2017年11月
術中ICG蛍光法で血流評価を行った脾動脈瘤併存胃癌の1例
癌と化学療法
- 巻
- 44
- 号
- 12
- 開始ページ
- 1497
- 終了ページ
- 1499
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (株)癌と化学療法社
症例は81歳、女性。胃体中部小彎の2型胃癌の診断で当院へ紹介された。術前CTで脾門部に径15mm大の石灰化を伴う脾動脈瘤が偶発的に発見された。脾動脈瘤塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を先行して手術を行う方針となった。金属コイルを用いてTAEを行い、TAE後の脾臓の血流は主として左胃動脈からの側副血行路で保たれていることが確認された。TAE後14病日に手術を行った。左胃動脈を除く血管処理を終えた後に左胃動脈の血流を遮断し、indocyanine green(ICG)蛍光法で胃と脾臓の血流が保たれていることを確認した。膵臓を介して脾臓の血流が確保されていると判断し、脾臓を温存して幽門側胃切除術を行った。術後経過は良好であり、術後11病日に退院した。脾動脈瘤併存胃癌の手術では、脾摘を伴う胃全摘まで必要となる可能性がある。TAEを先行して側副血行路を確認し、術中ICG蛍光法を用いた血流評価を行うことで脾臓温存と胃全摘の回避が可能であった。(著者抄録)
- ID情報
-
- ISSN : 0385-0684
- 医中誌Web ID : 2018260633