MISC

2007年

HeLa細胞核マトリックス画分のプロテオーム解析

日本プロテオーム学会大会要旨集
  • 石井 宏平
  • ,
  • 平野 泰弘
  • ,
  • 粂田 昌宏
  • ,
  • 竹安 邦夫
  • ,
  • 古川 和広
  • ,
  • 堀米 恒好

2007
0
開始ページ
75
終了ページ
75
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)

細胞核は、"構造"と"機能"が密接に関わり合ったダイナミックな構造体である。その内部には、核小体や核スペックルなどの核内構造体が存在し、プロテオーム解析によってそれらの構成因子が解析されてきたが、これまでの研究では核構造全体に真に重要な難溶性タンパク質の同定が見逃されているという問題がある。そこで、細胞核機能をより理解するために、細胞核構造内の難溶性である核マトリックス画分をプロテオーム解析することによって細胞核構造基盤分子の検索を行った。<BR> 具体的には、HeLa細胞を塩、界面活性剤、DNaseで処理したときに難溶性画分として得られた核マトリックス画分を、(1)難溶性画分タンパク質分離クロマト系とSDS-PAGEを組み合わせた分離・精製を用いたpeptide mass fingerprint (PMF)法、(2)SDS-PAGEとnanoLC-MS/MSを用いたpeptide sequence tag (PST)法、という2つの方法で核マトリックス画分のプロテオーム解析を行った。最初に、HeLa細胞から調製した核マトリックス画分タンパク質を一次元目に60% ギ酸中で逆相HPLCにより、二次元目に濃度勾配ゲルを用いたSDS-PAGEで分離した。それをCBB染色した結果、138種類のタンパク質バンドが検出され、それらすべてをトリプシンでゲル内消化後、PMF法により、85種類のタンパク質を同定した。この中には、細胞内局在が未知である新規タンパク質が6種類、機能未知のタンパク質が8種類含まれていた。また、さらに網羅的に解析を行うために、核マトリックス画分をSDS-PAGEで分離・CBB染色後、ゲルを29断片にスライスし、トリプシン消化後、ペプチドをnanoLC-MS/MSで分析した。その結果、PST法により、334種類のタンパク質を同定し、この中には、細胞内局在が未知である新規タンパク質が40種類、機能未知のタンパク質が76種類含まれていた。今回の解析で、難溶性画分として得られた核マトリックス画分内に、核機能に関与するタンパク質が多く含まれていることが明らかになったことから、細胞核の機能を理解するために有用な情報を得ることができた。<BR> 新規タンパク質群に関しては、現在GFP融合タンパク質発現ベクターを構築し、細胞核内での詳細な局在の動態を明らかにする解析を進めている。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130006997622
ID情報
  • CiNii Articles ID : 130006997622
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000391969761

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