2016年7月 - 2023年3月
国際特許の実証的評価に基づく各国財務報告制度の比較検討
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
特許権を含む無形資産の会計制度に関する研究については、各国財務報告制度の比較検討を進めながら、のれんに関する会計基準に焦点を当て、日米英仏におけるのれんの財務報告制度について、のれんの償却と非償却に関する議論を行った。この成果は、昨年度に査読付き英文雑誌において公表された。今年度は、昨年度からこれと並行して行っていた、IASBの概念フレームワークにおける利益の基礎概念に関する検討を進め、EAA(European Accounting Association)やBAFA(The British Accounting and Finance Association)など、複数の国際学会で研究報告を行い、既に成果が確定したものについては、査読付き英文雑誌で公表した。これにより、無形資産の財務報告制度の基礎を成す「財務報告に関する概念フレームワーク」における利益概念と資産・負債の認識・測定との関係が明らかになり、無形資産の財務報告制度の相違を論じるうえでの理論的基礎が示された。
実証面に関しては、多国籍企業の出願・審査・特許権取得データベースの分析を進めつつ改善作業を進めた。本年度は、欧州特許庁のDOCDBデータベースの新版を入手できたほか、特に医薬品業界での国際的な特許出願によく用いられる特許協力条約(PCT)に着目して分析成果を挙げ、複数の国際学会で発表した。中でも、各国に特許出願中の権利の価値は国際的相互依存の程度に差があり、PCT特有の審査手続きにも影響されることを明らかにした。本プロジェクトでは、基本的には各国の無形資産価値は独立という前提にたっているが、理論的には一国の知財価値と他国の法的手続き情報を合わせて分析する必要が示された。
実証面に関しては、多国籍企業の出願・審査・特許権取得データベースの分析を進めつつ改善作業を進めた。本年度は、欧州特許庁のDOCDBデータベースの新版を入手できたほか、特に医薬品業界での国際的な特許出願によく用いられる特許協力条約(PCT)に着目して分析成果を挙げ、複数の国際学会で発表した。中でも、各国に特許出願中の権利の価値は国際的相互依存の程度に差があり、PCT特有の審査手続きにも影響されることを明らかにした。本プロジェクトでは、基本的には各国の無形資産価値は独立という前提にたっているが、理論的には一国の知財価値と他国の法的手続き情報を合わせて分析する必要が示された。
- ID情報
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- 課題番号 : 16KT0092
- 体系的課題番号 : JP16KT0092