共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

量子古典対応および量子カオスの観点に基づくグラフの増大列の解析とその応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K03608
体系的課題番号
JP19K03608
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本年度は次の結果を得た.(1)正則グラフの隣接行列のレゾルベントに現れる non-backtracking path の個数と関係する行列の成分の主要項を除いた誤差項の(pathの長さに関する)分布を決定した.その応用として,グラフの増大列が固有値に関するある条件を満たすときに,誤差項の極限分布は正規分布となることが得られた(これはある種の中心極限定理的な現象と考えられるが,固有値の間には代数関係があるので単純ではない).またサイクルグラフの場合から確率密度関数の等式が得られた.結果は論文投稿に向けて準備中である. (2)Kesten分布(あるいは Kesten-McKay 分布)は巨大な正則グラフの隣接行列の固有値分布として現れ,また特別な場合は逆正弦則となり,極限をとると半円則となることから重要な分布である.我々は,2つのパラメータをもつ形に一般化された Kesten 分布のモーメントについて,組合せ論的な明示式を与えた.古典的なカタラン数の2通りの一般化として,Catalan's triangle および Shapiro's Catalan triangleがある.我々はモーメントをCatalan's triangle または Shapiro's Catalan triangleで表す等式を得た.このモーメントの2通りの表示はそれぞれ利点があるが,特にShapiro's Catalan triangleとの等式を用いるとモーメントの(次数が増大するときの)漸近式が得られる.関連してEplett(Discrete Math. 25 (1979))によるCatalan数とShapiro's Catalan triangleの関係式の一般化を得た.結果は投稿中である.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K03608
ID情報
  • 課題番号 : 19K03608
  • 体系的課題番号 : JP19K03608

この研究課題の成果一覧

論文

  2

講演・口頭発表等

  2