2019年4月 - 2022年3月
超高齢社会での応用を目指す低分子化合物terreinの標的分子の同定・機能解析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
超高齢社会を迎えた我が国において,食生活を司る口腔機能を維持することは健康寿命を延伸する上で必須である。一方,8020達成率が50%を超えた現代において,高齢者の口腔内に存在する歯自体が感染源となり,口腔疾患の罹患率が上昇する新たな問題が生じている。 そのため,安全・簡便に応用できる新規口腔治療法の開発が社会的に望まれる。申請者らの研究グループは,抗菌・抗炎症作用を有する一方,極めて細胞毒性が低い真菌由来代謝産物terreinに着目し,1) 有機化学的大量合成経路の確立,2)抗IL-6効果,3)破骨細胞分化抑制効果等を報告した。しかし,terreinの作用機序(標的分子)は未だ不明であり,terreinの有益性を検証する上で標的分子の同定は必要不可欠である。本研究では,様々な薬理作用を期待できる低分子化合物terreinの標的分子を同定し,歯内・歯周疾患モデルを用いた機能解析を行い,terreinの新たな口腔治療薬(治療法)としての可能性を検証することを目的としている。本年度は,terreinの破骨細胞分化抑制メカニズムの一端として、RANKL誘導性のNFATc1の発現を抑制するメカニズムの一端を解明し,報告した。従来考えていたRANKL刺激時に誘導されるNF-kaB経路、MAPKs経路に影響を与えず、別の経路を抑制することによって骨吸収を抑制する可能性が示唆された。今後,terreinの標的分子を同定していく上で,その候補分子の数を絞り込む上で有用な結果が得られたと判断する。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K10108
- 体系的課題番号 : JP19K10108
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論文
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Journal of immunology (Baltimore, Md. : 1950) 208(5) 1146-1154 2022年3月1日 査読有り筆頭著者