共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2022年3月

戦前日本の初等教員養成における初等教員検定の果たした役割に関する歴史的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H02660
体系的課題番号
JP17H02660
配分額
(総額)
17,680,000円
(直接経費)
13,600,000円
(間接経費)
4,080,000円
資金種別
競争的資金

本研究は、第二次大戦前日本の小学校・国民学校教員(以下、初等教員)検定制度の府県比較と中央の初等教員検定関係法令制定・改正過程に関する総合的研究である。府県比較に関しては、北海道、鳥取県、長野県、埼玉県、宮城県、山口県の道県を取り上げた。中央法令制定・改正過程の検討には『公文録』・『公文類聚』等の法令起草・成文関係史料等を用いる。本年度は、小学校令施行規則期(1)――終身有効・全国通用化前(1900-1913年)を主たる対象として検討を行った。検討の結果、次のことが明らかになった。検討結果の主なものを記す。
1)府県比較に関して。長野県に関しては『長野県教育史』に記載されていない規定改正が行われていることが判明した。長野県では1900年9月に「小学校教員検定及免許状ニ関スル細則」が制定されたが、その後、同年11月に1度改正され、1901年3月には新たに「小学校令及小学校令施行規則実施ニ関スル規程」により小学校教員検定システムが規定されるようになった。同規程は1914年までに10度改正された。また、長野県では農業学校に教員講習科が設置され、独自規則が定められるなど、先行研究で明らかにされた他府県の事例にはみられない動きがあった。北海道に関しては北海道大学附属図書館所蔵の北海道教育会関係雑誌を通覧し、新たな検定内規記事等を見つけることができた。鳥取県に関しても調査が進み、鳥取県では県令により「小学校教員検定等ニ関スル規則」、「小学校教員検定ニ関スル規程」等の名称で小学校教員検定システムが規定されていたことが判明した。そのほか、古書で愛媛県の大正期の小学校教員検定内規を入手することができ、合否判定基準の検討のための基礎資料を充実させることができた。
2)中央法令制定・改正過程の検討に関しては、枢密院議事録に小学校教員検定制度の改変に関する審議の記録が残されていることが判明した。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H02660/
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H02660
ID情報
  • 課題番号 : 17H02660
  • 体系的課題番号 : JP17H02660