1歳男児。左心低形成症候群に対しtotal cavopulmonary connection手術を予定した。体外循環回路は輸血による充填を行い、このときの活性化全血凝固時間が347秒であったためヘパリンを追加投与した。人工心肺開始8分後に人工肺の閉塞が疑われたため直ちに体外循環から離脱し人工肺の交換を行った。交換に要した時間は約7分であり、その間自脈で血圧は保たれていた。人工肺交換後に体外循環を再開し、手術は予定通り終了し、明らかな神経学的後遺症を認めず術後15日目に集中治療室を退室した。人工肺の製造元による調査報告では、ガス交換部のマイクロスコープ観察では交換膜に全層にわたり付着物を認め、電子顕微鏡による観察では中空糸の間隙に血小板とその周囲にフィブリン網が絡みつくように形成されているのが確認された。