表現だと思います。

もう一つのチューリングの話も非常に面白いです。
こっちにはチューリングの良き理解者として、女性数学者のジョアンとチェスの名人ウェルチマンというなかなか味のある脇役キャラが出てくるのですが、調べてみたら彼らも実在の人物で驚きました。

Joan Elisabeth Lowther Clarke Murray
http://www-history.mcs.st-andrews.ac.uk/Biographies/Clarke_Joan.html

Gordon Welchman (Wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Gordon_Welchman


しかもジョアンの方は、漫画と同じく、史実でも実際にチューリングにプロポーズされており、破談したあともいい友人だったとのこと。
てっきり、話を面白くするための架空の人物かと思っていました。

チューリングの話で一番好きな場面は、大きなイギリス国旗がかかった壁を背に、チューリングが「電子計算機を作りましょう! リレーの代わりに真空管を使うのです!」と発言するところ。
たった1コマで、イギリス国家の存亡を一身に背負う天才の偉大さと、後に同じ国家によって業績を秘匿され、犯罪者の汚名を着せられる運命の皮肉が見事に表されていると思います。

このような良質な本が絶版になっていて、古本でしか手に入らないというのは残念。

ただ、原作者である千葉大学の伊藤智義先生のホームページを拝見したところ、今後の第二部、第三部の構想もあるようなので、とても楽しみです。
1巻と2巻の原作シナリオも読めます。漫画に入っていない場面もあって、比べて読むと面白いです。

伊藤智義先生ホームページ
http://brains.te.chiba-u.jp/~itot/index.htm

BRAINSのページ
http://brains.te.chiba-u.jp/~itot/work/brains/brains.htm


第2巻はツーゼ、ブッシュ、アタナソフ&ベリーという渋い(!)顔ぶれなので、早く入手して読んでみたいと思います。
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夏の合宿2009回想:パペロ実習

津田塾大学女性研究者支援センターでお盆に開催した女子高校生対象イベント「夏の合宿2009 ~社会は変わる あなたが変える みらいのメディアとテクノロジー~」の記事がITmediaに掲載されました。

津田塾大学 夏の合宿2009ホームページ
http://artemis.tsuda.ac.jp/summer/

女子高校生が作るロボットはデートのお邪魔虫 @IT自分戦略研究所
http://jibun.atmarkit.co.jp/lstudent/special/tsuda/01.html


この記事にあるように、合宿の目玉の一つはNECが開発しているパーソナルロボットPaPeRo(以下パペロ)を使ったロボットプログラミング実習だったのですが、当初の予想以上に女子高生の皆さんが楽しんでくれました。

実習では、この記事で紹介されている「パパペロ」や「漫才パペロ」以外にも、「お料理パペロ」や「天使パペロ」など色々ユニークなパペロが誕生しました。「アルプスの少女 ハイジパペロ」というのもあり、クララ役の女子高生が椅子から立ち上がると「クララが立ったー」と言ってはしゃぎ回り、最後はペーター役の子と3人で輪になって踊るというクライマックスまで用意されていました。

ここで紹介されている「ナンパペロ」や「逆ナンパペロ」の他にも「二人の女性の間で揺れ動くパペロ」などがあり、なにげに恋愛ドラマっぽい作品が多かった気がします。

どの班もとても楽しそうにシナリオを考えたり、ロボットの衣装を作っているのが印象的でした。

漫画の「うちの3姉妹」を読んでいると、小さい姉妹が寸劇を作って遊んでいる場面が出てきて、私も子供のころ妹とそうやって遊んでいたなあと思い出すのですが、どうも女の子にとって「寸劇を作る」というのは、何か特別な楽しさがあるような気がします。

個人的にツボだったのは、講師がプログラミングの練習用に作った「3の倍数で甘えるパペロ」、その名も「世界のナベパペロ」(!)でした。

講師による緻密な授業構成、NEC様の協力、また大学生アシスタントの助力が合わさって成功した実習だったと思います。
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日本大学女性研究者支援推進ユニットのWebサイト

今日は市ヶ谷のJSTで会議があったのですが、その帰りに日本大学女性研究者支援推進ユニットを見学させていただきました。

同ユニットの活動についていろいろとご紹介いただいたのですが、中でもWebサイトの充実ぶりには驚きました。

なんと、「リンク・資料集」(http://www.nihon-u.ac.jp/research/careerway/link1.html)の子育て支援情報では、全国の認可外保育施設のリストが都道府県ごとに網羅されており(http://www.nihon-u.ac.jp/research/careerway/SNS/ninkagai/TopPage.html)、しかも場所がGoogleマップで表示できる!

これを作成するのは大変な労力だったとのことですが、女性研究者に限らず、子育て中の働くお母さん一般に役立つ、大変価値ある情報源だと思います。

また、同ページの「海外の育児情報」(http://www.nihon-u.ac.jp/research/careerway/SNS/kaigai/kaigaiikuzi_v2_index.html)は出張や留学の際の情報収集に役立つだけでなく、読み物としても大変充実しています。

「旧姓パスポート取得方法」(http://www.nihon-u.ac.jp/research/careerway/SNS/旧姓パスポート取得方法.pdf)では「ペーパー離婚・再婚」のような「そんな手があったの!?」という裏ワザも紹介されていて、とても面白い!

推進コア所蔵の図書リスト(http://www.nihon-u.ac.jp/research/careerway/link4.html)も、同じ女性研究者支援事業に携わる者としては非常に有難いです。


現在、文科省科学技術振興調整費による3年間の助成が終わった後、女性研究者支援体制をどうやって維持継続していくか、という問題が採択機関の中で持ち上がっています。
個人的には「有用なデータや情報システムを残していく」というのは比較的取りかかりやすく、効果が高いのではないかと考えています。

そういった意味で、日本大学のWebサイト、日本女子大学のeポートフォリオ、お茶の水女子大学の「お茶大インデックス」などの取り組みは大変興味深く思っています。

お忙しい中支援室を案内して下さった日本大学女性研究者支援ユニットの先生方、誠に有難うございました。
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この夏出会った恐怖体験

以下、怖かった順に3つほど。(3つめのは私は全然怖くありませんが)

(1)家で一人でこわごわ稲川淳二のインタビュー記事を読んでいたら、突然パソコンから一度も聞いたことのない「ビィィィッ!」というでかい音が出た。あまりに怖かったので、その日の夜は、稲川氏のアドバイスどおり枕元に金属を置いて寝た。

(2)学内の某宿泊施設に泊まった同僚の話。夜中、誰もいないのにパシッ、パシッと音がしたり、話し声らしきものが聞こえたとのこと。職場で「ラップ音か?」と話題になったが、そういえば「ラップ音」という言葉は思春期以来聞いてない気がする。なつかしい。

(3)本学主催のイベント「夏の合宿」(http://artemis.tsuda.ac.jp/summer/)で宿泊したホテルで、学生の控え室になっている部屋に入ったところ、中にいた学生全員から「ギャー!」という悲鳴を上げられてしまった。学生曰く、「先生が入って来る時の音がなんか霊っぽかった」って。なんだそりゃ!
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「自覚的に生きる=学問」

仕事上、研究を志向する若い人を増やす、またそういった若い人達を支援するということをしていますが、公には「知的財産立国」とか色々な名目があるものの、私個人として、若い人に研究を勧めなければならない理由は何か?ということはあまり考えていませんでした。

最近、学内のSNSで同僚と「研究のススメ」というテーマのリレー連載をすることになり、改めて考えてみたのですが、結局私の「個人的理由」は故阿部謹也先生の以下の言葉に集約されているのだと気が付きました。

「学問の意味は生きることを自覚的に行う、つまり自覚的に生きようとすることにほかなりません」(「自分のなかに歴史を読む」(ちくま文庫)より)

阿部先生はまさに「自覚的に生きる=学問」を実践された人ですが、その経緯を若い人向けに綴られた上の著書を読んだ時は、本当に深い感動を覚えました。

読んだのがちょうど、私の身内で不幸があってから1年近く経とうとしていた時で、徐々に「一体自分や周囲に何が起こっていたのか」を客観的に見られるようになってきた頃でした。
まだとても立ち直れないが、もしかすると、自分がまがりなりにも「学び、考える」ことを仕事にしていることで、実は結構救われているのかもしれない・・・などと思っていたので、阿部先生の上の言葉を読んだ時、胸のうちのさまざまなことが説明された気がしました。

阿部先生の著作はずっと趣味で読んでいましたが、先生の研究人生を綴られた「自分のなかに歴史を読む」と「阿部謹也自伝」(新潮社)は今の仕事に直結するので、繰り返し読んでいます。読むたびに研究者育成にかかわるヒントがあって驚かされます。


ここ数日、裁判員制度のニュースを見るたびに、阿部先生が生きておられたら何とおっしゃるだろう・・・とあれこれ想像しています。
まさに阿部先生の研究と直結していると思うのですが。
先生がもうこの世にいらっしゃらないのが本当に残念です。
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