<p>本研究は，アメリカの科学教育思想であるNature Study について，わが国の小学校低学年の学習に与えた影響を，奈良女子高等師範学校附属小学校の神戸伊三郎の低学年の理科教育論を中心に分析した。その結果，神戸は，わが国において，自然そのものから学ぶ，児童を中心とした低学年の理科に関わる学習を実現するためにNature study を参考にしていたこと，一方で，理科の本質を没却し，知識を軽視した過度なNature Study の実践に警鐘を鳴らすために，知識をも重視した科学的なScott（1900）のNature Studyの考え方をより多く取り上げていたことを指摘した。</p>