2020年4月 - 2023年3月
高度に成熟した3D心筋組織を用いた HCMモデルの構築と発症機序の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
ヒトiPS細胞由来心筋細胞の欠点である未熟さを改善するために、これまで当研究室より見出されたヒトiPS細胞由来心筋細胞の成熟化を促す低分子化合物 (Cpd.A)を用いて3D心筋組織の成熟化法を最適化した。当該年度では引き続きこの方法により作製された3D心筋組織の成熟度を形態、収縮機能、代謝、遺伝子発現など様々な観点で評価した。昨年度までに明らかにしていた細胞の肥大やサルコメア長の延長と収縮力の増加といったパラメータに加え、ミトコンドリア量の増加とMYH7やTNNI3といった成熟化に伴い上昇する遺伝子の発現上昇が見られた。また解糖系や細胞周期に関連する遺伝子の低下が起きていることが明らかとなり、3D心筋組織が成熟化していることを多角的に明らかにした。
またHCM患者で認められている変異を導入した2種類のhiPS細胞を用いて3D心筋組織をそれぞれ構築し、この方法により成熟化させたところ、2種類の3D心筋組織とも野生型と比べて有意な心筋細胞の肥大を確認することができた。さらにRNA-seqにより遺伝子発現を解析したところ、過去の報告から得られたHCM患者の心筋組織のトランスクリプトームデータと似た遺伝子発現パターンを示していた。またサルコメアの錯綜配列や代謝経路、繊維化などHCM患者で認められている表現系を評価したところ、変異によって発現する表現系が異なることが明らかとなった。これらの結果はHCM患者で認められている表現系が均一ではないことと一致しており、本手法により作製された3D心筋組織のHCMモデルは実際の臨床に近いモデルであると示唆している。
またHCM患者で認められている変異を導入した2種類のhiPS細胞を用いて3D心筋組織をそれぞれ構築し、この方法により成熟化させたところ、2種類の3D心筋組織とも野生型と比べて有意な心筋細胞の肥大を確認することができた。さらにRNA-seqにより遺伝子発現を解析したところ、過去の報告から得られたHCM患者の心筋組織のトランスクリプトームデータと似た遺伝子発現パターンを示していた。またサルコメアの錯綜配列や代謝経路、繊維化などHCM患者で認められている表現系を評価したところ、変異によって発現する表現系が異なることが明らかとなった。これらの結果はHCM患者で認められている表現系が均一ではないことと一致しており、本手法により作製された3D心筋組織のHCMモデルは実際の臨床に近いモデルであると示唆している。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K16218
- 体系的課題番号 : JP20K16218
この研究課題の成果一覧
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受賞
2講演・口頭発表等
1-
ISSCR2023 Annual Meeting 2023年6月16日