MISC

2005年5月

降下性壊死性縦隔炎の一例

日本耳鼻咽喉科感染症研究会会誌
  • 齋藤 和也
  • ,
  • 寺尾 恭一
  • ,
  • 村本 大輔
  • ,
  • 森 一功
  • ,
  • 村田 清高

23
1
開始ページ
102
終了ページ
106
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本耳鼻咽喉科感染症研究会

60歳女.患者は咽頭痛,熱発を主訴とした.所見では,右披裂部粘膜の軽度腫脹と下咽喉後壁の軽度圧排像を認めたが,気道は保たれていた.血液検査ではCRPをはじめ白血球,リンパ球は高値を示し,CTでは甲状腺レベルで甲状腺前方から咽後間隙にかけてガス産生を伴う膿瘍像がみられ,上縦隔レベルにも炎症の波及が認められた.深頸部膿瘍から進展した縦隔炎と診断し,緊急手術を施行した.術後はPAPM/BP,CLDMの投与を開始し,ドレーンからは10cm H2Oでの持続吸引と0.02%ポビドヨード液での洗浄を連日行った.細菌検査の結果は,嫌気性菌であるPeptostoreptococcus micros,Prevotella denticolaであった.術後4日目のCTでは軽度の胸水貯留を認めたが,保存的に経過観察した.そして術後8日目には炎症所見の著明な改善を認め,抗生剤を漸減した.以後,抗生剤をPIPCへ,更にLVFXに変更した.術後32日目には,炎症所見が劇的に改善し,胸水消失を確認し,術後43日目に軽快退院となった

ID情報
  • ISSN : 0913-3976
  • 医中誌Web ID : 2005203570

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