論文

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2022年12月

歯牙動揺を契機に発見され、口腔内多発癌の経過を辿った原発性下顎骨中心性癌の1例

近畿大学医学雑誌
  • 豊留宗一郎
  • ,
  • 家根旦有
  • ,
  • 上田吉生
  • ,
  • 二川晃一
  • ,
  • 若狭朋子
  • ,
  • 渡瀬謙仁
  • ,
  • 岩本展子
  • ,
  • 根本直人
  • ,
  • 長井聖武
  • ,
  • 長田哲次

47
3・4
開始ページ
73
終了ページ
81
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(大学,研究機関等紀要)
DOI
10.15100/00023393
出版者・発行元
近畿大学医学会

type:Departmental Bulletin Paper
原発性顎骨中心性扁平上皮癌は顎骨中心性に発生し,初期には口腔粘膜と連続性がなく,かつ他臓器からの転移ではない扁平上皮癌であると定義されている.発生頻度は口腔領域悪性腫瘍の1%以下と稀であるが,臨床症状が乏しく進行してから発見されることが多い.今回われわれは,歯牙動揺を契機に発見され,後に口腔多発癌の経過を辿ったと考えられた原発性下顎骨中心性扁平上皮癌患者を経験したためその概要を報告する.患者は64歳女性,右側舌下面の白斑を主訴に来院した.5年前に他院にて左側舌縁部の上皮内癌切除術を実施し,経過観察を受けていた.初診時に右側下顎第1大臼歯の動揺を認め,X線画像にて右側下顎骨の辺縁不整な骨吸収像を認めた.右側下顎第1大臼歯を抜歯し抜歯窩より生検を行ったところ,扁平上皮癌との診断を得たため,右側下顎骨区域切除術を実施した.その後,術後1ヶ月にて左側下顎第1大臼歯舌側歯肉,術後1年10ヶ月にて左側舌根部にそれぞれ扁平上皮癌を生じ,外科的切除を行った.現在,定期的に経過観察を行っているが,再発所見は認めず経過している.顎骨中心性癌は無症状に経過し発見が遅れることが多いが,可及的早期に診断するために,複数の検査を速やかに実施し多角的に判断することが重要と考えられた.また,口腔領域の悪性腫瘍では口腔多発癌を発症する可能性があり,原発性下顎骨中心性扁平上皮癌でも注意を要することが示唆された.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.15100/00023393 本文へのリンクあり
CiNii Research
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390013043978436608?lang=ja
URL
http://id.nii.ac.jp/1391/00023393/
ID情報
  • DOI : 10.15100/00023393
  • ISSN : 0385-8367
  • CiNii Research ID : 1390013043978436608

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