共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

意識変容の現象学──哲学・数学・神経科学・ロボティクスによる学際的アプローチ

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
20H00001
体系的課題番号
JP20H00001
配分額
(総額)
42,380,000円
(直接経費)
32,600,000円
(間接経費)
9,780,000円

A.時間論グループ(田口、西郷、谷、田中、富山、栁川、武内)は、前年度の研究を受け、現象学的な「時間」の捉え方について、さらに踏み込んだ考察を行った。現象学的時間論を専門とする栁川耕平氏を博士研究員として招聘し、月に1回ほどのペースで研究会を行った。現象学、圏論(数学)、ロボティクス、精神病理学等の知見を持ち寄り、離人症や統合失調症、自閉症などにおける時間意識の変容をできるだけ構造化して理解し、圏論を用いて定式化する方法を議論した。とりわけ現象学で言う把持(retention)と予持(protention)の相互媒介構造を圏論によって形式的に表現する可能性が開かれてきた。また、時間と身体性のつながりについても議論し、原初的な「感じ」の無数のうごめきから、「矢印」的な動きの形が生成してくるプロセスとして、時間の原初的な生成を描くという方向性での議論が進展した。
B.計算論的意識論グループ(吉田、山下、西尾、宮園、協力者・鈴木)は、前年度の議論から浮上してきた新しいアイデア、すなわち「サリエンス」と「アフォーダンス」を結びつけて理解するというアイデアを追究し、同じく月に1回ほどのペースで研究会を行った。とりわけ統合失調症に関する「異常サリエンス仮説」と、精神疾患へのアフォーダンス概念の適用について詳しく検討し、両者を「行為」を媒介として結びつける可能性が示された。予測符号化理論および自由エネルギー原理との関連も多角的に議論し、それにもとづいて「知覚サリエンス」と「動機サリエンス」の本質的な近縁性を浮き彫りにすることができた。
これらの研究の成果は、論文と学会発表により部分的に公表した。また、2021年12月に北海道大学人間知・脳・AI研究教育センター主催で行われた国際会議The free energy principle of the brainなどにおいてもその成果の一端を公表した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H00001
ID情報
  • 課題番号 : 20H00001
  • 体系的課題番号 : JP20H00001

この研究課題の成果一覧

論文

  12

MISC

  2

書籍等出版物

  3

講演・口頭発表等

  21

社会貢献活動

  4