2017年12月
ウサギ反転腸管系を用いた脂質吸収とカイロミクロンの分泌の測定
日本臨床栄養学会雑誌
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- 巻
- 39
- 号
- 4
- 開始ページ
- 230
- 終了ページ
- 236
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本臨床栄養学会
【目的】動脈硬化性心血管障害の危険因子として食後高脂血症が注目されている。本研究では組織レベルでのカイロミクロン(CM)の分泌を検討することを目的として、反転腸管系を用いて分泌されるアポリポ蛋白B48(apoB48)およびトリグリセライド(TG)等の測定を試みた。さらに、脂質代謝に影響を与えるとされる数種のポリフェノールがCMの分泌に与える影響を観察した。【方法】家兎の小腸切片から反転腸管嚢(sac)を作製し、脂質ミセル溶液に浸漬した後にsac内に分泌されるapoB48等の測定を行った。【結果】ApoB48分泌は胃に近い切片のsacにおいて高く、大腸側へ向かって減少した。浸漬時間は60分を境にapoB48分泌の増加率は減少した。浸漬する溶液の脂質をミルクに置換することによりapoB48分泌は減少し、TG分泌は増加した。ポリフェノールの添加により減少の傾向がみられ、特にresveratrolでは有意であった。【結論】反転腸管を用いてCM分泌の定量的な観察系を確立した。今回検討した食品成分はCMレムナント粒子数の減少を介し動脈硬化抑制的に働く可能性が示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0286-8202
- 医中誌Web ID : 2018109972