鼓室形成術III・IV型により伝音再建を行った357例(男160例・女197例・6〜74歳)の成績を報告した。患者内訳は真珠腫性中耳炎195例、慢性中耳炎93例、鼓室硬化症32例、耳小骨奇形20例、耳小骨離断15例、その他2例で、術式はIII-cが125例(A群)、III-iが117例(B群)、IV-cが63例(C群)、IV-iが52例(D群)であった。「聴力改善の成績判定基準案2000」による成功例の割合はA群75%、B群83%、C群43%、D群58%で、術前気導聴力から術後気導聴力を引いた聴力改善度は各群間で有意差がなかった。周波数別にみると、250Hz、500Hz、1000Hzでは各群間で改善度に有意差はなかったが、2000HzではD群はB群に比較して有意に良好な改善度を示し、4000HzではD群はA群およびB群よりも有意に良好であった。