2011年
新しい平衡河川観:モデル実験が描く下流域沖積系の海水準応答
地質学雑誌
- 巻
- 117
- 号
- 3
- 開始ページ
- 172
- 終了ページ
- 182
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.5575/geosoc.117.172
- 出版者・発行元
- The Geological Society of Japan
堆積物の輸送が行われているにも関わらず堆積も侵食も実質的に起こらない河川を平衡河川という.平衡河川は河川系における埋積レジムと削剥レジムの境界条件の具現に他ならず,その理解は成因論的層序学の基軸をなす.従来の平衡河川観は下流域沖積系における平衡河川の実現を静止海水準に対する河川系の平衡応答の結果と捉えるが,筆者らによる一連のモデル実験と理論的検討はそれとは異なる理解をもたらした.新しい平衡河川観は次のように要約される.固定境界を持たない下流域沖積系では,(1)平衡河川は海水準が下降するときのみ実現可能であり,(2)平衡河川の実現を許す海水準下降パターンは沖積勾配αと海底基盤勾配φに依存し,(3)平衡河川にはα<φのもと非平衡応答で実現するアロジェニックなものとα=φのもと平衡応答で実現するオートジェニックなものとがある.新しい平衡河川観を織り込んだ成因論的層序学の今後の展開が待たれる.
- リンク情報
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- DOI
- https://doi.org/10.5575/geosoc.117.172
- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/130000758398
- CiNii Books
- http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00141768
- ID情報
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- DOI : 10.5575/geosoc.117.172
- ISSN : 0016-7630
- CiNii Articles ID : 130000758398
- CiNii Books ID : AN00141768
- identifiers.cinii_nr_id : 9000021214456