共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

多発性骨髄腫におけるMDSCによる免疫制御機構の解析および治療への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K16125
体系的課題番号
JP18K16125
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円

本研究は、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)という抗腫瘍免疫抑制作用を持つ細胞に着目し、多発性骨髄腫(MM)という難治性血液疾患に関するMDSCの作用、MMとの相互作用の解析ならびに治療への応用が目的となっている。2018年度は以下の成果が得られた。
1.多発性骨髄腫細胞株と骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)との相互作用の解析
多発性骨髄腫細胞株と健常人ドナー由来の末梢血単核球を混合培養(分離培養)し、MDSC誘導の有無につき検証したところ、一部の細胞株のみにてM-MDSCの誘導が可能であった。PMN-MDSCについては全ての細胞株で誘導は認めなかった。MDSC誘導能の有無にはサイトカインをはじめとする液性因子が関与している可能性が高いと考えられたため、MDSC誘導可能細胞株と非誘導細胞株の液性因子を比較するためにサイトカイン、ケモカインの抗体アレイを用いたスクリーニング検査を行い、誘導細胞株のみにて高発現する複数の液性因子を同定した。同時に誘導細胞株ならびに非誘導細胞株いずれにおいても高発現する因子も同時に同定した。これら因子については、細胞内mRNAレベルでの発現増加をRT-PCRを用いて確認した。誘導細胞株については、これら液性因子に対する中和抗体を用いることにより、MDSC産生能の一部を阻害することが可能であり、非誘導細胞株については、液性因子の負荷によるMDSC誘導が可能であった。
2.既存の多発性骨髄腫に対する治療薬のMDSCに対する作用の検討
既存の治療薬を上記共培養システムに添加し、MDSC誘導能に対する効果を検討したところ、特に免疫調整薬と呼ばれるレナリドマイド、ポマリドマイドにおいて強力なMDSC誘導抑制作用が観察された。これら薬剤により、上記で同定された液性因子はmRNAレベル、タンパク質レベルともに抑制されていた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K16125
ID情報
  • 課題番号 : 18K16125
  • 体系的課題番号 : JP18K16125