MISC

2020年

非線形解析を用いた変形性膝関節症者の歩行時筋活動の検討

関東甲信越ブロック理学療法士学会
  • 久保田 圭祐
  • ,
  • 園尾 萌香
  • ,
  • 塙 大樹
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  • 平田 恵介
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  • 藤野 努
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  • 国分 貴徳
  • ,
  • 金村 尚彦

38
開始ページ
O
終了ページ
58
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14901/ptkanbloc.38.0_O-058
出版者・発行元
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会

<p>【目的】変形性膝関節症(以下,膝OA)において,膝関節局所に集中した圧縮応力はその進行を助長する.本来,ヒトの歩行は,各周期に一定の運動パターンになることはなく,わずかな変動性を有している.一方で,膝OAは関節可動域制限や筋の同時収縮に伴い,この変動性が減少する.その中でも筋の同時収縮に伴う変動性低下は異常な圧縮応力に直結する.我々は,非線形解析手法の一つであるLempel-Ziv Complexity(以下,LZC)を用いて,連続歩行における筋活動パターンの変動性を定量的に評価し,膝関節への圧縮応力を反映する指標としてLZCの有用性を検討した.</p><p>【方法】対象は健常若齢者11名(Y群)と健常高齢者10 名(E群),膝OA患者10名(OA群).表面筋電図計を用い,片側下肢5筋に電極を貼付,3km/hにおける1分間の歩行時筋活動を採集した.後半30秒間における筋活動データに対してLZCを実施し.それぞれ変動性を算出した.統計解析には,Kruskal-Wallis検定を用いた.</p><p>【倫理的配慮】本研究は,埼玉県立大学倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:28507).</p><p>【結果】大腿直筋,外側広筋はY群と比較してE群とOA 群で有意に変動性が減少した(p<0.05).その一方で,内側広筋に関してはY群と比較してE群においてのみ,有意に変動性が減少した.</p><p>【考察】先行研究において,LZCは筋疲労によって減少することが報告されている.本研究では,大腿直筋と外側広筋は,E群とOA群においてLZCが有意に減少した.しかし,内側広筋はE群のみ減少した.これは,高齢者は加齢に伴って大腿広筋群全体の筋力低下の影響を反映しているが,その一方で膝OAは膝関節内側への圧縮応力の増加に対する代償的筋活動として大腿直筋と外側広筋がより過剰に活動し,筋疲労が生じている可能性が考えられる.これらのことから ,LZCは膝OA患者における特徴的な筋活動パターンを反映する可能性がある.</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14901/ptkanbloc.38.0_O-058
CiNii Research
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390565134813810176?lang=ja
ID情報
  • DOI : 10.14901/ptkanbloc.38.0_O-058
  • ISSN : 0916-9946
  • eISSN : 2187-123X
  • CiNii Articles ID : 130007779541
  • CiNii Research ID : 1390565134813810176

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