<p>本研究は，薬物依存問題を持つ人の家族支援について国内外の文献レビューを行い，1）家族支援の対象を同定すること，2）具体的な支援内容に直結すると思われる，考慮すべき関連問題について明らかにすることを目的とした．</p><p>医中誌web, CiNii Articles, PubMedを用いて2014年までの研究を検索し， 43編について家族属性の内訳，関連問題に着目して分析した．その結果，以下の2点が明らかになった．1）対象となる家族属性が国外研究では，親・子，配偶者・パートナー，caregiver・専門職と多様であったのに対し，国内研究では親，特に母親に偏っていた． 2）考慮すべき関連問題は，新生児離脱症候群を含む育児支援，HIV，ハームリダクション，および本人のトラウマ体験，重複障害であった．</p><p>本研究の結果から，家族支援の枠組みの拡大，関連問題への具体的な取り組みの開始が，今後の課題であることが示唆された．</p>