本研究の目的は、国内外の乳頭トラブルに関する研究の動向について、定義や評価方法の観点から明らかにし、乳頭トラブルに関する看護実践や看護研究への示唆を得ることである。PubMed、MEDLINE、CINAHLでキーワードを「nipple trauma」「nipplecrack」「nipple fissure」「nipple pain」、医学中央雑誌Web版で「乳頭トラブル」「乳頭損傷」「乳頭亀裂」「乳頭痛」として文献検索し、授乳に関連した乳頭損傷の予防または対処を目的とした実験研究に絞り込み、6件の国内文献と25件の国外文献を分析対象とした。「乳頭トラブル」に関する用語の統一された定義はなかった。評価には創部の状態や乳頭痛が用いられ、多様な尺度が使用されていたが、創傷の評価尺度の妥当性や、創部の状態と乳頭痛の相関関係を示した文献はなかった。乳頭損傷の創傷治癒過程を検討し、創傷治癒過程に基づいた適切で統一された評価指標を設定することが、乳頭トラブルの予防や対処方法に関するエビデンスの構築のために必要である。(著者抄録)