共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

スフィンゴシン1-リン酸産生を起点とした新規熱産生機構の解明と肥満治療への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K11601
体系的課題番号
JP20K11601
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

これまでの研究でマウスを寒冷下で飼育すると褐色脂肪組織でスフィンゴシンキナーゼ1(SphK1)が増加すること,SphK1がリソソームマーカーと共局在すること,SphK1陽性の小胞(リソソーム)は寒冷刺激すると増加することを明らかとしていた.本年度では,実際にSphK1がリソソームに存在することをタンパク質レベルでも確認し,さらにSphK1の反応産物 (スフィンゴシン1-リン酸) がリソソームで産生されていることを明らかとした.さらにSphK1遺伝子欠損マウス (SphK1 KO) を用いた解析により,SphK1 KOでは褐色脂肪組織のリソソーム数が減少していることを新たに見出した.このメカニズムについて検討したところ,リソソーム生合成のマスターレギュレーターである転写因子EB (TFEB) の細胞内局在がSphK1 KOと野生型マウスとでは異なることを示す染色像を得た.さらにTFEBの核内移行もSphK1 KOの褐色脂肪組織では野生型マウスよりも低下していることが明らかとなった.この結果と一致し,TFEBが関わるリソソーム生合成関連遺伝子の発現レベルもSphK1 KOの褐色脂肪組織では野生型マウスよりも低下していた.これらの結果から,SphK1はTFEBを介しリソソーム恒常性に重要な役割を担っていると考えられた.また,SphK1 KOの褐色脂肪組織では野生型マウスよりもよりサイズの大きい脂肪滴の割合が高く,トリグリセライド量も高値を示した.SphK1 KOでは細胞質リパーゼの活性やタンパク質レベルは野生型と同等である一方でオートファージには変調が生じており,リソソームによる脂肪滴分解の低下がトリグリセライド蓄積の要因であると考えられた.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K11601
ID情報
  • 課題番号 : 20K11601
  • 体系的課題番号 : JP20K11601